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憶測が渦巻くPROEARTHの破綻

 年の瀬も押し迫った2017年12月26日。建機・トラック販売の(株)PROEARTH (TSR企業コード:363795677、厚木市、松井義仁社長、以下PRO社)が151億円の負債を抱え、東京地裁に民事再生法の適用を申請した。
 設立10年足らずで年商177億円に急成長。ただ、以前から循環取引、融通手形、多重リースなどの噂が絶えなかった。そんな中での国税庁の2億8,000万円の追徴課税や東北での除染工事の収束、大口の不良債権の発生。さらに、取引先への未払いや滞納が明らかになり、金融機関や取引先は撤退していった。
 年が明けた2018年1月11日、PRO社の債権者説明会が開催された。200人を超える債権者がつめかけた会場ではリースに絡む不正取引に質問が集中した。まさに疑惑や噂が白日の下にさらされた瞬間だった。

債権者説明会会場案内

1月11日 PROEARTHの債権者説明会が開催された

 「うちのリース物件はどこにあるのか?」債権者説明会では苛立ちを隠さないリース会社からの質問が相次いだ。
 多くの債権者が独自で調査し、すでに多重リースや海外に無断転売された事実を掴んでいた。これまでPRO社の対応に翻弄された債権者の鬱憤がありありと浮かんでいる。
 松井社長から不正取引の言質をとったと発言する債権者。再生手続きに反対を表明し、「破産すべき」と主張する声も上がった。
 こうした債権者の相次ぐ質問に、申請代理人の中嶋弁護士は、「今後、一社ずつ精査する。透明性を確保して誠実に対応していく」と答えるにとどめた。ただ、「海外への無断転売などを否定するものではない」と、不正行為の存在を暗に認めるかのような発言もあった。

エム・テック(さいたま市)がスポンサーに

 説明会では今後の支援を表明しているゼネコンの(株)エム・テック(TSR企業コード:310340748、さいたま市、向山照愛社長)とPRO社との取引内容についての質問も相次いだ。従来の決算報告を見る限り、両社の取引がほとんどなかったからだ。
 昨夏以降、多くの取引先がPRO社から撤退するなか、両社の取引は拡大していった。
 本来は販売、リース・レンタル事業者であるPRO社と、使う側のエム・テックは債権者と債務者の関係に過ぎない。だが、リース料の1年分をエム・テックが前払いしたほか、エム・テックがリースとは別に建設資材をPRO社に販売したことで、立場が逆転し取引関係が複雑になった。
 債権者説明会にはエム・テックの創業者でオーナーの松野浩史氏も出席した。松野氏によると、同社はPRO社の最大取引先で最大債権者(民事再生申立書では10億5,000万円)だ。エム・テックのリース車両のうち、約3分の1がPRO社の取り扱いという。松野氏は「(東北の)震災復興を進めるためにも(PRO社の)再生に寄与したい」と表明。PRO社の再建に意欲を見せた。
 だが、債権者の間には冷ややかな反応が浮かんでいたようにも感じられた。

再建の可能性は?

 債権者説明会の雰囲気を見る限り、今後の再生手続が一筋縄で進むとは考えにくい。特に、総債権額151億円のうちの69億円を占めるリース債権者(56社)の反応は厳しい。
 ひとつひとつのリース取引で、物件所在を確認しながら、取引を精査する作業は気が遠くなるほど膨大だ。取引の詳細が明らかになったところで、肝心の物件が多重リースに利用されていたり、無断転売されていれば、「再建に協力するしない以前の問題」(リース会社)だ。
 債権者説明会でも、債権者からPRO社側に、「本当に再生できると考えているのか」と詰め寄る質問も出た。当たり前だが物件の所在すら掴めないリース会社の苛立ちは相当なものだ。

関連会社、親密企業への問い合わせが増加

 今後、PRO社倒産の影響が周辺企業に広がることが懸念されている。
 関連会社では、解体工事の(株)Earth(TSR企業コード:363805800、厚木市)、砕石類販売の東北鉱産(株)(TSR企業コード:012645222 、仙台市青葉区)に注目が集まる。
 申請代理人は、「関連会社については法的整理などの委任は受けていない」という。だが、PRO社は、今後はレンタル事業に絞って業容を大幅縮小する意向を示している。何らかの処理に向かう可能性は高い。
 一方、東京商工リサーチにはPRO社の親密先とされる複数の企業の問い合わせも増えている。これらの企業はPRO社の拡大と歩調を合わせるように売上を伸ばしてきた。
 こうした親密先の企業が注目されたのは、PRO社を取り巻く企業との取引実態が見え難く、複雑だからだ。
  例えば、PRO社が倒産に至った一因は、(株)日商(仙台市、2017年10月破産)への焦付きだった。だが、そもそも日商の破綻原因は、「9月29日にPRO社から7,000万円の債権回収を受けられる見込みだったが、入金がなかった」(日商の「破産申立書」)とされている。
 どこに債権があって、どこに債務が存在するのか。どちらが債権者で、どちらが債務者なのか。親密企業との複雑な取引はPRO社が倒産した今、大きな疑念を伴う不信感となって業界に渦巻いている。
 事態が解明される過程でPRO社が自ら被った急激な信用収縮の嵐が、今度は周辺企業に伝播する可能性もある。建機レンタル業界で「不正取引」と疑われる不可解な取引の事実がいつ明かされるのか。関係者は「切歯扼腕」の思いで事態を見つめるしかない。

売上高・利益推移

(東京商工リサーチ発行「TSR情報全国版」2018年1月18日号掲載予定「取材の周辺」を再編集)


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