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2014年度 都道府県別「赤字法人率」調査

 2014年度の赤字法人率の全国平均は70.23%(前年度71.82%)で、4年連続で改善を示した。2014年度は4月に消費税率の引き上げがあったが、円安を背景にして大手輸出メーカーが業績を伸ばした。さらに底堅いサービス消費や、公共事業を中心とした建設需要に支えられたことで、赤字法人率は福島を除く46都道府県で低下し、全国的に改善した。


  • 本調査は、2016年公表の「国税庁統計法人税表」(平成26年度分)を基に、2014年度の都道府県別赤字法人率(普通法人)をまとめた。赤字法人率は、普通法人を対象に赤字(欠損)法人数÷普通申告法人数×100で算出し、小数点第3位を四捨五入した。なお、普通法人は会社等(株式会社、合名会社、合資会社、合同会社、協業組合、特定目的会社、相互会社)、企業組合、医療法人などを含む。

全国9地区すべてで改善

 地区別の赤字法人率では、9地区すべてで前年度より改善した。このうち、赤字法人率が最も低率だったのは東北の65.01%(前年度65.42%)で、前年度より0.41ポイント改善した。次いで、北海道67.5%、九州68.08%、北陸68.49%、近畿69.65%、中国70.51%、関東71.23%、中部71.89%と続き、四国が最も高率の73.33%を示した。

赤字法人率推移

都道府県別、福島を除く46都道府県で赤字法人率が改善

 都道府県別では、福島を除く46都道府県で赤字法人率が改善した。このうち28道府県は、全国平均(70.23%)を下回った。福島は原発事故の影響がうかがえる。
 赤字法人率が最も低かったのは、8年連続で沖縄の62.55%(前年度63.72%)だった。沖縄の主力産業である建設業は公共工事への依存度が高く、赤字決算では公共事業の受注が難しくなることから、黒字捻出に重点を置くという地域事情も影響しているとみられる。次いで、青森63.10%(同63.75%)、岩手63.21%(同64.05%)、福島64.20%(同64.03%)、宮城65.58%(同65.83%)と続き、東北が目立った。
 一方、赤字法人率が最も高かったのは、徳島の77.56%で8年連続。次いで、長野74.88%、静岡73.57%、香川73.44%と続く。総じて、従業員数の少ない「小規模企業」の比率が高い地域が目立つ。

赤字法人数、43都道府県で減少

 都道府県別の赤字法人数では、43都道府県で減少した。減少率が最も高かったのは、富山の前年度比3.4%減(13,106→12,650社)。次いで、群馬が同3.2%減(29,336→28,375社)、島根が同3.0%減(7,845→7,609社)、石川が同2.9%減(16,333→15,856社)と続く。
 一方、増加率では福島が同2.6%増(22,967→23,583社)、沖縄が同1.5%増(12,781→12,981社)、宮城が同1.3%増(25,772→26,122社)、奈良が同0.6%増(12,795→12,876社)の4県だけだった。
 沖縄は、赤字法人数の増加率(1.5%)に比べ、普通申告法人数の増加率(3.4%)が大きく、相対的に赤字法人率を低率に抑制したとみられる。このほか、普通申告法人数の増加率が高かったのは福島2.4%増、宮城1.7%増、福岡1.6%増、奈良1.5%増など。

産業別赤字法人率、建設業の改善幅が最大

 産業別の赤字法人率では、3年連続で10産業すべてが前年度より改善した。改善幅が最も大きかったのは建設業の4.22ポイント改善(68.82→64.60%)だった。景気対策の公共工事の拡大が貢献したとみられる。次いで、運輸業が2.56ポイント改善(67.99→65.43%)、製造業が2.23ポイント改善(74.69→72.46%)と続く。これに対して改善幅が最少だったのは、小売業の0.30ポイント改善(77.50→77.20%)で、厳しい価格競争を反映した。


2014年度の赤字法人率は、年度内に消費税率の引き上げが実施されたが、アベノミクスによる円安基調と金融緩和、さらに公共事業拡大などが効果を発揮して、赤字法人率は全国的に改善をみせた。ただし、依然として全体の7割の会社が赤字という状況は続いていて、地方経済の立て直しが急務であることに変わりはない。

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