• TSRデータインサイト

東芝、ウエスチングハウス(WH)破綻に伴う親会社保証を一部履行

 12月14日、経営再建中の(株)東芝(TSR企業コード:350323097、東京都、東証2部)は、ウエスチングハウス(WH)のチャプター11(連邦破産法11章)申請に伴う親会社保証で、サザン電力に対する責任上限額36億8,000万ドル(4,123億円)のうち、履行分を除く32億2,500万ドル(3,614億円)を一括で支払ったと発表した。


親会社保証の総額は6,600億円

 東芝はWHのチャプター11に伴い、サザン電力に対し36億8,000万ドル、スキャナ電力に21億6,800万ドル(2,432億円)の親会社保証を抱えている。当初は2022年9月までに分割で支払うスケジュールだった。
だが、第三者割当による新株発行で12月5日までに複数のファンドから6,000億円の払い込みを受け、これを元手に親会社保証を一括で履行する方針へ転換した。
サザン電力分が一括履行されたことで、残る親会社保証はスキャナ電力分となる。東芝は11月20日、東京商工リサーチ(TSR)の取材に対し、「親会社保証の金額は(サザン電力・スキャナ電力合わせ)6,600億円。すでに履行した分もあり5,738億円を支払うと全額履行されたことになる」とコメントしていた。このため、スキャナ電力の親会社保証2,432億円のうち、未履行分は2,124億円前後とみられる。
12月15日、東芝の担当者はTSRの取材に対し、「今回のサザン電力への履行で得た(WHに対する)求償権、今後のスキャナ電力への親会社保証の全額履行で得る求償権、WHへの貸付金など約1,000億円、合計7,600億円の債権を第三者へ売却し、半導体メモリ事業売却に伴う税負担の軽減を図る」とコメント。債権(7,600億円)の売却時期については、「2018年3月末までを目指している」(東芝の担当者)。売却先の詳細は開示していないが、可能性としてはファンドなどが考えられる。

東芝の主な資金の動き

自己資本、「2,400億円以上押し上げ」

 2018年3月末までに債権売却が完了した場合、「半導体メモリ事業の売却に伴う税負担が最低でも2,400億円軽減され、自己資本の押し上げに繋がる」(東芝の担当者)という。売却予定の債権には、WHのチャプター11申請に伴う再生手続で配当の可能性も高いことから、売却の金額も注目される。この場合、2,400億円とは別に自己資本が押し上げられることになる。


 12月13日に、懸案だったウエスタンデジタル(WD)と半導体メモリ事業の売却に関する係争の和解を発表している。
今後は半導体メモリ事業の売却に向けた各国の独禁法審査の進捗に焦点が移ることになる。

(東京商工リサーチ発行「TSR情報全国版」2017年12月18日号掲載予定「Weekly Topics」を再編集)

 TSR情報とは

人気記事ランキング

  • TSRデータインサイト

2025年1-9月の「人手不足」倒産が過去最多 「従業員退職」が前年の1.6倍増、初の年間300件超へ

2025年9月に「人手不足」が一因となった倒産は、調査を開始した2013年以降では月間最多の46件(前年同月比109.0%増)を記録した。また、2025年1-9月累計も、過去最多の285件(前年同期比31.3%増)に達し、人手不足はより深刻さを増していることがわかった。

2

  • TSRデータインサイト

ケーキや和菓子は「高値の花」に、スイーツ店が苦境 倒産は過去20年で最多ペース、競合商品も台頭

街のスイーツ店が苦境に陥っている。材料コストの上昇、酷暑、人手不足が重なり、商品値上げによる高級化も購入機会の減少につながったようだ。2025年1-9月の菓子製造小売の倒産は、過去20年で最多の37件に達した。

3

  • TSRデータインサイト

2025年1-9月「後継者難」倒産が過去2番目 332件 高齢化が加速、事業承継の支援が急務

代表の高齢化が進み、後継者が不在のため事業に行き詰まる企業が高止まりしている。2025年1-9月の「後継者難」倒産(負債1,000万円以上)は332件(前年同期比4.5%減)で、2年ぶりに前年同期を下回った。だが、2025年は過去最多だった前年同期の348件に次ぐ、過去2番目の高水準だった。

4

  • TSRデータインサイト

2025年 全国160万5,166社の“メインバンク“調査

全国160万5,166社の“メインバンク”は、三菱UFJ銀行(12万7,264社)が13年連続トップだった。2位は三井住友銀行(10万1,697社)、3位はみずほ銀行(8万840社)で、メガバンク3行が上位を占めた。

5

  • TSRデータインサイト

2025年度上半期の「円安」倒産30件 仕入コスト上昇が卸売業を直撃

2025年度上半期(4-9月)の「円安」関連倒産は、30件(前年同期比31.8%減)だった。上半期では、2022年度以降の円安では前年度の44件に次いで、2番目の高水準になった。

TOPへ