• TSRデータインサイト

JOLEDとジャパンディスプレイ、二つの増資の行方

 12月5日、(株)ジャパンディスプレイ(TSR企業コード:294505385、以下JDI)が15%を出資する(株)JOLED(TSR企業コード:300600798)の田窪米治・代表取締役最高技術責任者が都内で会見し、有機ELパネルの量産に向け2018年3月末までに1,000億円の第三者割当増資を検討していることを明らかにした。


1,000億円の増資の行方

 JOLEDの担当者は12月6日、東京商工リサーチ(TSR)の取材に、「(増資について)国内、海外を区切らず様々な企業と話をしている。具体名は答えられないが、すでに取引のある装置メーカーや材料メーカーなどだ。(交渉先には)JDIも含まれる」とコメント。「(増資時期は)2018年3月末までのクロージングを目指している。クロージングは払い込み完了を指す」という。
JOLEDの2017年3月末の財務内容は、純資産が351億円(うち資本金237億円)、総資産は380億円だ。勘定科目の詳細な数値は非公開だが、支払い能力を示す流動比率は497.7%と安全性の目安とされる100%を大きく上回る。だが、その後に開発投資や債務支払いなどがあり、流動比率は低下しているようだ。量産化に向けたキャッシュも必要で、さらなる資金確保を迫られている。
JOLEDの資金状況について担当者は、「現時点でメインバンクのみずほ銀行を含めて金融機関から借入はない」とした上で、今後の資金調達の可能性は「様々検討している」と述べるにとどめた。

JOLEDの貸借対照表

グローバル企業とのパートナーシップは…

 資金が必要な状況はJDIも同じだ。2017年9月末の流動比率(連結)は78.2%。3月末の89.0%から大きく落ち込んでいる。
JDIは8月9日にみずほ銀行、三井住友銀行などと締結した1,070億円のコミットメントラインで、「当面の運転資金に問題はない」との立場だ。ただ、2018年3月期に1,700億円の特別損失計上を予定している。これにより純資産の大幅減少が見込まれるだけに、資本増強が急務になっている。こうした状況からグローバル企業とのパートナーシップ構想を掲げて2018年3月までに方針決定、2019年3月期中の実行を示している。
パートナーシップは第三者割当増資が有力だが、構想の具体的な中身や進捗についてJDIから積極的なアナウンスはない。こうした不透明な状況から憶測が広がり、TSRにはJDIの取引先からの問い合せが増えている。
JDIの担当者は6日、TSRの取材に「複数社と交渉を進めているが、パートナーシップの方法が第三者割当増資になるか決まっていない」とコメントした。
また、交渉先については、「どの国(の企業)がダメとの方針はとっていない。交渉先の具体名はコメントできない」という。我が国を代表するパネルメーカーは、市場動向と資金調達で揺れ動いている。

(東京商工リサーチ発行「TSR情報全国版」2017年12月7日号掲載予定「Weekly Topics」を再編集)

 TSR情報とは

記事の引用・リンクについて

記事の引用および記事ページへのリンクは、当サイトからの出典である旨を明示することで行うことができます。

(記載例) 東京商工リサーチ TSRデータインサイト ※当社名の短縮表記はできません。
詳しくはサイトポリシーをご確認ください。

人気記事ランキング

  • TSRデータインサイト

退職代行「モームリ」、運営会社の代表変更

退職代行「モームリ」を運営する(株)アルバトロス(TSRコード:694377686、横浜市)は、公式ホームページの代表取締役を変更した。

2

  • TSRデータインサイト

バイオベンチャーのSpiber、事業譲渡後に特別清算 ~ ユニコーン企業、2025年12月期は438億円の最終赤字 ~

バイオベンチャーとして注目されたSpiber(株)(TSRコード:363798706、山形県鶴岡市)が約300億円の債務超過を解消できず、新会社に事業を譲渡後、特別清算を申請する方針を固めた。

3

  • TSRデータインサイト

家事代行の倒産が過去最多 ~ 老舗・大手がひしめくなか、参入も急増 ~

共働きや独身世帯の増加で、掃除や料理、洗濯、ベビーシッターなど、家事代行(家事サービス)のニーズは高い。子育てだけでなく介護も加わり、市場は広がる。 一方、家事代行業者の倒産が急増している。2025年度は4-2月で11件に達し、すでに過去最多を更新した。

4

  • TSRデータインサイト

「イタメシ」「韓国料理」など専門料理店の倒産最多 ~ インバウンドの取りこぼしと輸入食材の高騰 ~

イタメシ、韓国料理、フレンチ、タイ料理など専門料理店の倒産が急増している。2025年度(4-3月)の倒産は2月までにバブル期の1988年度以降、最多の85件に達した。

5

  • TSRデータインサイト

メインバンク取引社数 国内10位の金融Gに しずおかFGと名古屋銀が統合へ、2万8,121社

メインバンクの取引社数が全国16位のしずおかFGの静岡銀行(1万8,762社)と、名古屋銀行(9,359社)が、経営統合に基本合意したことを発表した。両行のメイン取引社数は合計2万8,121社で、国内金融グループで10位の地銀グループが誕生する。

TOPへ