2015年3月期「下期想定為替レート」調査 1ドル=105円が約4割
東証1部、2部上場メーカー85社のうち、約4割の企業が対ドルの下期想定レートを1ドル=105円に設定した。日銀の大胆な金融緩和が影響して、外国為替市場では急速な円安が進行している。追い風を受けて輸出企業を中心に好業績をあげる企業が続出している。ただし、外国為替市場に不安定な要素もあることから、想定レートの変更を慎重にしているケースも一部でみられた。
- ※本調査は、東京証券取引所1部、2部に上場する主な電気機器、自動車関連、機械、精密機器メーカー(3月本決算企業)のうち、2015年3月期決算の業績見通しで第3四半期以降(10月以降)の下期想定為替レートが判明した85社を抽出した。資料は決算短信、業績予想等に基づく。
下期の想定為替レート 1ドル=105円が最多
東京証券取引所1部、2部に上場する主なメーカー85社(3月本決算企業)のうち、2014年3月期決算の下期(第3四半期以降)業績見通しで、対ドル相場を1ドル=105円に想定した企業が32社(構成比37.6%)で最も多かった。次いで、100円が22社(同25.8%)、104円が10社、103円と107円が各5社、110円が4社と続く。想定レートの最安値は110円だった。
期初とのレート比較 1ドル=100円から105円へ変更が27社
対象85社は、期初時点において対ドル相場を1ドル=100円とした企業が63社(構成比74.1%)と全体の7割を占めていた。
下期想定レートの期初比較では、「100円から105円」に変更が27社(構成比31.7%)で最も多かった。次いで、期初の「100円」と変わらず18社(同21.1%)、「100円から104円」に変更が8社、「100円から107円」に変更と「100円から103円」に変更が各3社と続く。
円安が急速に進行
円相場は11月6日に、一時1ドル=115円台まで円安が進み、2007年11月以来約7年ぶりの円安水準になった。ドル円相場は、半年以上1ドル=101~104円のレンジでの動きが続いたが、2014年8月半ば頃から変化が出始め、9月になってからは109円台、10月には110円台まで円安が進むなど一層拍車がかかった。
対ユーロ想定為替レート 1ユーロ=135円が最多
上場メーカー85社のうち、ユーロの想定為替レートが判明した62社をみると、下期の対ユーロ想定レートで最も多かったのは、1ユーロ=135円の34社(構成比54.8%)だった。次いで、137円が8社、138円が6社、130円が5社と続く。最安値は140円だった。なお、期初時点でも1ユーロ=135円で想定する企業が多かった。
外国為替市場のユーロ円相場は、2014年9月4日に欧州中央銀行(ECB)が政策金利を過去最低の0.05%に引き下げる追加金融緩和を決定したことを受けて、135円台までユーロ安が進んだ。その後も、対ドル相場の円安に連動する形で、対ユーロでも9月19日にかけて一時141円台に乗るなど円安が進んだ。
円安の進行は、1円の為替変動でも業績に大きく反映する輸出関連の大企業には追い風で、業績面への恩恵は大きい。ただ、この一方で円安に伴い原材料などの輸入物価を押し上げ、コスト高を招くデメリットも無視できない。特に中小企業では、円安デメリットがボディーブローのように利いて経営の重荷になることが警戒されるため、今後の円安の動向には注視することが必要だ。