「東日本大震災」関連倒産 2014年11月は12件(12月5日現在)
2014年11月の「東日本大震災」関連倒産は12件で、31カ月連続で前年同月を下回った。件数は10月と並び今年最少で、震災から3年半が経過し震災関連倒産は収束傾向を一層強めている。
ただし、累計は1,534件(12月5日現在)に達した。
また倒産のほか、事業停止や法的手続準備中の「実質破綻」が7件あり、これを含めた震災関連の経営破綻(倒産+実質破綻)は累計1,541件になった。
2014年11月の地区別は、東北6件、関東5件、中部1件の順。このうち、東北は山形3件、宮城2件、岩手1件だった。
「震災関連」倒産の累計1,534件を都道府県別にみると、最多は東京の459件(11月4件)。次いで、宮城116件、北海道81件、神奈川66件、福岡62件、千葉60件、岩手55件、群馬53件、茨城51件、大阪と静岡が44件、栃木41件、福島と埼玉が各40件と続く。直接被災地の東北6県の倒産件数は291件(構成比18.9%)だった。
「震災関連」倒産の累計1,534件を産業別にみると、最多は宿泊業・飲食店などを含むサービス業他の396件(11月5件)。次いで、製造業が361件(同2件)、卸売業が279件(同1件)、建設業が194件(同ゼロ件)、小売業が140件(同2件)と続く。
被害型で分類すると、「間接型」1,409件(構成比91.8%)に対し、「直接型」は125件(同8.1%)だった。11月は「直接型」が2件(宮城・岩手)だった。
2014年11月の倒産事例
化粧品販売の(有)ふじたや(TSR企業コード:170199703、岩手県)は、釜石市の繁華街で営業してきたが、東日本大震災で店舗と在庫商品が全てが流失する被害を受けた。その後は、他に先駆けて営業を再開したが、客足が戻らず業績低迷から破産を申請した。
老舗温泉旅館の(株)岡崎屋旅館(TSR企業コード:210105925、山形県)は、江戸時代中期から営業を続け、蔵王スキー場利用客などを中心に営業してきた。しかし、東日本大震災で観光客が急減し、その後も集客が回復せず、先行きの見通し立たないことから破産を申請した。
震災関連倒産は、震災から3年半が経過し、発生ペースの鈍化が目立つ。しかし、震災の影響を払拭できない企業がまだみられる。
震災関連の集計基準
「震災関連」の経営破綻は、原則として次の3 つのどれかに該当するものを集計している。
- 震災により施設・設備・機械等に被害を受けて経営破綻した(直接型)
- 以前から経営不振だったが、震災による間接影響を契機に経営破綻した(間接型)
- 震災の影響による経営破綻が、取引先や弁護士等への取材で確認できた(直接・間接型)
- ※集計では、すでに震災前に再建型の法的手続を申請しながら、震災による影響で再建を断念し破産手続に移行したケースなどは、倒産件数のダブルカウントになるため集計から除外している。
- ※「震災関連」の経営破綻は下記の「倒産の定義」のいずれかに該当するケースを「倒産」として集計。「事業停止」や「弁護士一任」、「破産手続き中」などの企業は、今後の展開次第で事業再開の可能性もあるため、「実質破綻」として区別した。
倒産の定義(対象:負債額1,000 万円以上の法人および個人企業)
- 会社更生法、民事再生法、破産、特別清算を裁判所に申請した企業(法的倒産)
- 手形決済などで6 カ月間に2 回の不渡りを出し、銀行取引停止処分を受けた企業(私的倒産)
- 企業が経営破綻により事業継続を断念したが、法的手続きを採らず弁護士などに事後を一任して私的整理(内整理)を明らかにした企業(私的倒産)