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スマートデイズ「破産へ」、関係者の反応

 4月18日、東京地裁より民事再生手続きの棄却を受けた(株)スマートデイズ(TSR企業コード:294730672、東京都中央区)。
9日に民事再生を申請して以降、合計3度開いた債権者説明会では、「疑惑の塊でしかない。何が民事再生だ」、「破産しろ」などの怒号が飛び交い、当初から民事再生「開始決定」が下りるのは難しいとみられていた。

民事再生手続きの棄却を受け、関係者は以下のように話している。

◇申請代理人の柴原多弁護士(西村あさひ法律事務所)
「(棄却で)保全管理命令が出たため代理権はなくなった。ただ、保全管理人の依頼の範囲で真相究明など必要な協力をしたい」
西村あさひ法律事務所は、国内有数の弁護士事務所でスマートデイズや旅行代理店の(株)てるみくらぶ(TSR企業コード:296263001、渋谷区、2017年3月破産)など、社会的に注目度の高い事案を手掛けている。この点について「企業の突然死は、入居者や旅行者に大きな影響や混乱を生じさせるので避けなければならない。破産申し立てをして、あとは知りません、ではダメだ。しっかり、情報を出してその後の被害を最小限にすることが我々の役目だ」とコメントした。

◇被害弁護団の松尾慎祐弁護士(さくら共同法律事務所)
「保全管理人と協力して本件の真相究明に努めたい」

◇シェアハウス「かぼちゃの馬車」オーナー(50代男性)
「スマートデイズの説明だと、民事再生はシェアハウスの入居者保護のみを目的としており、オーナーの被害回復の観点がなかった。民事再生棄却は当然だ。今後はスルガ銀行と対峙することになるので、破産管財人やスマートデイズは融資申し込みの資料などを積極的に開示して欲しい」

◇3月27日にスマートデイズや同社役員、販売会社などを提訴した加藤博太郎弁護士(わたなべ法律会計事務所)
「(民事再生)棄却は真相解明の第一歩だ。民事再生は会社主導の再建手続きのため、過去のお金の流れなどの追及がなかなか出来なかった。破産開始決定が下りると、(3月27日に提起した)訴訟が中断するが、スマートデイズ以外の訴訟は中断されない。また、今後ほかのシェアハウスのサブリース業者の提訴も準備している。引き続き、全力で真相解明に努めたい」

◇スマートデイズ問題に当初から取り組んでいるサブリース問題解決センターの杉崎晃広副センター長
「(棄却は)真相究明に繋がる可能性があり望んでいたことだ。ただ、スマートデイズ以外にもシェアハウスのサブリース業者から賃料支払いの停止を通告されたとの相談は複数寄せられている。スマートデイズの真相究明とともに、これらの問題にも対応していきたい」
「サブリース業者の(事実上の)破綻により、建築が止まっている物件がある。建築途中の物件を放置すると、資材が風で飛んで近隣に被害が及ぶ可能性もあり、オーナーは物件購入者として留意してほしい」

被害回復を訴えるオーナーら(4月9日午前7時半、都内)

被害回復を訴えるオーナーら(4月9日午前7時半、都内)

(東京商工リサーチ発行「TSR情報全国版」2018年4月20日号掲載予定「SPOT情報」を再編集)

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