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(株)マ・メール

マ・メールの本社

マ・メールの本社

 2024年9月24日、東京地裁に民事再生法の適用を申請していた(株)マ・メール(大阪市住之江区)は5月12日、再生手続廃止決定を受けた。

 保全管理人には井上裕明弁護士(半蔵門総合法律事務所、東京都千代田区2番町3-5)が選任された。
 負債総額は約23億7800万円。

 1978年、大阪市で創業し、子供服の卸売、小売を手掛けていた。2000年7月期に海外子供服ラグジュアリーブランドとの独占契約締結を契機とし、本格的に小売業へ進出。「日本初のラグジュアリー子供服ブランド」の小売店として、マーケットの反響を呼び、各方面から多数の出店要請を受け、2005年7月期には、全国18拠点29店舗を展開するまでに店舗網を拡大し、売上高も20億円を突破した。

 2006年頃から株式上場を目指し、更なる店舗網拡大、広告宣伝、顧客・商品データベースシステムの構築投資、ロジスティクス整備のための多額の投資などを推進していたが、リーマン・ショックによる信用市場の収縮、金融情勢の急激な変化、外部環境の冷え込みを背景として、業況にも急ブレーキがかかることとなった。

 2008年10月には、取引金融機関に対し、リスケジュールを要請。不採算店舗の撤退、役員報酬の大幅カット、人員整理などの徹底した販管費削減策を実行し、2012年7月期には黒字化を果たした。2019年7月期まで9期連続で営業黒字を継続するまで、業況は改善した。
 しかし、2020年はコロナ禍により、営業拠点である百貨店やホテルの路面店における購買顧客が激減。加えて、ロシアのウクライナ侵攻による物流網の混乱、各種コストの高騰、急激な円安進行により、資金繰りが悪化。このような中、営業店舗をコロナ禍前の14店舗から8店舗へ絞るなど固定費の削減を断行。取引先の協力を得ながら、事業を維持するとともに、アフターコロナを見据え、オリジナルブランドとして世界的に知名度を有する「マ・メール」の名称を冠したオリジナルブランド及びEC事業の立ち上げを行うなどの業態の見直しも図ってきたものの、海外主要メーカーの支払条件がキャッシュオンデリバリーに切り替わったことも影響し、資金繰りが悪化。9月25日の債務支払いめどが立たなかった。
 
 なお、東京証券取引所スタンダード市場上場企業である(株)KeyHolder(東京都渋谷区)と9月24日付で、スポンサー支援の基本合意を締結し、同社支援のもと事業再生に取り組んできたものの、再生計画の見通しが立たず、今回の措置となった。今後、破産へ移行するとみられる。

※(株)マ・メール(TSRコード:570657296、法人番号:4120001089868、大阪市住之江区南港北2-1-10、登記上本社:大阪市中央区備後町2-5-8、設立1978(昭和53)年4月、資本金2億4800万円)
※(株)KeyHolder(TSR企業コード:290210755、法人番号:1010001110481、東京都渋谷区)

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