• TSRデータインサイト

Xアイコン
facebookアイコン

2017年3月期決算の上場企業2,430社「女性役員比率」調査

 2017年3月期決算の上場企業2,430社の役員総数は2万8,465人を数えた。このうち、女性役員は957人で、全体のわずか3.3%にとどまった。
 業種別の女性役員比率は、最高がサービス業の5.29%(役員総数2,043人、うち女性役員108人)だった。次いで、小売業5.21%(同1,498人、同78人)、金融・保険業5.20%(同2,344人、同122人)の順。最低は建設業の1.6%(同1,754人、同28人)だった。
 上場企業2,430社のうち、女性役員がゼロは1,682社(構成比69.2%)と約7割を占めた。一方、女性役員比率が50.0%以上は化粧品の開発・製造販売の(株)シーボン(役員総数10人、女性役員6人)1社で、女性役員の比率は60.0%だった。
 安倍内閣は2015年12月に閣議決定した第4次男女共同参画基本計画で、上場企業役員に占める女性の割合を「5%(早期)、更に10%を目指す(2020年)」という目標を掲げた。だが、2017年3月期決算の上場企業の女性役員比率は3.3%。5%以上は724社(構成比29.7%)と約3割にとどまり、まだ女性の役員登用への道は険しい現実を示す結果となった。


  • ※本調査は東証などすべての証券取引所に株式上場している企業のうち、2017年3月期決算の上場企業を対象に、各企業の有価証券報告書の役員状況に記載されている男性・女性の人数を集計、分析した。
  • ※本調査の「役員」は、「会社法上の取締役、執行役および監査役など」とした。
  • ※業種分類は証券コード協議会の定めに準じる。

女性役員ゼロが約7割

 上場企業2,430社の女性役員比率は3.3%で、女性役員が一人もいない企業が1,682社(構成比69.2%)と約7割を占めた。以下、5.0%以上10.0%未満が382社(同15.7%)、10.0%以上15.0%未満が239社(同9.8%)、15.0%以上20.0%未満が52社(同2.1%)、4.0%以上5.0%未満が22社(同0.9%)と続く。
 1.0%未満の1,682社は女性役員がゼロで、50.0%以上と40.0%以上50.0%未満は各1社、30.0%以上40.0%未満でも9社にすぎず、上場企業でも女性の役員登用は進んでいないことがわかった。

上場企業2,430社 女性役員比率

業種別 最高はサービス業の5.29%、最低は建設業の1.6%

 業種別の女性役員比率は、最高がサービス業の5.29%。次いで、小売業の5.21%、金融・保険業の5.20%、電気・ガス業の5.0%、不動産業の4.2%と続く。
 女性役員比率が最も高かったサービス業(194社)の役員総数は2,043人で、このうち女性役員は108人。サービス業のなかで、最も女性役員比率が高かったのは老人介護ホームを展開している札証アンビシャス上場の(株)光ハイツ・ヴェラスの42.8%(役員総数7人、女性役員3人)だった。
 女性役員ゼロの企業の構成比が最も高かったのは、建設業で81.7%(112社)だった。全業種で唯一、8割を超え、女性役員比率は1.6%と全業種で最低だった。次いで、製造業の74.8%(844社)、卸売業の72.2%(172社)、運輸・情報通信業の68.0%(226社)、不動産業60.7%(34社)と続く。一方、女性役員がゼロの構成比が最も低かったのは、電気・ガス業の35.0%(7社)。社会インフラに直結し、公共的な存在意義を備えているだけに、女性目線での業務も役員登用を促しているとみられる。

上場企業2,430社 業種別女性役員比率

業種別女性役員の構成比 最高は保険業の12.4%

 業種別の女性役員の構成比では、最高が保険業の12.4%だった。保険業11社の役員総数169人のうち、女性役員は21人。以下、石油・石炭製品5.77%(役員総数104人、女性役員6人)、医薬品5.74%(同523人、同30人)、空運業5.3%(同56人、同3人)、サービス業5.2%(同2,043人、同108人)と続く。一方、最低は鉄鋼の1.5%(同517人、同8人)だった。
 重厚長大産業は男性優位が動かず、女性の雇用も多い保険業は女性役員の登用が進んでいる。

 女性役員がゼロの企業の構成比は、最高がゴム製品の85.7%(12社)。次いで、電気機器の82.0%(165社)、建設業の81.7%(112社)、金属製品の81.5%(53社)、鉄鋼の81.4%(35社)と80%台が続く。女性役員ゼロの企業の構成比80.0%以上は6業種あった。一方、女性役員比率トップの保険業は、女性役員ゼロの企業は18.1%(2社)にとどまり、最も低かった。

市場別 新興市場のマザーズが5.1%で最多

 市場別の女性役員比率は、最高がマザーズの5.1%。総役員数763人に対し、女性役員数は39人。以下、東証1部3.7%(役員総数1万8,822人、女性役員710人)、JASDAQ2.5%(同4,197人、同106人)、東証2部2.3%(同3,793人、同90人)と続く。最低は地方上場(同890人、同12人)の1.3%だった。
 新興市場のマザーズ上場企業は、設立から日が浅く、男女の区別なく有為な人材を積極的に登用することで女性役員の登用が進んでいるとみられる。
 女性役員がゼロの企業は、地方上場が88.8%(72社)でトップだった。次いで、東証2部が80.6%(295社)、JASDAQが78.9%(345社)と続く。

(株)シーボンが唯一、女性役員比率60%台

 女性役員比率は、(株)シーボン(東証1部)が60.0%で最高だった。同社はスキンケアなど高級化粧品を自社で製造販売しており、役員総数10人のうち6人が女性だった。2位は老人介護ホームの(株)光ハイツ・ヴェラス(札証)が42.8%、3位はソーシャルワイヤー(株)(マザーズ)とアステラス製薬(株)(東証1部)が各36.3%だった。
 女性役員比率トップの(株)シーボン、2位の(株)光ハイツ・ヴェラスは業務内容に加え、代表者も女性だけに男性優位の論理にこだわらず、女性役員登用につながっているようだ。

上場企業2,430社 女性役員比率ランキング


政府は、女性が企業の意思決定に関わることで多様な価値観が企業の経営に反映され、多様な価値観を受容する組織ではイノベーションが促進されるとの見解を示した。また、2013年4月には経済界に対し、「役員(取締役、会計参与、監査役若しくは執行役)に1人は女性を登用する」ことを要請している。
 だが、2017年3月期決算の上場企業を見る限り、女性役員比率は3.3%にとどまり、まだ厳しい現実が浮かび上がった。ただ、新興市場のマザーズは女性役員比率が5.1%と高く、弾力的な人事対応で社員のモチベーション向上につなげているようだ。
 1986年4月の男女雇用機会均等法施行から31年を経過した。まだ、女性の役員登用は道半ばにも立っていないが、業種や業歴により女性登用が進み始めており、今後の展開が注目される。

Xアイコン
facebookアイコン

人気記事ランキング

ランキング1位
  • TSRデータインサイト

「最低賃金」改定で、51.3%の企業が「給与変更」 2020年代の1,500円 「対応不可能」が4割切る

厚生労働省は9月3日、2026年度の全国の最低賃金額(平均)を1,177円(56円増)に引き上げた。 1978年度に目安制度が始まって以降、平均引き上げ額56円は前年度に続き2番目の高さで、これを受けて給与改定を迫られる企業が半数に達することがわかった。

2

  • TSRデータインサイト

1-9月「医療機関」倒産 過去最多の59件 身近なクリニック、歯科医院で苦境が鮮明

医療機関の倒産が再び勢いを増している。2026年1月-9月に倒産した病院・クリニック(診療所)・歯科医院などの「医療機関」は59件(前年同期比28.2%増)と、過去最多を更新した。

3

  • TSRデータインサイト

「税金滞納」倒産が168件、前年同期の2倍に大幅増 2026年度上半期の「税金滞納」倒産 破産が97.6%

2026年度上半期(4-9月)の「税金滞納(社会保険を含む)」倒産は、168件(前年同期比100.0%増)と、前年同期の2倍に達し、この10年で最多を記録した。物価や人件費などのコストアップが企業収益を圧迫し、納税原資を確保できない小・零細企業の行き詰まりに拍車を掛けている。

4

  • TSRデータインサイト

「社会保険の適用拡大」 中小・零細企業ほど負担増 企業の44.9%が「働き控え」懸念、「未対応」も半数

2026年10月から非正規従業員にも社会保険の適用が拡大された。「月収8万8,000円以上」の賃金要件が撤廃され給与額に関わらず条件を満たす社員は、新たに厚生年金や健康保険の加入対象となる。10月1~8日企業を対象に「社会保険適用の基準変更」に関するアンケート調査を実施した。

5

  • TSRデータインサイト

2026年1-9月「デイサービス」倒産47件 同期間で過去最多、介護業界の苦境鮮明

デイサービスなど「通所・短期入所介護事業」の倒産が増加している。2026年は9月までに47件(前年同期比34.2%増)と大幅に増加し、1-9月で過去最多を更新した。多様化するサービスなど、他社との競争が激化するほか、物価高に人手不足も重なり、苦境が深まっている。

TOPへ