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「日産自動車グループ国内取引状況」調査

 日産自動車(株)(TSR企業コード:350103569、横浜市、東証1部)と同社グループ(以下、日産グループ)と直接取引のある1次と間接取引の2次仕入先の総数は8,922社(重複除く)、1次・2次販売先は3,321社(重複除く)だった。
 日産グループと直接取引している1次仕入先の業種は製造業が最多で、982社(構成比43.8%)だった。1次仕入先の本社地は東京都が663社(同29.6%)で最も多く、次いで追浜工場や日産車体(株)(TSR企業コード:360055656、平塚市、東証1部)の湘南工場のある神奈川県が534社(同23.8%)と続く。日産グループと直接取引する1次仕入先・販売先は北海道から沖縄県まで全国各地に広がっている。
 また、1次仕入先の2,239社では1,736社(同77.5%)、2次仕入先では7,223社のうち4,712社(同65.2%)が資本金1億円未満(個人企業を含む)の中小企業だったことがわかった。
 日産自動車が無資格の従業員に完成車検査をさせていた問題で19日、西川広人日産社長が本社で会見し、9月に国土交通省から指摘を受けた後も無資格の従業員が検査に関わっていたことを明らかにした。これを受けて国内すべての工場で生産した車両出荷を停止した。停止期間は最低でも2週間に及ぶ見通しで、取引先への影響が危惧されている。


  • 本調査は企業情報サービス(tsr-van2)の企業相関図から、日産自動車および同社グループの仕入先、 販売先を1次(直接取引)、2次(間接取引)に分け、業種、地区、規模などを抽出、分析した。
  • 1次取引先は直接取引のある取引先、2次取引先は1次取引先と直接取引がある間接取引企業を示す。
  • 日産自動車のほか、2017年3月期の有価証券報告書に記載されている国内連結子会社16社の合計17社を対象とした。

日産自動車の業績と販売台数

 日産自動車の2017年3月期の連結売上高は11兆7,200億円。主要エリアの販売台数(小売)は日本国内が55万7,000台(前年度比2.6%減)、中国は135万5,000台(同8.4%増)、北米は213万台(同5.9%増)、欧州は77万6,000台(同3.0%増)、その他は80万8,000台(同3.3%減)だった。出荷停止が長引けば、ブランドの毀損にも繋がり、今後の国内販売台数の動向も注目される。

「日産自動車グループ取引状況」調査対象17社

日産グループの取引先 販売先の最多業種は自動車(新車)小売業

 日産グループと直接取引の1次仕入先は2,239社だった。産業別では、製造業が982社(構成比43.8%)で最多。次いで、卸売業が455社(同20.3%)、サービス業他が379社(同16.9%)と続く。産業を細分化した小分類は、自動車部分品・付属品製造業が184社(同8.2%)で最も多く、製造業を中心にサプライチェーンが形成されていることがわかる。
 2次仕入先は一時仕入先の3.2倍の7,223社に増える。産業別では、製造業が最も多く3,499社(同48.4%)。次いで、卸売業の2,198社(同30.4%)で、この2産業が突出して多い。
 また、販売先では、1次販売先は1,258社、2次販売先は2,288社だった。産業別では、1次販売先の最多は小売業の308社(同24.4%)、2次販売先の最多は製造業の587社(同25.6%)。
 販売先の業種別は、1次が227社(同18.0%)、2次も181社(同7.9%)で、ともに自動車(新車)小売業がトップだった。
 日産自動車は19日、国内6工場での生産車両の出荷を2週間停止することを発表した。ただ、販売先トップが自動車小売業だけに、信用低下と出荷停止の影響は決して小さくないだろう。

「日産自動車グループ取引状況」調査 産業別

「日産自動車グループ取引状況」調査 業種別

日産グループ取引先の本社地 追浜工場や日産車体が所在する神奈川県が第2位

 日産グループ取引先の資本金別は、1次仕入先2,239社のうち、1億円未満(個人企業などを含む)が1,736社(構成比77.5%)と8割近くに達した。また、2次仕入先の7,223社でも1億円未満が4,712社(同65.2%)と高水準で、いずれも7割前後を占めた。
 取引先の本社の都道府県別では、1次仕入先の最多は東京都の663社(同29.6%)。次いで、横浜工場や追浜工場、日産車体が本社を置く神奈川県の534社(同23.8%)だった。日産自動車の生産体制に支障や変化が生じた場合、神奈川県に本社を置く中小以下の協力会社の業績は大きく揺らぐ可能性もある。

「日産自動車グループ取引状況」調査 資本金別

「日産自動車グループ取引状況」調査 都道府県別

 企業のコンプライアンス(法令順守)重視に背を向けるように、日産自動車は無資格の従業員に車両の検査をさせていた。問題発覚後も無資格検査を続けていたことが19日、明らかになった。こうしたガバナンスの効かない経営で、ついに国内工場の出荷停止に追い込まれた。
 世界的な企業だけに全国に取引先を持つが、特に仕入先は追浜工場、日産車体湘南工場のある神奈川県に取引先が集中している。2週間とはいえ出荷停止による販売先への影響は、消費者の信用低下も重なるだけに決して小さくない。今データ偽装の悪影響が長引く可能性もあるだけに、今後は全国に広がる影響にどう対応するか先行きが注目される。

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