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「手形・でんさい」動向調査

 2014年(1-12月)の全国手形交換所の手形交換高金額(以下、手形交換額)は332兆6,553億円だった。交換金額は2013年(366兆4,449億円)より9.2%減少(33兆7,896億円減少)し、ピークだった1990年(4,797兆2,906億円)から24年間で6.9%(約14分の1)に縮小した。全国の手形交換所も2014年12月で113カ所と、ピークの1997年(185カ所)から72カ所減少した。
 一方、2013年2月スタートした全国銀行協会が進める電子手形の決済、電子記録債権(以下、でんさい)の2014年の発生記録請求金額(以下、でんさい額)は4兆7,611億5,600万円だった。
 でんさいは大手企業の移行や、債権分割が容易で手形と異なり印紙が不要などのメリットを生かして、2015年1月に登録社数が40万社を超え、でんさい額は2015年3月に6,000億円を超えた。
 手形決済は経済規模の拡大から交換額は増加をたどってきたが、バブル崩壊後は減少へ転じた。最近は低金利を背景に金融機関からの資金調達環境も改善し、決済は手形や小切手から現金決済が増えたほか、でんさいにシフトしている。また、業績改善が遅れている企業も不渡決済を回避する方向にあり、手形決済は急激に減少している。
 ただ、2014年のでんさいの請求金額は、手形交換金額のわずか約1.4%にとどまり、依然として中小企業の決済では手形が重要な位置を占めていることがわかった。


  • ※一般社団法人全国銀行協会の全国手形交換高・不渡手形実数・取引停止処分数調と、でんさいネット請求等取扱高を分析した。
  • ※「でんさいネット」は、全国銀行協会の100%出資で設立された電子債権記録機関「株式会社全銀電子債権ネットワーク」の通称で、「でんさい」は同社の登録商標である。

手形交換額はピーク時の約7%に減少

 2014年の手形交換額は332兆6,553億円で、前年(366兆4,449億円)より9.2%(33兆7,896億円)減少した。
 ピークの1990年は4,797兆2,906億円だったが、バブル崩壊後は激減し、2001年は1,000兆円を割り込んだ。その後も減少をたどり、2014年の手形交換高(332兆6,553億円)は、ピークのわずか6.9%まで減少した。
 また、手形決済の減少に伴い2014年の手形交換所数は113カ所と、ピークの1997年(185カ所)に比べ38.9%(72件)減少した。

 手形交換は、金融機関が手形や小切手などを持ち寄って交換する民間の決済制度で、全国各地に開設された。明治12年に開設された大阪手形交換所が第一号で、以降は手形や小切手の流通量の増加に伴い、全国各地に次々と開設された。
 高度経済成長期の1968年に手形交換所は初めて100カ所を超え、1987年、1988年、1997年は185カ所とピークに達した。しかし、その後は金融危機や商慣行の変化で、銀行の統廃合や手形交換事務の合理化などから減少をたどり、2014年は113カ所まで減少した。

手形交換高・交換所推移

でんさい額は増加

 2003年7月、IT活用による改革を推進するIT戦略本部が決定した「e-Japan戦略Ⅱ」にて電子記録債権制度が構想された。2008年12月、電子記録債権法が施行され、金融において新たな決済手段として『でんさい』が誕生し、紆余曲折を経て2013年2月から運用が始まった。
 2014年(1-12月)のでんさい額は4兆7,611億5,600万円で、スタート元年の2013年(11カ月間)の1兆495億1,000万円からわずか1年で353.6%増加した。
 でんさい額は右肩上がりで伸びているが、2014年(1-12月)のでんさい額は、手形交換額のわずか1.4%に過ぎない。また、2015年(1-9月)もでんさいの請求額は5兆6,311億2,600万円と伸び、2014年(1-12月)の実績を上回ったが、2015年(1-9月)の手形交換額(230兆4,932億4,000万円)とは依然として金額の隔たりは大きい。
 大手企業の多くは、印紙代の削減や管理の簡素化から決済をでんさいに変更しているが、中小企業はまだ体制が整わず対応が遅れている。
 現状は、大手企業と中小企業では認識の温度差が大きく、中小企業に浸透するまでにはしばらく時間を要すると思われる。

手形交換額・でんさい発生記録請求金額推移

 2014年の手形交換額は前年に比べ33兆7,896億円減少した。一方、でんさいは2014年の請求金額が4兆7,611億5,600万円と増加をたどるが、まだ手形交換額には遠く及ばない。
 でんさいは、開始当初は決済方法をでんさいに変更しようとした企業が取引先から反対されでんさいで決済を断念したケースもあった。
 最近は、低金利で資金調達が可能な大手企業や優良企業が決済を手形から現金へシフトしている。また、手形やでんさいには半年間に2回の決済不履行を起こすと取引停止処分という罰則があるが、現金決済の場合には罰則はない。このため、資金繰りが苦しい中小企業が決済不履行(不渡り)を回避するため、手形を振り出さず現金決済で対応している事態も推測される。
 ただ、中小企業は信用力が乏しく、厳格な罰則規定のある手形から現金決済へシフトできずにいる企業もある。また、資金力が乏しく、支払サイトが長い手形振出から決済を変更できずにいるケースも想定される。20年以上にわたり減少をたどる手形交換高だが、2014年の手形交換額は332兆6,553億円で、決して少額ではない。
 でんさいは、印紙が不要で手形と異なり支払期日当日に資金を利用できる。また、分割譲渡ができるなど利便性が高く、今後も請求金額は増えていくとみられる。同時に、資金余力がある企業は手形から現金支払いへシフトも進んでいくとみられる。
 現状、急激に中小企業の資金事情が好転する状況にはなく、しばらくはこれまで通りに手形決済に頼った資金繰りを続けていくと思われるが、でんさいが中堅企業から徐々に中小・零細企業にシフトする流れは強まっていくと思われる。

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