• プレスリリース

AIエージェントサービスとIOWNデータハブ基盤で企業分析を高度化する共同実験を開始 ~りそな銀行の法人営業における業務負担軽減を目指し、企業情報分析の自動化を検証~

このたび、株式会社東京商工リサーチ(以下、TSR)は、株式会社NTTデータ、NTT株式会社、株式会社りそな銀行と共同で、りそな銀行の法人営業における企業情報の分析業務の高度化・効率化を目指した実証実験(以下、本実験)を2025年8月より開始しました。
本実験では、NTTデータが提供する生成AIサービス「LITRON®」、NTTの「IOWN」を基盤としたデータハブ技術を活用し、TSRが長年培ってきた「TSR REPORT」と公知情報をAIの分析プロセスに組み込むことで、企業情報の収集・分析・レポート作成業務を自動化し、りそな銀行の法人営業担当者におけるコンサルティングの質の強化・業務負荷軽減、ひいてはお客様との対話時間の拡大に貢献することを目指します。

背景

近年のデジタル化により、企業の情報はWebサイト、IR情報、SNS、ニュースリリースなど多岐にわたる場所から日々発信されています。さらに、ESG・人的資本などの非財務情報の開示や、サードパーティによる評価情報の公表も急増しています。
このような状況下で、銀行の法人営業担当者は、融資提案や高度な経営アドバイスを行うために、これらの膨大な情報を網羅的かつ正確に収集・分析する必要があります。しかし、この作業が大きな負担となり、お客様と向き合う十分な時間を確保することが課題となっていました。
この課題を解決するため、TSRは、NTTデータ、NTT、りそな銀行と協力し、生成AIと通信技術を組み合わせた革新的な情報分析プロセスを検証することにいたしました。

本実験の概要

本実験は、「TSR REPORT」などの外部データの活用によって得られる示唆の高度化による営業機会創出、ならびにAIエージェントを活用した企業情報の収集・分析業務の自動化による業務負荷軽減の効果検証を目的とします。

実証実験期間

2025年8月8日 ~ 2025年11月7日

実証実験内容

TSRが提供する「TSR REPORT」、並びにインターネット上のIR情報等の公知情報を情報源とし、NTTデータが提供する生成AIサービス「LITRON®」、NTTのIOWNデータハブ技術を活用し、企業情報分析業務(顧客概要・財務分析・競合比較等を含む企業分析)にて導出される経営課題起点の営業トピック資料を作成し、営業担当者の視点からその有用性を検証します。加えて、多様なデータ形式で大量の情報をセキュアに管理・分析するために、分散する複数のデータソースを仮想的に一元管理するNTTのIOWNデータハブ基盤の構成要素である仮想データレイクを活用します。生成された経営課題起点の営業トピック資料は、実際に営業店で業務に携わるりそな銀行の従業員が評価し、そのフィードバックをもとにチューニングを複数回実施することで、精度と実用性の向上を図ります。

本実験で活用した主なサービスの役割

社名 提供データ・技術等 本実験における役割
りそな銀行 法人営業ノウハウ
検証環境
長年培ってきた法人営業知見をもとに、生成した経営課題起点の営業トピック資料を評価します。 本実験を行うクラウド環境を提供します。
NTTデータ LITRON® Generative Assistant(LITRON GA) 分析業務に利用するWebページのクローリングを行う生成AIサービスです。IR情報等の公知情報を取得し、情報識別や取得情報をベクトル化し、AIエージェントで情報分析できる形式に整形します。
LITRON® CORE 自律的に業務を実行するエージェント型AI基盤です。ドキュメント作成エージェントやドキュメントレビューエージェントを利用し、分析結果の資料化を支援します。
NTT IOWNデータハブ技術 データアクセスに対する独自の認可ポリシー管理・判定方式により、企業間データ流通におけるデータガバナンスとデータ提供者のデータ主権を担保する技術です。これにより、組織や距離の壁を超えた多種・大量データの利活用を可能にします。
本実験では、TSR REPORTを対象としてデータガバナンスならびに利活用を実現します。
東京商工リサーチ TSR REPORT
(国内企業調査レポート)
全国の企業を対象に調査員が直接取材し、公開情報も加えて作成される企業調査レポートです。200項目超の詳細データから企業分析に利用可能な情報を提供します。

なお、LITRON® GAが作る公知情報等のベクトルデータベースと、東京商工リサーチのベクトルデータベース双方を、AIエージェントが参照する情報源として活用し分析業務を行うことで、精度の高い経営課題起点の営業トピック資料の提供を実現します。

図. 本実験の全体概要

今後について

本実験の次のステップとして、りそな銀行の営業店にて実業務での検証を予定しています。その結果を踏まえ、実導入や導入店舗の拡大、将来的には法人分野における幅広い業務への活用を目指します。
TSRは、本実証実験を通じて、お客様のニーズに応じた、より高度で効率的な情報提供サービスの実現を目指します。将来的には、金融機関に限らず、より多くの企業がデータ分析を自動化できるよう、当社の企業情報データを活用したサービスの展開を推進してまいります。

人気記事ランキング

  • TSRデータインサイト

2025年1-9月の「人手不足」倒産が過去最多 「従業員退職」が前年の1.6倍増、初の年間300件超へ

2025年9月に「人手不足」が一因となった倒産は、調査を開始した2013年以降では月間最多の46件(前年同月比109.0%増)を記録した。また、2025年1-9月累計も、過去最多の285件(前年同期比31.3%増)に達し、人手不足はより深刻さを増していることがわかった。

2

  • TSRデータインサイト

ケーキや和菓子は「高値の花」に、スイーツ店が苦境 倒産は過去20年で最多ペース、競合商品も台頭

街のスイーツ店が苦境に陥っている。材料コストの上昇、酷暑、人手不足が重なり、商品値上げによる高級化も購入機会の減少につながったようだ。2025年1-9月の菓子製造小売の倒産は、過去20年で最多の37件に達した。

3

  • TSRデータインサイト

2025年1-9月「後継者難」倒産が過去2番目 332件 高齢化が加速、事業承継の支援が急務

代表の高齢化が進み、後継者が不在のため事業に行き詰まる企業が高止まりしている。2025年1-9月の「後継者難」倒産(負債1,000万円以上)は332件(前年同期比4.5%減)で、2年ぶりに前年同期を下回った。だが、2025年は過去最多だった前年同期の348件に次ぐ、過去2番目の高水準だった。

4

  • TSRデータインサイト

2025年 全国160万5,166社の“メインバンク“調査

全国160万5,166社の“メインバンク”は、三菱UFJ銀行(12万7,264社)が13年連続トップだった。2位は三井住友銀行(10万1,697社)、3位はみずほ銀行(8万840社)で、メガバンク3行が上位を占めた。

5

  • TSRデータインサイト

2025年度上半期の「円安」倒産30件 仕入コスト上昇が卸売業を直撃

2025年度上半期(4-9月)の「円安」関連倒産は、30件(前年同期比31.8%減)だった。上半期では、2022年度以降の円安では前年度の44件に次いで、2番目の高水準になった。

記事カテゴリを表示
記事カテゴリを閉じる

プリントアウト

RSS

CLOSE
TOPへ