• TSRデータインサイト

「円安」関連倒産 11月は21件

 外国為替市場での円安進行が止まらない。12月5日には一時1ドル=121円台まで円安が進み、2007年7月以来7年4カ月ぶりの円安水準になった。急速な円安は、輸出企業には収益を押し上げるが、海外からの輸入に頼るエネルギー、資源、食料品など幅広い分野では物価を押し上げ中小企業の体力を消耗させ、一般家庭の支出行動にも影響が出始めている。
2014年11月の「円安」関連倒産は21件(前年同月比16.6%増、前年同月18件)だった。日銀の追加金融緩和で円安に拍車がかかっている。政策効果で倒産は抑制されてきたが、業績回復の遅れに加え、円安によるコストアップが収益悪化を招き、一層の業績下振れが危惧される。
一方、原油価格の急落や需要減からガソリン、鋼材など価格が下落している商品もあるが、範囲は限定的にとどまる。円相場の推移次第では、年明け以降は倒産の増勢も現実味を帯びてくる。

円滑化法関連倒産月次推移

2014年1-11月は259件 前年同期比倍増で推移

 円安に起因する「円安」関連倒産は、2014年1-11月で累計259件(前年同期比105.5%増、前年同期126件)にのぼった。前年同期に比べて倍増で推移している。
産業別では、最多が貨物自動車運送など運輸業の94件(構成比36.2%)で、人手不足により人件費アップと燃料価格の高止まりが影響した。次いで、製造業54件(同20.8%)、卸売業45件(同17.3%)、サービス業他25件(同9.6%)、小売業15件(同5.7%)と幅広い業種に及ぶ。

人気記事ランキング

  • TSRデータインサイト

建材販売業の倒産 コロナ禍の2倍のハイペース コスト増や在庫の高値掴みで小規模企業に集中

木材や鉄鋼製品などの建材販売業の倒産が、ジワリと増えてきた。2025年1-7月の倒産は93件で、前年同期(75件)から2割(24.0%)増加した。2年連続の増加で、コロナ禍の資金繰り支援策で倒産が抑制された2021-2023年同期に比べると約2倍のハイペースをたどっている。

2

  • TSRデータインサイト

「転勤」で従業員退職、大企業の38.0%が経験 柔軟な転勤制度の導入 全企業の約1割止まり

異動や出向などに伴う「転勤」を理由にした退職を、直近3年で企業の30.1%が経験していることがわかった。大企業では38.0%と異動範囲が全国に及ぶほど高くなっている。

3

  • TSRデータインサイト

女性初の地銀頭取、高知銀行・河合祐子頭取インタビュー ~「外国人材の活用」、「海外販路開拓支援」でアジア諸国との連携を強化~

ことし6月、高知銀行(本店・高知市)の新しい頭取に河合祐子氏が就任した。全国の地方銀行で女性の頭取就任は初めてで、大きな話題となった。 異色のキャリアを経て、高知銀行頭取に就任した河合頭取にインタビューした。

4

  • TSRデータインサイト

ダイヤモンドグループ、複数先への債務不履行~蔑ろにされた「地域イベントの想い」 ~

ライブやフェスティバルなどの企画やチケット販売を手掛けるダイヤモンドグループ(株)(TSRコード:298291827、東京都、以下ダイヤモンドG)の周辺が騒がしい。

5

  • TSRデータインサイト

2025年1-8月の「人手不足」倒産が237件 8月は“賃上げ疲れ“で、「人件費高騰」が2.7倍増

2025年8月の「人手不足」が一因の倒産は22件(前年同月比37.5%増)で、8月では初めて20件台に乗せた。1-8月累計は237件(前年同期比21.5%増)に達し、2024年(1-12月)の292件を上回り、年間で初めて300件台に乗せる勢いで推移している。

TOPへ