3月期決算上場企業の従業員平均年齢は40.44歳
2014年3月期決算上場企業2,257社の従業員平均年齢は40.44歳(前年比0.28歳上昇)だった。調査を開始した2010年3月期以降、4年連続で上昇した。
希望すれば65歳まで雇用が確保される改正高年齢者雇用安定法が施行されたことや、上場企業の持株会社制移行の増加などが影響したとみられる。業種別では最も平均年齢が高かったのは建設業の43.25歳、最も低かったのが小売業の38.23歳だった。
- ※本調査は、有価証券報告書の「従業員の状況」から上場企業の平均年齢を抽出し、従業員数が10人以上で2010年3月期決算(変則決算除く)から5期連続比較が可能な2,257社を対象に分析した。業種分類は証券コード協議会の定めに準じた。
上場企業の従業員平均年齢は40.44歳に
上場企業2,257社(3月期決算)の従業員平均年齢推移は、調査を開始した2010年は39.31歳だったが、11年39.62歳、12年39.92歳、13年40.16歳、2014年は40.44歳と年々上昇を続けている。
平均年齢の上昇要因としては、(1)バブル景気時に大量採用した社員が、40歳半ばから後半を迎えていること、(2)定年を迎えた社員のうち希望者には65歳までの継続雇用制度の導入を企業に義務付けた改正高年齢者雇用安定法が2013年4月から施行されたこと、(3)事業会社を傘下に置いた持株会社制に移行する動きが上場企業で増加していることが挙げられる。
持株会社は、グループ経営の統括管理を目的として、経営戦略や機動的な意思決定が求められるため、総じて業務に精通した人員を配し、事業会社に比べて人数も少なく、平均年齢が高くなる傾向がある。
業種別 平均年齢の最高は建設業の43.25歳
業種別で平均年齢が最も高かったのは、建設業の43.25歳。次いで、電気・ガス業の41.96歳、水産・農林・鉱業40.86歳、製造業40.86歳、卸売業40.61歳、金融・保険業40.06歳、不動産業39.78歳、運輸・情報通信業39.37歳、サービス業38.76歳と続き、最も低かったのは小売業の38.23歳だった。
全体では、10業種のうち水産・農林・鉱業を除く9業種で前年を上回り、このうち小売業(0.39歳上昇)と運輸・情報通信業(0.38歳上昇)で平均年齢アップが目立った。
上場企業の約7割で平均年齢が上昇
上場企業2,257社のうち、平均年齢が前年より上昇したのは1,571社で、全体の約7割(構成比69.6%)を占めた。一方、平均年齢が低下したのは525社(同23.3%)、横ばいが161社(同7.1%)だった。
平均年齢45歳以上の企業が前年比10.7%増
平均年齢の年齢別分布では、最も多かったのは40歳以上45歳未満が1,166社(前年比3.5%増、構成比51.7%)だった。次いで、35歳以上40歳未満が801社(同4.5%減、同35.5%)、45歳以上50歳未満が139社(同10.3%増、同6.2%)、30歳以上35歳未満が131社(同10.2%減、同5.8%)、50歳以上が15社(同15.3%増、同0.7%)、30歳未満が5社(同28.5%減、同0.2%)の順。
年齢別では、45歳以上が合計154社(前年比10.7%増)と増加が目立ったのに対し、40歳未満が937社(同5.5%減)で従業員の中高年化が進んでいることを示した。
平均年齢の高い企業 持株会社、運輸業、ビル管理などが目立つ
平均年齢の高い企業のランキングでは、トップが鉱物卸や不動産賃貸などの太平洋興発で57.4歳。2位がハイヤー・タクシー大手、大和自動車交通の56.0歳、3位が注文紳士服大手で持株会社の銀座山形屋の55.3歳、4位がマンション管理大手の日本ハウズイングの54.2歳、5位が新潟を地盤とする食品スーパーのアクシアルリテイリングで53.8歳と続く。総じてビル管理業や運輸業、持株会社などが目立つ。
平均年齢の低い企業 サービス業、ネット関連、小売業などで多い
平均年齢の低い企業のランキングでは、「ホリデイスポーツクラブ」を運営する東祥の27.2歳を筆頭にして、ネット通販サイト「ZOZOTOWN」運営のスタートトゥデイが28.8歳、美容室をチェーン展開する田谷が29.2歳、携帯電話販売会社のクロップスが29.5歳、家電量販店のノジマが29.8歳、投資用ワンルームマンションなどを販売展開するプレサンスコーポレーションの30.0歳の順で、サービス業、ネット関連、小売業などが多い。
平均年齢の上昇企業 持株会社の移行や従業員の減少企業が目立つ
前年比較で最も平均年齢が上昇したのは、新潟を地盤とする食品スーパーのアクシアルリテイリングの8.4歳上昇(45.4→53.8歳)、管理機能を連結子会社に移管したことにより従業員数が101人から10人に減少した影響。
2位は、市場調査のインテージホールディングスの8.0歳上昇(39.1→47.1歳)、2013年10月の持株会社移行に伴う転籍で従業員が977人から45人に減少した影響。3位が航空会社のANAホールディングスの7.3歳上昇(38.8→46.1歳)、持株会社化により2013年4月に航空運送事業等を事業会社に会社分割したため、従業員数が1万2,227人から166人に減少した影響。4位が染色加工の倉庫精練の4.8歳上昇(40.7→45.5歳)、国内工場の集約化などの合理化に伴い、希望退職者募集を行ったことが影響したとみられる。
平均年齢の低下企業 従業員増員が影響したケースも
前年比較で最も平均年齢が低下したのは、総合ビルメンテナンスなどを手がけるビケンテクノの7.4歳低下(51.3→43.9歳)、主力のビルメンテナンス事業の増員が影響した。
2位が、株式交換で名村造船所の完全子会社になった佐世保重工業(2014年9月26日、上場廃止)の5.2歳低下(42.4→37.2歳)、人員体制の最適化を図るため希望退職者募集を実施した影響。3位が帝国ホテルの4.6歳低下(42.2→37.6歳)、地域限定従業員の従業員区分の変更に伴い従業員数が増加したことが影響した。4位が出版大手のKADOKAWA(現KADOKAWA・DWANGO)の4.5歳低下(44.3→39.8歳)、連結子会社10社を吸収合併したため従業員数が53人から1,919人に増加した。
市場別 地方上場41.29歳、マザーズ上場37.15歳
市場別で従業員の平均年齢が最も高かったのは、名古屋、札幌、福岡証券取引所など地方上場の41.29歳だった。次いで、東証2部上場の41.08歳、東証1部上場の40.51歳と続き、ともに平均(40.44歳)を上回った。一方、最も低かったのは、東証が開設する新興企業向け株式市場マザーズ上場の37.15歳だった。JASDAQ上場も39.82歳と平均を下回り、若手従業員の多さがうかがえる。ただし、各市場とも4年連続で平均年齢が上昇し、中高年化が進行している。
まとめ
改正高年齢者雇用安定法の施行を背景に定年延長の動きもあって、今後も上場企業従業員の中高年化の動きは大きく変わらないとみられる。
ただし、アベノミクスを追い風とした業績改善により新卒採用拡大の動きが広まりつつある。企業活力を維持するためには若手・中堅社員の士気向上は欠かせない。このため、平均年齢の推移は企業活力を計る一つのバロメーターといえる。