• TSRデータインサイト

米トイザらスが破産申請、日本法人はチャプター11の対象外

 玩具販売大手のToys "R" Us, Inc.(DUNS:006985808、本社:米国ニュージャージー州、以下米トイザらス)が9月18日(現地時間)、連邦破産法第11条(以下、チャプター11)を申請した。
 米トイザらスは2005年に投資ファンド3社による出資で非上場化。その後、約50億ドル(約5,500億円)の債務について、毎年リファイナンスを繰り返してきた。関係筋によると、リファイナンスにかかる手数料や利払い負担が重く「成長投資の妨げになっている」と判断、今回の申請に至ったという。


日本トイザらスの業績(平成29年9月作成TSR REPORTより)

日本トイザらスの業績(平成29年9月作成TSR REPORTより)

日本トイザらスはチャプター11対象外

 日本のトイザらス事業は、日本トイザらス(株)(TSR企業コード:350937800、神奈川県)が手がけている。日本トイザらスの株主は、ティーアールユー・ジャパン・ホールディングス・エルエルシー(以下TRUJ)とティーアールユー・ジャパン・ホールディングス2・エルエルシー(以下TRUJ2)。この2法人は、トイザらス・アジア・リミテッド(香港、以下トイザらスアジア)の支配下にあり、トイザらスアジアには米トイザらスが約85%を出資している。
 日本トイザらス、TRUJ、TRUJ2、トイザらスアジアの4社は、いずれもチャプター11の対象外で、米トイザらスの破産申請で営業活動が法的に拘束されることはないという。

日本トイザらス 「債権・債務ない」

 米トイザらスがチャプター11を申請した9月19日(日本時間)、日本トイザらスの担当者は東京商工リサーチ(TSR)の取材に応じた。担当者は「米トイザらスに対する債権債務はない」としたうえで、「チャプター11申請が日本事業に影響を与えることはない」との認識を改めて示した。
 担当者によると、日本トイザらスは金融機関と独自でシンジケートローン契約を締結。コミットメント額は非公開だが、最近は2割程度の利用にとどまり、「枠は十分余っている」と話している。

日本トイザらスの取引先 「説明が欲しい」

 東京商工リサーチの企業データベースによると、日本トイザらスの1次仕入先は国内に257社、2次仕入先は1,029社ある。
 日本トイザらスと年間数億円の取引がある仕入先は、「日本法人から今回の申請について説明は受けていない。すこし前から報道が出ていたので自社で資料を集めていた。(日本トイザらスからの回収は)月末〆の翌々月末に現金で今のところ遅延はない」という。
 別の仕入先は「玩具メーカーなどの大口取引先が取引条件を変えた場合、日本トイザらスにも影響が出る可能性はあるだろう。日本トイザらスは、米トイザらスの現状を踏まえ、しっかり説明してほしい」ともどかしさを隠さない。

 今回のチャプター11申請は、ネット通販の台頭や同業との競合による業績不振も一因だ。日本マーケットも決して他人事ではない。

 (東京商工リサーチ発行「TSR情報全国版」2017年9月21日号掲載予定「Weekly Topics」を転載)

 TSR情報とは

人気記事ランキング

  • TSRデータインサイト

「マレリグループ」国内取引先調査 ~国内の取引先2,942社、影響懸念~

経営不振が続いたマレリグループの持株会社マレリホールディングス(株)(TSRコード:022746064、さいたま市北区)が6月11日(日本時間)、米国でチャプター11を申請した。東京商工リサーチ(TSR)の企業データベースからマレリグループの取引先数(重複除く)は国内2,942社あることがわかった。

2

  • TSRデータインサイト

2025年1-5月の「労働者派遣業」倒産53件 人材派遣が人手不足で年間最多ペースの可能性

深刻な人手不足が続くなか、 「労働者派遣業」の倒産がハイペースをたどっている。2025年5月の「労働者派遣業」倒産は、3月に並び今年最多の15件(前年同月比400.0%増)発生した。

3

  • TSRデータインサイト

「日産ショック」とマレリ、部品サプライチェーンの再編含み

マレリホールディングス(株)(TSRコード:022746064)と主要子会社は6月11日(日本時間)、チャプター11(連邦破産法第11条)を申請した。東京商工リサーチのデータベースによると、マレリグループの国内取引先は全国2,942社に及ぶ。

4

  • TSRデータインサイト

事前調整に明け暮れたマレリHDが再度破たん ~支援プレイヤーの場外乱闘の果て~

マレリHDを巡っては、準則型私的整理の一種である事業再生ADRでの再建を目指したが、海外金融機関の反対でとん挫し、前年の産業競争力強化法の改正で規定された民事再生の一部手続きを省略する簡易再生へ移行した。

5

  • TSRデータインサイト

(株)ピーエスフードサービス 保育園への食材納品がストップ=納入業者の資金繰り悪化で

保育園などに食材を販売している(株)ピーエスフードサービス(TSRコード:352395583、さいたま市見沼区)は納品が困難になっていることを自社ホームページで公表した。

TOPへ