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破産開始決定を受けたジャパンライフ、多くの課題が浮き彫りに

 債権者から破産を申し立てられていたジャパンライフ(株)(TSR企業コード:291624898、代表取締役:山口隆祥氏)が3月1日、東京地裁から破産開始決定を受けた。負債総額は2,405億円にのぼり、今後の調査でさらに膨らむ可能性もある。
 破産申し立てに対し、山口代表は「(事業を)継続する」と破産手続きにおける審尋で反論したが、東京地裁は異例のスピードで「破産開始決定」を出した。
 ジャパンライフの浮き彫りになった多くの問題に東京商工リサーチ(TSR)情報部が迫った。

ジャパンライフ本社

保全管理命令が告示された本社(2月9日撮影)

 ジャパンライフは消費者庁から1年間に異例の4度の業務停止命令を受けた。しかし、ジャパンライフは「的外れ」と説明するなど消費者庁の行政処分をあざ笑うかのような対応に終始した。
 その後、ジャパンライフの資金繰りは急速に悪化した。昨年12月中旬には本社不動産を売却し、社長だった山口ひろみ氏も辞任。12月26日、銀行取引停止処分を受けて事実上倒産した。
 すぐに自己破産を申請すると思われたが、ジャパンライフは今年に入り、各地で顧客向けの説明会を開催。同社幹部らは「倒産していない。事業を継続する」などと述べ、高齢者を中心とした顧客を「安心」させるような説明を繰り返した。
 いち早く被害回復に動いていたジャパンライフ中部被害対策弁護団(団長:杉浦英樹弁護士)が山口代表らを刑事告訴した。また、消費者問題に取り組む全国の弁護士が協力して今年1月20日、全国ジャパンライフ被害弁護団連絡会(団長:石戸谷豊弁護士、以下:被害連絡会)を立ち上げた。そして2月9日、同連絡会に被害相談していた債権者22名が東京地裁に破産を申し立てていた。

被害を受けたと名乗り出る高齢者が少ない

 ジャパンライフ問題の特徴は、6,500人以上の被害者がいるのにもかかわらず、名乗り出る人が少ないことだ。
 消費生活センターによるとジャパンライフに関する相談者のうち、75%が75歳以上、女性も74%だった。被害連絡会は、「全財産をジャパンライフに提供した」ケースも多いという。
 相談できる家族も少なく、また資産の大半をジャパンライフに預けたことを知られたくない高齢者も多いとみられる。さらに、ジャパンライフは顧客への説明会で「破産した場合、ほとんど(預けたお金が)戻ってこない」と強い口調で述べている。このため、家族や弁護士などに相談できず、ジャパンライフ問題が広がることが遅れた。
 破産管財人は相談等の専用ダイアル(03-3511-8333、受付時間10時から16時(土日祝日を除く)を開設した。また、被害連絡会も各地に相談窓口を設け、「(被害者に)ぜひ利用していただければ」と述べ、被害回復に向けた体制が強化されている。

ジャパンライフカタログ

ジャパンライフのカタログ(消費者庁提供)

集めた資金の計上方法

 ジャパンライフがTSRに公開した決算書によると2017年3月期の負債総額は134億9,381万円だった。一方、消費者庁が指示した公認会計士による監査後の負債総額は2,405億円にのぼり、債務超過だったことが明らかとなった。
 ジャパンライフは、磁気治療器の販売代金を売上高に計上する一方で、預託された資金を負債に計上せず、レンタル料として顧客へ払った分のみを売上原価にあげていたようだ。これにより、ジャパンライフが顧客に返済する必要がある「お金」が見えなくなり、2,000億円近い顧客から集めた資金の行方がつかめなくなった。
 企業が長期契約や前払い、預け金など多額の資金を消費者から預かる場合、決算での計上方法や監査体制、情報公開の仕組みなど消費者保護の強化について制度拡充が必要だろう。

債権者破産の高いハードル

 消費者問題に詳しい全国の弁護士が協力したことで、異例のスピードで債権者破産の申し立てに繋がった。
 一般的に債権者からの破産は、申し立てられる側の企業の協力が得られないことが多い。財務内容や支払不能など破産原因を債権者が証明する必要がある。また、債権者の破産申し立ては、負債額に比例する「予納金」を債権者が立て替えなければならない。2,405億円の負債を抱えるジャパンライフの破産手続きにおける予納金は数千万円に達する可能性があった。
 今回、東京地裁と被害連絡会が調整した結果、予納金は「1,000万円」となり、さらに全国各地の弁護士の協力で消費者問題などに用いられる資金を借りたことで債権者の負担はなかった。
 破産事由の証明や予納金の問題など、一般消費者が債権者となり破産を申し立てることはハードルが高く、議論の余地がありそうだ。


 ジャパンライフは、「新規で購入した顧客の代金が、そのまま先に購入した顧客のレンタル料として配当に回される自転車操業」だったと被害連絡会は指摘している。これだけ負債が拡大した主な原因だ。
 消費者庁も法律に則り、異例の4度の行政処分など消費者保護に努めていた。それでも、これだけの被害を止めることはできなかった。
 被害者にとって破産開始決定は被害回復の一歩目に過ぎない。これから破産管財人の手でジャパンライフの財産調査が行われる。さらに被害連絡会は破産管財人に協力しながら、独自に刑事告訴などを検討しており、刑事事件となる可能性も出てきている。
 6,500人以上の被害者を出したジャパンライフの破産だが、多くの課題を浮き彫りにした事件でもある。

(東京商工リサーチ発行「TSR情報全国版」2018年3月5日号掲載予定「Weekly Topics」を再編集)


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