• TSRデータインサイト

2014年度 出版業の倒産状況

 全体の企業倒産が低水準に推移するなか、出版業の年度倒産は3年ぶり前年度を上回った。専門書などを扱う老舗企業の倒産が目立ち、メディアの多様化に伴う業界の厳しい現状を映し出した。

出版業の倒産

出版業倒産 3年ぶりに前年度を上回る

 全体の倒産がバブル景気時並みの低水準に抑制されるなか、2014年度の出版業倒産は41件(前年度比41.3%増、前年度29件)にのぼり、3年ぶりに前年度を上回った。
また、負債総額は113億300万円(同272.4%増、同30億3,500万円)で、平均負債額が2億7,500万円(前年度比164.4%増)で、前年度より2.6倍に急増した。負債10億円以上の大型倒産が3件(前年度ゼロ)発生して負債が膨らんだ。

老舗専門出版社の倒産が目立つ

 主な倒産事例では、女性誌「小悪魔ageha」を発刊していたインフォレスト(株)(負債30億円)。明治38年創業で老舗美術誌「美術手帖」を出版していた(株)美術出版社(同19億5,600万円)。「キモカワキャラ」でヒットした児童絵本「こびとづかん」を出版していた長崎出版(株)(同12億1,000万円)。仏教・美術書籍出版の(株)同朋舎メディアプラン(同6億5,000万円)。「解けるナンプレ」などのパズル関連書籍を出版していた(株)青空出版(同3億5,400万円)など。

原因別、販売不振が6割を占める

 原因別では、販売不振が27件(前年度比28.5%増、前年度21件)と最も多く、全体の6割(構成比65.8%)を占めた。このほか事業上の失敗が4件(前年度1件)、他社倒産の余波が3件の順。
形態別では、破産36件(前年度比71.4%増、前年度21件)を筆頭にして、取引停止処分4件、民事再生法が1件だった。
2014年の出版物推定販売金額(出版科学研究所調べ)は、前年比4.5%減の1兆6,065億円で、10年連続で前年を下回った。調査開始以来、最大の落ち込みで、消費税率の引き上げが減少に拍車をかけた。ネットの普及やメディアの多様化に伴なう紙媒体の低迷とともに出版業界は厳しい状況が続く。紙関連産業にも影響があるため、今後の推移が注目される。

人気記事ランキング

  • TSRデータインサイト

破産の全東信、20年前から粉飾決算か=600億円超の債務超過のおそれ

決済代行を手掛けていた(株)全東信(TSRコード:575448075、大阪市中央区)の破産劇の裏側がわかってきた。東京商工リサーチ(TSR)の取材で、業績悪化を隠すために、多額の預金の架空計上に手を染めていた実態がみえてきた。

2

  • TSRデータインサイト

全東信の破産、焦付不可避と機会損失 ~外食団体、「セーフティネット保証1号」適用を要請~

クレジットカード決済代行を手掛けていた(株)全東信(TSRコード:575448075、大阪市中央区)の破産の余波が広がっている。7月6日に負債1,259億円(2025年3月期決算時点)を抱え、大阪地裁から破産開始決定を受けて以降、取引金融機関が取り立て不能等を次々と開示している。

3

  • TSRデータインサイト

全東信の粉飾、資本と営業権と不動産から読み解く

大手決済代行の(株)全東信の粉飾は見抜けたのか。破産したいま、過去の決算書を基に違和感を指摘するのは難しくない。預金残高の水増しや債権の架空計上など、全東信はありきたりの手口に手を染めていた。

4

  • TSRデータインサイト

準自己破産の全東信、近畿産業信組が219億円貸出

大手決済代行の(株)全東信(TSRコード:575448075、大阪府)の資金調達先が東京商工リサーチ(TSR)の取材で判明した。

5

  • TSRデータインサイト

止まらない建設業の倒産、職別工事が総合工事を抜く ~ 施工力が「希少資源」、動き始めた内製化 ~

2025年の建設業の倒産は、2,014件(前年比4.6%増)で、4年連続で前年を上回り、2013年(2,421件)以来、12年ぶりに2,000件を超えた。 コロナ禍の2021年に1,065件と2000年以降では最少を記録。その後は増勢に転じ、わずか4年で約2倍に増加した。

TOPへ