• TSR速報

脱毛サロン「ミュゼプラチナム」運営のMPH(株)

ミュゼプラチナムの本社(2024年12月5日撮影)

ミュゼプラチナムの本社(2024年12月5日撮影)

~債権者から破産を申立てられる~

 「ミュゼプラチナム」を運営するMPH(株)(大田区)は5月16日、債権者より東京地裁に破産を申し立てられた。申立代理人は西村國彦弁護士、佐藤和樹弁護士(さくら共同法律事務所、新宿区四谷本塩町4-15)。今後、東京地裁が破産開始決定を出すか判断する。


 MPHは、国内最大級の脱毛サロン「ミュゼプラチナム」の運営会社。元々は、(株)ジンコーポレーション(現:(株)M&Fアセットパートナーズ、福島県)が「ミュゼプラチナム」を運営し、安価なサービスや通い放題などで注目された。積極的な広告展開で知名度の上昇とともに事業が急拡大し、全国に約170店舗を有し、2014年8月期には売上高386億7127万円をあげた。

 しかし、顧客が支払った前払金ついて、預り金として施術ごとに売上計上する処理ではなく、一括で売上計上していたことが表面化。急成長のあおりで会員の予約の取りにくさも増し、解約が急増した。こうしたなか、2015年12月、(株)ミュゼプラチナム(現:(株)MIT、大田区)に「ミュゼプラチナム」事業を移管し、東証二部上場(当時)の(株)RVH(東京都港区)の子会社となった。
さらに、2020年4月には「たかの友梨ビューティクリニック」運営会社を傘下に持つ(株)G.Pホールディング(新宿区)の子会社となった。
 
 親会社の変更が続くなか2023年4月、船井電機(株)(大阪府)の親会社の船井電機・ホールディングス(株)(現:FUNAI GROUP(株)、大阪府)が、別途設立したミュゼプラチナシステムズ合同会社(横浜市神奈川区)を通じて、ミュゼプラチナムの株式を承継していた。
 
 こうしたなか、2024年5月には(株)ミュゼプラチナム(東京都港区)が、MITから全事業を承継。2024年9月、ミュゼプラチナムから新設分割で当社が設立された。以降は当社がミュゼプラチナム事業を引き継いでいたが、業況悪化に歯止めがかからず、従業員への給与未払いなども発生。2025年2月には経営権を巡り対立が発生し、3月には全店の一時休業を発表した。
新体制にてフランチャイズ(FC)展開などを進めていたなか、債権者から破産を申立てられた。
 未施術の顧客を含めた債権者約20万名に対して、負債総額は200億円以上が見込まれる。
 2024年度の脱毛サロンの倒産件数は16件(前年度比45.4%増)と急増している。これまでの単体ベースで最大の負債総額は「全身脱毛サロンC3」運営の(株)ビューティースリー(2023年9月破産)の約80億円、最多の債権者数は「銀座カラー」運営の(株)エム・シーネットワークスジャパン(2023年12月破産)の約10万人。MPHが破産開始決定を受ければ負債総額、債権者数、ともに脱毛サロンの倒産で過去最大となる。



※MPH(株)(TSRコード:036547190、法人番号:3010401184925、大田区蒲田5-28-4、設立2024(令和6)年9月2日、資本金1000万円)

人気記事ランキング

  • TSRデータインサイト

不動産業から見た全国の「活気のある街」 活性度トップは東京都中央区、福岡など地方都市も健闘

東京商工リサーチが保有する企業データベースや行政の発表する統計資料から6つの項目に基づいて、エリア別の不動産業「活性度ポイント」を算出した。その結果、再び都心回帰の動きが出てきた一方で、地方の穴場でも活性化に向かう地域があることがわかった。

2

  • TSRデータインサイト

2025年 全国160万5,166社の“メインバンク“調査

全国160万5,166社の“メインバンク”は、三菱UFJ銀行(12万7,264社)が13年連続トップだった。2位は三井住友銀行(10万1,697社)、3位はみずほ銀行(8万840社)で、メガバンク3行が上位を占めた。

3

  • TSRデータインサイト

ミュゼ破産で浮き彫り、勝者なき脱毛サロンの消耗戦 ~ 整備されぬ「利用者・従業員保護の枠組み」 ~

脱毛サロン最大手の「ミュゼプラチナム」を運営していたMPH(株)が8月18日、東京地裁から破産開始決定を受けた。MPHの破産は負債総額約260億円、被害者(契約者)は120万人を超え、社会問題化している。

4

  • TSRデータインサイト

破産開始決定のMPH、「抗告など対抗せず」

8月18日に東京地裁より破産開始決定を受けたMPH(株)(TSRコード:036547190)の幹部は20日、東京商工リサーチの取材に応じ、「破産開始決定に対しての抗告などはしない予定」とコメントした。

5

  • TSRデータインサイト

『生成AI』 活用は企業の25%にとどまる  「業務効率化」が9割超、専門人材不足がネック

幅広いビジネスシーンで注目される生成AIだが、その活用を推進している企業は25.2%(6,645社中、1,679社)にとどまることがわかった。

TOPへ