• TSRデータインサイト

仮想通貨取引所のコインチェック、一時停止の出金について数日中に見通しを発表へ

 仮想通貨「NEM(ネム)」が不正アクセスで約580億円流出したコインチェック(株)(TSR企業コード:294733060、渋谷区)。1月30日、Coincheckサービスで一時停止している「出金」について、「当社が自主的に行っている措置で、再開に伴う安全性等が当社で確認され次第、再開を予定している」として、「数日中にも見通しをお知らせする」と発表した。

 コインチェックは1月26日、午前2時57分ごろに仮想通貨「NEM」が不正に外部へ送金される事態が発生。その後、「NEM」の売買や入出金を一時停止し、さらに全ての取扱通貨の出金を一時停止したため、Coincheckサービスの利用客は投資や預けている資金を引き出せない状況が続いている。
 コインチェックは今回流出した資金について日本円で約463億円を補償するとしているが、1月29日に金融庁から業務改善命令を受けている。これは1月26日、コインチェックに資金決済に関する法律の規定に基づき報告を求めたが、発生原因の究明や顧客への対応、再発防止策等に関し、不十分なことが認められたため。

 業務改善命令の内容は、1.本事案の事実関係及び原因の究明、2.顧客への適切な対応、3.システムリスク管理態勢にかかる経営管理態勢の強化及び責任の所在の明確化、4.実効性あるシステムリスク管理態勢の構築及び再発防止策の策定等、5.上記1から4までについて、2018年2月13日(火)までに書面で報告すること。
 今後は、出金再開と不正送金された「NEM」の補償の時期、さらに仮想通貨取引所として認識の甘かったセキュリティ整備体制への取り組みなどが注目される。

コインチェック入居ビル

コインチェックが入居するビル

(東京商工リサーチ発行「TSR情報全国版」2018年2月1日号掲載予定「SPOT情報」を転載)


 TSR情報とは

人気記事ランキング

  • TSRデータインサイト

【解説】秀和システムの法的整理、異変察知は「船井電機より前」

(株)秀和システム(TSRコード:292007680、東京都)への問い合せは、船井電機(株)(TSRコード:697425274、大阪府)の破産の前後から急増した。ところが、あるベテラン審査マンは「ERIが弾けた時からマークしていた」と耳打ちする。

2

  • TSRデータインサイト

2025年3月期決算(6月27日時点) 上場企業「役員報酬1億円以上開示企業」調査

2025年3月期決算の上場企業の多くで株主総会が開催された。6月27日までに2025年3月期の有価証券報告書を2,130社が提出した。このうち、役員報酬1億円以上の開示は343社、開示人数は859人で、前年の社数(336社)および人数(818人)を超え、過去最多を更新した。

3

  • TSRデータインサイト

1-6月の「訪問介護」倒産 2年連続で最多 ヘルパー不足と報酬改定で苦境が鮮明に

参議院選挙の争点の一つでもある介護業界の倒産が加速している。2025年上半期(1-6月)の「訪問介護」の倒産が45件(前年同期比12.5%増)に達し、2年連続で過去最多を更新した。

4

  • TSRデータインサイト

船井電機の債権者集会、異例の会社側「出席者ゼロ」、原田義昭氏は入場拒否

破産手続き中の船井電機(株)(TSRコード:697425274、大阪府)の第1回債権者集会が7月2日、東京地裁で開かれた。商業登記上の代表取締役である原田義昭氏は地裁に姿を見せたものの出席が認めらなかった。会社側から債務者席への着座がない異例の事態で14時から始まった。

5

  • TSRデータインサイト

1-6月の「人手不足」倒産 上半期最多の172件 賃上げの波に乗れず、「従業員退職」が3割増

中小企業で人手不足の深刻な影響が広がっている。2025年上半期(1-6月)の「人手不足」が一因の倒産は、上半期で最多の172件(前年同月比17.8%増)に達した。

TOPへ