• TSRデータインサイト

全国27万社「都道府県別財務データ分析」調査

 全国27万社の赤字企業率は21.9%(前期比3.1ポイント改善)で、全国9地区すべてで前期より改善した。円安、株高を背景に上場企業の好業績が目立つなか、未上場企業も全国的に業績を持ち直していることがわかった。


  • 本調査は、東京商工リサーチの財務データベースのうち、最新決算からさかのぼって3期連続の財務データがある27万4,138社(上場企業を除く)を無作為に抽出し、分析した。最新決算データは2014年12月期まで。
    なお、比率は「平均値」が突出した大手企業の数値に影響されやすいため、赤字企業率を除き「中央値」(データを昇順(降順)で並べた際の真ん中に位置する値)で比較した。

赤字企業率 全国9地区すべてで改善

 全国27万社の赤字企業率(当期損失を計上した企業数の比率)の全国平均値は、前々期27.9%→前期25.0%→最新期21.9%と年々比率が低下し、経営改善がみられた。
地区別では、全国9地区すべてで最新期の赤字企業率が前期より改善した。前期比較では、九州が4.9ポイント改善(前期25.6→最新期20.7%)で最も好転した。次いで、北海道4.8ポイント改善(同30.0→同25.2%)、中国4.7ポイント改善(同22.3→同17.6%)の順。改善度合いが最も低かったのは四国の0.4ポイント改善(同19.1→同18.7%)だった。
都道府県別では、比率が最も低かったのは沖縄の15.4%。次いで、岩手16.4%、青森17.5%、北海道17.6%、福島18.4%と続き、震災で直接被害を受けた東北地方の低率さが目立つ。
一方、最新期で最も比率が高かったのは徳島の30.0%。徳島は、東京商工リサーチが国税庁税務統計法人税表に基づいてまとめた「都道府県別の赤字法人率(普通法人)調査」(2012年度)でも、6年連続で赤字法人率が最も高かった。次に静岡29.3%、長野26.3%、群馬26.1%の順。
前期比較では、宮城と福島を除く45都道府県で前期より改善した。改善度合いが高かったのは鳥取7.0ポイント改善(前期32.5→最新期25.5%)、島根6.5ポイント改善(同30.7→同24.2%)、沖縄5.8ポイント改善(同21.2→同15.4%)の順だった。

赤字企業率

有利子負債構成率 静岡と広島が上位を占める

 有利子負債構成率(総資産に占める有利子負債の割合)の全国中央値は、前々期36.8%→前期35.5%→最新期33.3%と比率が低下している。
都道府県別では、比率が最も高かったのは静岡の46.4%。次いで、広島が42.2%と続き、自動車関連産業が基幹産業である2県が上位に並んだ。以下埼玉41.9%、神奈川41.0%、大阪40.7%の順。都道府県別で最新期において前期より比率が低下したのは、奈良を除く46都道府県にのぼった。地区別では、9地区すべてで前期を下回った。

有利子負債構成率

自己資本比率 都道府県別トップは奈良59.2%

 自己資本比率(総資産に占める自己資本の割合)の全国中央値は、前々期26.2%→前期27.1%→最新期28.2%と比率が上昇している。
自己資本比率は、企業の基礎体力や安全性を示す。比率の上昇は借入金減少を意味し、経営の安定度を測る物差しになる。
都道府県別で最も比率が高かったのは奈良の59.2%。奈良は個人企業を中心に自己資本比率の高い企業が目立ち、有利子負債構成率の中央値は9.5%で47都道府県で唯一10%を下回った。
次に、佐賀37.9%、島根37.2%、宮崎36.6%、滋賀36.2%と続く。一方、比率が低かったのは広島の19.6%、静岡20.9%、徳島22.3%、埼玉22.9%の順だった。

自己資本比率

経常利益率 都道府県別では被災3県が上位に並ぶ

 経常利益率(売上高に占める経常利益の割合)の全国中央値では、前々期1.1%→前期1.4%→最新期1.9%と比率が上昇している。経常利益率は、金融収支などを含む総合的な収益力を反映し、比率が高いほど財務状態が良好といえる。
地区別では、全国9地区すべてで最新期の経常利益率が前期より上昇した。上昇度合いでは、北陸新幹線の開通で沸く、北陸の0.8ポイント上昇(前期1.7→最新期2.5%)を筆頭にして、中国0.7ポイント上昇(同1.3→同2.0%)、北海道0.7ポイント上昇(同1.2→同1.9%)、中部0.5ポイント上昇(同1.4→同1.9%)と続く。
都道府県別で最も比率が高かったのが滋賀の3.1%だった。次いで、佐賀3.0%、福島2.98%、岩手2.95%、奈良2.8%、石川2.77%、宮城2.72%、富山2.6%の順。復興需要の影響もあって被災3県が上位に並ぶ。
一方、比率が低かったのは、徳島0.9%を筆頭に、山梨1.2%、千葉1.41%、岡山1.49%、宮崎1.52%、栃木1.53%の順だった。
前期比較では、佐賀が0.89ポイント上昇(前期2.20%→最新期3.09%)で最も上昇した。以下、石川0.87ポイント上昇(同1.90→同2.77%)、岩手0.84ポイント上昇(同2.11→同2.95%)、岐阜0.83ポイント上昇(同1.65→同2.48%)、富山0.82ポイント上昇(同1.81→同2.63%)と続く。

経常利益率


 景気が上向きで推移するなか、未上場企業の財務比率は全国的に改善傾向がみられた。政府が掲げる「地方創生」の実現には絶好の追い風になっている。しかし、原材料の上昇、人手不足など経営課題も多く、今後も企業業績が堅調に改善ペースを辿るかどうかは予断を許さない。

記事の引用・リンクについて

記事の引用および記事ページへのリンクは、当サイトからの出典である旨を明示することで行うことができます。

(記載例) 東京商工リサーチ TSRデータインサイト ※当社名の短縮表記はできません。
詳しくはサイトポリシーをご確認ください。

人気記事ランキング

  • TSRデータインサイト

退職代行「モームリ」、運営会社の代表変更

退職代行「モームリ」を運営する(株)アルバトロス(TSRコード:694377686、横浜市)は、公式ホームページの代表取締役を変更した。

2

  • TSRデータインサイト

バイオベンチャーのSpiber、事業譲渡後に特別清算 ~ ユニコーン企業、2025年12月期は438億円の最終赤字 ~

バイオベンチャーとして注目されたSpiber(株)(TSRコード:363798706、山形県鶴岡市)が約300億円の債務超過を解消できず、新会社に事業を譲渡後、特別清算を申請する方針を固めた。

3

  • TSRデータインサイト

家事代行の倒産が過去最多 ~ 老舗・大手がひしめくなか、参入も急増 ~

共働きや独身世帯の増加で、掃除や料理、洗濯、ベビーシッターなど、家事代行(家事サービス)のニーズは高い。子育てだけでなく介護も加わり、市場は広がる。 一方、家事代行業者の倒産が急増している。2025年度は4-2月で11件に達し、すでに過去最多を更新した。

4

  • TSRデータインサイト

「イタメシ」「韓国料理」など専門料理店の倒産最多 ~ インバウンドの取りこぼしと輸入食材の高騰 ~

イタメシ、韓国料理、フレンチ、タイ料理など専門料理店の倒産が急増している。2025年度(4-3月)の倒産は2月までにバブル期の1988年度以降、最多の85件に達した。

5

  • TSRデータインサイト

メインバンク取引社数 国内10位の金融Gに しずおかFGと名古屋銀が統合へ、2万8,121社

メインバンクの取引社数が全国16位のしずおかFGの静岡銀行(1万8,762社)と、名古屋銀行(9,359社)が、経営統合に基本合意したことを発表した。両行のメイン取引社数は合計2万8,121社で、国内金融グループで10位の地銀グループが誕生する。

TOPへ