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2012年度「不適切な会計・経理を開示した上場企業」調査 ~前年度比6社減の26社 海外子会社の不適切会計が急増~

2012年度(2012年4月~2013年3月)に「不適切な会計・経理」で過年度決算に影響が出た、あるいは今後影響が出る可能性を開示した上場企業は26社だった。2011年度(32社)より6社減少したが、過去5年間では3番目に多かった。「不適切な会計・経理」は、会計監査人などの審査がより厳格化し、財務や会計を厳しく見直す動きが強まり減少したとみられる。だが、前年度はゼロだった海外子会社や海外事業での不適切会計が5社発生。目が届きにくい海外子会社での内部管理体制の不徹底が顕在化した格好となった。

  • 本調査は、2008年度から2012年度に「不適切な会計・経理」を開示した上場会社を調査した。2012年4月26日に続き、今回が2回目。
  • 自社開示、金融庁、東京証券取引所などの公表資料をもとに、不適切・不正などの会計・経理を開示した上場企業(連結ベース)を対象に集計した。持株会社の業種は、サービス業他に分類。発生当事者は、開示資料に詳細な記載が無い場合、「会社」として集計した。

年度別推移

2008年度以降の5年間で、「不適切な会計・経理」を開示した企業数の最多は、2011年度の32社だった。2012年度は、年度上半期が11社(前年同期9社)だったが、下半期は12月の開示数が前年度の12社から2社に大幅に減少、年度では26社(前年度32社)にとどまった。

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内容別 子会社によるものが2倍増

2012年度を内容別にみると、「その他」11社、 「子会社によるもの」10社、「架空・水増売上」5社の順。最多の「その他」は、「適切でなかった会計処理」のほか、「社員による架空外注費請求による金員騙取」、「有価証券報告書の虚偽記載」などが目立った。
増加したのは「子会社によるもの」(5社→10社)、「架空・水増売上」(3社→5社)など。2011年度は「売上の前倒計上」など、厳しい経営環境のもとで粉飾決算の不適切な行為が多かったが、2012年度は「着服横領」などの個人に起因する不正行為が目立った。5年間の累計では「子会社によるもの」が43社(構成比33.0%)で最多。次いで、「その他」41社(同31.5%)、「循環取引」20社(同15.3%)と続き、上場企業の子会社でもコンプライアンス規範の浸透が遅れている一方で、不適切会計の手口が多様化していることがわかった。

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発生当事者 「子会社・関係会社」が11社でトップ

2012年度の発生当事者別では、「子会社・関係会社」が11社で最多だった。次いで、「会社」8社、「従業員」6社、「役員」1社の順。全体では2012年度は前年度より6社減少したが、「子会社・関係会社」が前年度の6社から11社に増加し、「役員」は前年度9社から1社に減少、不適切会計の温床がより子会社にシフトしている。5年間の累計では「子会社・関係会社」が43社と最も多く、「会社」の36社、「従業員」の31社と続いている。

産業別 製造業が最多の8社

2012年度の産業別では、製造業が8社で最も多かった。次いで、卸売業6社、サービス業他5社、情報通信業3社と続く。製造業は前年度から2社増加したが、「海外子会社や海外事業による不正経理」など、経済のグローバル化を背景に、海外関連会社などで増えている。5年間の累計では、最多はサービス業他35社、製造業29社、卸売業20社と続く。

市場別推移 JASDAQ10社でトップ

2012年度の市場別では、JASDAQが10社、東証1部9社の順だった。以下、東証2部、大証2部・名証2部が各2社、大証1部1社だった。新興市場では東証マザーズ、名証セントレックスは前年度はそれぞれ4社、アンビシャスが3社だったが、2012年度は3市場ともゼロに終わった。
全体で前年度から6社減少するなか、JASDAQは前年度の9社から10社に増加した。5年間の累計では、上場企業数が多い東証1部が46社で最多。上場企業とは言え、オーナー色の強い企業が多い新興市場のJASDAQが39社、東証マザーズが14社と続く。新興市場は財務基盤が比較的脆く、さらにコンプライアンス意識の不徹底などで不適切会計に手を染めるケースが多いようだ。


まとめ

2012年度に不適切会計・経理を開示した上場企業は26社で、前年度の32社を下回った。 2009年3月期決算から、上場企業の財務管理強化のために「内部統制報告書」の開示が義務付けられて以降、コーポレートガバナンス(企業統治)、内部統制をより厳格に行う動きが加速し、2012年は12月の開示社数が前年度を大きく下回り、年間の開示社数を抑え込んだ。
しかし、内容別では「子会社によるもの」が前年度から倍増し、なかでも2011年度はゼロだった「海外子会社や海外事業」が急増。個別には「経費水増しによる着服横領」や「売上債権の過大計上」など、目が行き届きにくい分、発見が遅れて損失を膨らませた事例もあった。
また、2011年度には「売上の前倒計上」や「循環取引」など、粉飾決算が目立ったが、2012年度は「架空請求」や「着服横領」など、個人の利得を目的とした不正行為が多く、会計処理上の課題以外にも、社内モラルやチェック体制にも再考の余地を残した。
グローバル化の名のもと、企業が海外で活躍する場が増えているが、その分、今後も予期せぬ不正行為の温床が増えてくることが予想される。企業は「不正事例」のケーススタディの積み上げにより社内チェック体制の強化を図るほか、全役職員に対するコンプライアンス研修の徹底、監査法人の責任強化など、抜本的に不正行為を排除する動きを進めることが求められている。

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