「箱根町観光関連企業」調査
気象庁は5月6日、箱根山に対して噴火警戒レベル2(火口周辺規制)への引き上げを発表した。これに伴い神奈川県箱根町は、大涌谷一部周辺に対し、立ち入りを規制した。
箱根町に本社を構える企業数は258社。このうち、観光関連企業数は115社と全体のほぼ半数を占めた。また、2期売上高を比較可能な160社の2014年売上高合計は585億5,126万円と前年比で2.3%増になった。観光関連企業の売上高合計は345億9,681万円となり、売上高は前年比で3.0%増だった。観光関連企業の売上高構成比は全業種の60%近くを占め、箱根町における観光関連企業は裾野が広く、売上高も増収傾向にあることがわかった。
噴火警戒レベルの引き上げによる避難指示等の地域はごく一部に限定されるが、観光シーズンの本格化を前に、箱根町は観光関連企業の比率が高いだけに、周辺地における風評被害が懸念される。
- ※本調査は東京商工リサーチの企業データベースから、神奈川県足柄下郡箱根町に本社を構える企業を抽出、分析した。なお、日本標準産業分類では観光業という業種は登録されておらず、今回の調査では旅館やホテル業を中心に、観光に関連する業種を含めて「観光関連企業」と定義した。
観光関連企業数は全社数の半数近くを占める
箱根町に本社を構える企業は258社。建設業が103社(構成比39.9%)、サービス業他が100社(同38.7%)、小売業が24社(同9.3%)の順。このうち、観光関連企業は115社で、全体の44.5%と半数近くを占めた。観光関連企業115社の内訳は、宿泊業の50社を中心としたサービス業他が77社(構成比66.9%)、土産品等販売を含む小売業が22社(同19.1%)、旅館向け食料品販売をなどを含む卸売業が12社(同10.4%)。
観光関連の売上高は前年比3%増
2013年(1月期から12月期)と2014年(同)の売上高が比較可能な企業(258社中160社、観光関連企業115社中64社)を抽出して分析した。全160社の2014年の売上高は585億1,216万円となり、前年比2.3%の増収だった。64社の観光関連企業の売上高は345億9,681万円で、前年比3.0%増と全体の増収幅を0.7ポイント上回り、160社の売上高合計に占める構成比も59.1%(前年58.7%)と上昇。観光関連企業が全体の売上増のけん引役となった。
まとめ
リーマン・ショックや東日本大震災の影響から、一時は観光客数の減少もみられたが、積極的な営業や円安に伴う外国人観光客の増加から、観光関連企業が勢いに乗り、箱根町に本社を構える企業の売上高は増収傾向にある。また、東京オリンピックに向けて続伸が期待される。こうしたなかで、噴火警戒レベルの引き上げとなり、箱根町は地域防災計画に基づき、規制を行い、観光客の安全を守る措置を講じた。まだ、規制されている地域はごく一部であり、影響が最小限に抑えられている。しかし、噴火警戒が長期化した場合、周辺地の風評被害が懸念される。