• TSRデータインサイト

仮想通貨「NEM」が580億円流出したコインチェック、日本円で全額返金を発表

 1月26日、仮想通貨取引サービス「CoinCheck」などを運営するコインチェック(株)(TSR企業コード:294733060、渋谷区)は、仮想通貨「NEM」の流出について23時30分から都内で会見を開いた。会見では、不正送金額が約580億円に達することを明らかにしたが、返済方法などに質問が及ぶと「究明中」、「検討中」を繰り返した。
同日は、深夜にもかかわらず渋谷区のコインチェック本社前には200名を超える顧客や報道陣が集まり、警察も出動する騒ぎになるなど混乱状況が続いた。顧客の一人は「数千万円を預けているが、出金できず心配で本社に来た」と興奮気味に語った。

コインチェック本社前に集まる顧客

コインチェック本社前に集まる顧客(1月26日23時50分撮影)

 1月28日、コインチェックは同社ホームページで流出した「NEM」保有者の約26万人に対し、約463億円を日本円で返金すると発表した。この点について、東京商工リサーチ(TSR)は29日午前、コインチェックへ電話での取材を試みたが応答はなかった。
コインチェックは、「ビットコイン」や「NEM」などの仮想通貨の取引所を運営している。同社は財務諸表や売上高・利益などの業績、借入金などを開示していない。決算公告の方法については「官報に掲載する」と商業登記簿に記載しているが、確認できず情報開示には閉鎖的な姿勢を貫いている。
コインチェックによると、1月26日2時57分頃に事象が発生、同11時25分頃に異常を検知するまで8時間を要した。同日、12時52分頃までに「NEM」の入金、売買、出金の一時停止を告知した。
同日23時30分から開いた会見では、日本円で約580億円相当の「NEM」が喪失したことを明らにした。報道陣からは補償や返済原資などの質問が相次いだが、「究明中」、「検討中」を繰り返した。また、セキュリティーは、複数の暗号が必要なマルチシグでなかったことや、常時ネットに接続した「ホットウォレット」で管理していたことを明らかにした。
1月28日、コインチェックはホームページ上で「NEM」保有者への補償方針を明らかにした。それによると、不正送金された「NEM」は総額5億2,300万XEM、保有者数は約26万人。補償方法は、「NEM」保有者全員に、日本円で「コインチェックウォレット」に返金する。補償金額は88.549円×保有数となっている。
金融庁はコインチェックに対し、再発防止などを求める業務改善命令を出した。今後の仮想通貨や取引所への影響も注目される。

(東京商工リサーチ発行「TSR情報全国版」2018年1月30日号掲載予定「取材の周辺」を再編集)


 TSR情報とは

記事の引用・リンクについて

記事の引用および記事ページへのリンクは、当サイトからの出典である旨を明示することで行うことができます。

(記載例) 東京商工リサーチ TSRデータインサイト ※当社名の短縮表記はできません。
詳しくはサイトポリシーをご確認ください。

人気記事ランキング

  • TSRデータインサイト

コロナ破たんが3カ月ぶり150件超え 累計1万3,877件に

3月は「新型コロナ」関連の経営破たん(負債1,000万円未満含む)が162件判明し、2020年2月の第1号の発生から累計1万3,877件に達した。

2

  • TSRデータインサイト

「塗装工事業」の倒産143件 23年ぶり高水準 イラン情勢で塗料価格が急騰、価格転嫁に注目

塗料などの資材高騰に加えて、慢性的な人手不足、顧客の争奪戦などが長引き、塗装工事業者の倒産が急増している。2025年度は143件(前年度比22.2%増)で、過去20年で最多だった。統計を開始した1989年度以降では、2002年度の162件以来、23年ぶりに140件を超えた。

3

  • TSRデータインサイト

退職代行「モームリ」、運営会社の代表変更

退職代行「モームリ」を運営する(株)アルバトロス(TSRコード:694377686、横浜市)は、公式ホームページの代表取締役を変更した。

4

  • TSRデータインサイト

「イタメシ」「韓国料理」など専門料理店の倒産最多 ~ インバウンドの取りこぼしと輸入食材の高騰 ~

イタメシ、韓国料理、フレンチ、タイ料理など専門料理店の倒産が急増している。2025年度(4-3月)の倒産は2月までにバブル期の1988年度以降、最多の85件に達した。

5

  • TSRデータインサイト

2025年度「円安」倒産70件、前年度に次ぐ高水準 卸売業、小売業を中心に、45カ月連続で発生

2025年度(4-3月)の「円安」倒産は、70件(前年度比16.6%減)だった。2022年度以降の円安局面では初めて前年度(84件)を下回ったものの、2022年(36件)の約2倍と高水準が続いている。

TOPへ