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2015年度「書店」の倒産状況

 2015年度(2015年4月-2016年3月)の「書店」(書籍・雑誌小売業)の倒産は19件で、2014年度(16件)より3件(18.7%)増加した。2013年度(13件)を底に2年連続で増加している。2015年度の全産業の倒産は8,684件(前年度比9.0%減)とバブル期並みの低水準を記録し、7年連続で減少しただけに対照的な結果となった。
 資本金別は、100万円以上500万円未満が8件と書店倒産の42.1%を占めた。全産業では29.0%(2,524件)にとどまり、書店の倒産は少額資本金の比率が高いことがわかった。
 一方、負債額は、負債1億円以上が7件(構成比36.8%)を占め、全産業平均の28.6%(2,489件)と比べ、負債額の大きな倒産比率が高い。
 2015年度の書店倒産のうち、負債の上位2社となった(株)芳林堂書店(TSR企業コード:291041370、法人番号:9013301011177、豊島区、現:(株)S企画)と、(株)興文堂書店(TSR企業コード:016951557、法人番号: 1490001001022、高知市)は、ともに2016年3月に破産した出版取次の(株)太洋社(TSR企業コード:290893208、法人番号:9010001049176、千代田区)に連鎖した。
 それぞれ太洋社からの支援で経営を維持していたが、2016年2月に太洋社が自主廃業を決定して以降、書籍や雑誌の入荷が困難になり、債務の支払いを迫られて事業継続を断念した。
 なお、倒産ではないが太洋社に連鎖した書店の休廃業は、17社(個人企業含む)・19店舗に及んでいる。同社倒産の影響はさらに広がる可能性がある。


書店の倒産件数、2年連続で増加

 2015年度の書店倒産は19件で、2年連続で増加した。月次推移では12月以降、前年同月の件数を下回った月はなく、年度後半の倒産増加が顕著だった。
 負債総額は、41億3,600万円で前年度より7億800万円(20.6%)増加した。芳林堂書店が約20億円の負債を抱えて破産し、1社平均の負債額は2億1,800万円に膨らんだ。平均負債額は、2012年度の6,200万円を底に3年連続で増加した。

書店倒産推移

資本金・負債額別 全業種平均よりも少額資本の構成比が高い

 資本金別は、1,000万円以上5,000万円未満が最も多く9件(構成比47.3%)だった。次いで、100万円以上500万円未満が8件(同42.1%)。全産業の100万円以上500万円未満は、29.0%(2,524件)で、書店の倒産は少額資本の比率が高い。
 負債総額別は、最も多いのは1,000万円以上5,000万円未満の7件(同36.84%)。1億円以上は7件(同36.8%)発生した。全産業の1億円以上の構成比率は28.6%で、書店は負債額が比較的大きい倒産の比率が高い。

形態別、再建型倒産の発生はなし

 形態別は、破産が17件(構成比89.4%)で最多。その他、特別清算1件、取引停止処分1件(ともに同5.2%)だった。
 芳林堂書店が運営していた店舗は、(株)アニメイト(TSR企業コード:295133830、法人番号: 7013301000644、板橋区)傘下の(株)書泉(TSR企業コード:290958997、法人番号:8010001019056、千代田区)が継承している。芳林堂書店は帳合先である太洋社に多額の未払い金が発生していた関係で帳合変更や身売りが難航し、同一法人での事業継続を断念した。


 2015年度の書店の倒産は19件で2年連続で増加した。全産業と比べ少額資本の比率が高い反面、1億円以上の負債を抱えた倒産が多いのが特徴だ。
 出版業界は、出版社(版元)、取次(流通)、書店(小売)によって成り立っている。取次業者は通常の卸売業者と異なり、流通とファイナンス機能を兼ね備えている。経営の厳しい書店は、取次業者に資金繰り支援を求め、取次業者は自社シェアを確保するため支援に応じる。この二律背反の関係が深みにはまると、力を超えた支援が取次業者の経営を圧迫することになる。同時に、取次業者の経営破綻は帳合関係にある書店の経営をも直撃する。これが今回の太洋社の破産に伴う連鎖倒産や書店廃業が相次いだ要因になっている。そして、取次業界で資金力が豊富な大手2社の寡占化が進む背景でもある。
 2015年度の書店倒産で負債が3番目だった(株)久住書房(TSR企業コード:010021540、法人番号: 7430001004933、札幌市)は、「なぜだ!?売れない文庫フェア」など斬新なブックフェアの開催や、インターネットを通じ多くの人から少額の出資を募るクラウドファウンディングで資金を調達していた。だが、業績不振を取次業者の支援でしのいでいたため、抜本的な経営改善が遅れていた。
 現在、関係省庁が主導する形で「事業性評価」による融資促進が進められている。金融機関はコンサルティング力を最大限発揮し、融資先企業の強み、弱みを企業とともに分析し、成長の芽を探す。時には廃業を含めて不採算事業からの撤退も促すことになる。ところが、取次業者の書店への支援は、自社のシェア確保を重視している。それだけに安易な支援になりやすく、抜本的な再建を先送りし、結局は負債額を膨らませることになる。書店は大量の書籍を扱い、ある意味での「装置型産業」で、業界の独特な流通形態を前提に多くの書店経営は成り立っている。
 出版物の入手経路が多様化する中、書店経営は顧客を待つだけの商法からの脱皮が急がれる。

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