• TSRデータインサイト

大手電機、自動車関連メーカーの6割で従業員が減少

東証上場の主な電気機器、自動車関連メーカー198社の2013年3月末の総従業員数は、81万4,362人で、前年同期より0.6%減少した。厳しい雇用環境が続く電気機器は、従業員の増加は事業再編に伴う子会社や関連会社の吸収合併が背景にあり、業績拡大による雇用吸引には至っていない。また、世界市場で需要が拡大する自動車関連メーカーも、海外生産のシフト強化で国内雇用の拡大テンポは鈍く、業績拡大が雇用増につながりにくい状況が続いている。

  • 本調査は、東京証券取引所1部、2部に上場する主な電気機器、自動車関連メーカー198社(3月本決算企業)を抽出し、単独決算ベースの3月末の従業員数推移(対象期間:2008年3月末~2013年3月末)をまとめた。資料は、有価証券報告書の「従業員の状況」に基づく。従業員数は、就業人員数 (社外への出向者を除き、社外からの出向者を含む) で、臨時従業員(期間従業員、パートタイマー、派遣社員など)は含まない。

2013年3月末の総従業員数 81万4,362人、前年より0.6%減

東京証券取引所1部、2部に上場する主な電気機器、自動車関連メーカー198社(3月本決算企業)の2013年3月末の総従業員数は81万4,362人(前年同期比0.6%減、5,319人減)だった。
5年間の3月末の総従業員推移は、2008年が80万4,075人、09年が81万6,244人、10年が80万9,421人、11年が80万6,919人、12年が81万9,681人で、13年は2年ぶりに前年同期を下回った。
2008年後半にリーマン・ショックに端を発する世界同時不況が発生し、2011年には東日本大震災、さらに超円高と経営環境は激変した。大手メーカーは生産部門の海外移転を進め、2012年には日本電気、シャープが希望退職者募集を実施するなど、大手メーカーの雇用環境は厳しさを増している。

2013年3月末 従業員数の減少企業が約6割を占める

調査対象の198社のうち、2013年3月末の従業員数が前年同期を下回ったのが116社(構成比58.5%)と約6割を占めた。
従業員の減少数が最も大きかったのは、シャープの3,522人減。主に希望退職の実施が影響した。次いで、ルネサスエレクトロニクスの2,777人減。希望退職実施や事業・生産構造改革による。以下、セイコーエプソンの1,143人減、ソニーの1,045人減、東芝の968人減と続く。
一方、増加数が多かったのは、パナソニックの5,986人増。主にパナソニックエレクトロニックデバイス(株)など子会社の合併が大きな要因。次いで、富士電機の1,480人増。主に子会社の富士電機リテイルシステムズ(株)を吸収合併したことによる。以下、日立製作所が757人増、三菱電機の586人増、富士通の520人増の順だった。

電気機器 従業員減の企業が増加基調

調査対象198社の内訳は、電気機器が138社、自動車関連が60社だった。電気機器138社の2013年3月末の総従業員数は、45万8,099人(前年同期比0.7%減、3,412人減)で前年同期を下回った。
電気機器の従業員数は、各3月末で2008年が44万3,033人、09年44万8,271人、10年43万8,301人、11年44万4,075人、12年46万1,511人だった。12年に3.9%増加したのは、パナソニックがパナソニック電工(株)(2011年3月末の従業員数は1万1,832人)など子会社を合併したことが大きな要因を占めた。従業員数を減らした企業数は、各3月末で2009年が46社だったが、10年63社、11年77社、12年80社、13年86社(構成比62.3%)と年々増えている。実質的には、電機業界の雇用状況は厳しさを増していることがわかる。

自動車関連 2013年3月末は半数で従業員増加

自動車関連60社の2013年3月末の総従業員数は、35万6,263人(前年同期比0.5%減、1,907人減)で前年同期を下回った。各3月末の従業員数は2008年が36万1,042人、09年36万7,973人、10年37万1,120人、11年36万2,844人、12年35万8,170人と3年連続で減少している。
従業員数が減少した企業数は、各3月末で2009年が18社、10年33社、11年は46社と約8割の企業で従業員が減少した。その後、需要回復もあり12年が32社、13年は30社と横ばいで推移している。
自動車関連の2013年3月末の総従業員数は、大手自動車メーカーの人員合理化の影響から前年同期を下回ったが、一方で増員に動く企業も半数(30社)あり、まだら模様をみせている。


日本を代表する基幹産業の電気機器と自動車メーカーは、世界同時不況や東日本大震災、超円高と立て続けに想定外の事態に見舞われ、雇用調整を積極的に進めた。最近は円安・株高で景況感が改善、自動車関連では業績回復の企業もみられるが、海外生産へのシフトに変化はなく雇用状況が改善するには至っていない。一方、電気機器は業績の二極化が進んだ結果、全体としては雇用増加への動きが遅れている。世界的な市場競争力で明暗を分ける2大産業の雇用環境は、ここにきて温度差が広がっている。

人気記事ランキング

  • TSRデータインサイト

ハウスメーカーの倒産、26年上半期9割増の衝撃 ~ 踏み切れない抜本再生、施主の権利保護も重要 ~

コスト高や人手不足などでハウスメーカー(木造建築工事業)の倒産が急増している。2026年上半期(1-6月)は118件発生し、前年同期から約9割増えた。

2

  • TSRデータインサイト

倒産と無縁の税理士業界に異変、2026年上半期は4件発生 粉飾は詐欺罪も、コンプラ違反と健康問題がリスクに

過去、税理士事務所の倒産は半年で、概ね1~2件にとどまっていた。景気状況に相関せず、倒産と無縁の税理士業界だったが、2026年上半期(1-6月)はすでに4件発生した。

3

  • TSRデータインサイト

エブリライブの元従業員、「突然の解雇」に困惑

6月初旬から連絡が取りにくくなっているライブ配信のエブリライブ(株)(東京都港区)が、同時期に大半の従業員を解雇していたことがわかった。  解雇を通知の際、エブリライブ側は従業員に「破産予定のため」と説明したという。解雇された元従業員が東京商工リサーチの取材に応じた。

4

  • TSRデータインサイト

2026年上半期「医療機関」倒産 増勢続く 上半期で2番目の38件、「後継者難」は最多

医療機関の倒産が止まらない。2026年上半期(1-6月)に倒産した病院・クリニック(診療所)・歯科医院などの「医療機関」は、38件(前年同期比15.1%増)と大幅に増加した。上半期では、2006年以降の20年間で、2024年と2025年の33件を上回り、2009年の39件に次ぐ2番目の高水準となった。

5

  • TSRデータインサイト

愛媛県のいよぎんHDと愛媛銀が経営統合へ  メインバンク取引社数 金融Gでは国内21位に

愛媛県内にある企業のメインバンクシェア57.5%(県内メインバンク取引社数1万966社)の伊予銀行を傘下に持ついよぎんホールディングスと、県内2位で18.5%(同3,542社)の愛媛銀行が、7月24日開催の取締役会で経営統合を付議することを発表した。

TOPへ