• TSR速報

日本電解(株)

日本電解(株)の本社

日本電解(株)の本社

上場企業の倒産は今年初

 日本電解(株)(筑西市)は11月27日、東京地裁に民事再生法の適用を申請した。
 申請代理人は築留康夫弁護士(西村あさひ法律事務所・外国法共同事業、千代田区大手町1-1-2)ほか5名。
 監督委員には小畑英一弁護士(TF法律事務所、千代田区平河町2-7-5)が選任された。
 負債総額は147億6106万円。
 
 1958(昭和33)年に大手メーカー3社の共同出資により設立された旧・日本電解(株)が前身。車載電池向け電解銅箔製造を行い、2021年6月に東証マザーズ(現・東証グロース)に上場した。電気自動車市場の拡大や2021年3月の米国子会社取得に伴い、2022年3月期には連結売上高約206億円、営業利益約10億円をあげていた。

 しかし、世界的な半導体不足や米国インフレ抑止法施行による国内バッテリーの輸出減少、スマートフォン需要の減退、新型コロナウイルスの影響等により、米国子会社の赤字が常態化。経営環境の悪化から2023年3月期の連結売上高は約170億円に減少し、約18億円の経常赤字を計上した。
 2024年3月期も輸出セル用銅箔の需要低迷等で連結売上高は約166億円、連結経常赤字は約13億円となり、2期連続で経常赤字に陥った。さらに今期も中間決算で連結売上高は約88億円を計上したものの、販売数量の減少や銅価格急騰による損益悪化などにより連結純損失約50億円を計上していた。
 この間、2024年1月に台湾の銅箔メーカーと資本業務提携契約を締結し、新株予約権発行による資金調達を目指していた。また、2024年6月、現筆頭株主と資本業務提携契約を締結し、同社から約10億円の出資を受けていた。
 その後もスポンサー探索を進めたが、具体的な支援先はみつからなかった。こうしたなか、11月27日に米国子会社の解散及び清算を決議。解散によって貸付金の大部分が回収困難となることが見込まれ、多額の特別損失の追加計上から簿価債務超過に陥ることが予定され、自力再建を断念し今回の措置となった。

 ※日本電解(株)(TSR企業コード:018404014、法人番号:3010001176546、筑西市下江連1226、設立2016(平成28)年6月、資本金23億5846万9602円)

人気記事ランキング

  • TSRデータインサイト

制御機器メーカーのIDEC(株)が早期退職募集を実施=国内従業員の300人が退職

制御機器メーカーのIDEC(株)(TSRコード:570011370、大阪府、東証プライム)がセカンドキャリア支援制度を実施し、今年6月までに国内従業員の約300人が退職していたことが東京商工リサーチの取材でわかった。

2

  • TSRデータインサイト

上場企業の「早期・希望退職」募集 1-8月で1万人超え 募集の大型化で前年同期比1.4倍増、前年1年間を上回る 

今年1月から8月31日までに判明した上場企業の「早期・希望退職」募集の対象人数が、1万人を超えた。募集の大型化が目立ち、3年ぶりに1万人を超えた2024年の年間募集人数1万9人をすでに上回った。

3

  • TSRデータインサイト

2025年1-8月の「人手不足」倒産が237件 8月は“賃上げ疲れ“で、「人件費高騰」が2.7倍増

2025年8月の「人手不足」が一因の倒産は22件(前年同月比37.5%増)で、8月では初めて20件台に乗せた。1-8月累計は237件(前年同期比21.5%増)に達し、2024年(1-12月)の292件を上回り、年間で初めて300件台に乗せる勢いで推移している。

4

  • TSRデータインサイト

分配金遅延の「みんなで大家さん」、出資者が返金求め訴訟提起へ

不動産投資商品「みんなで大家さん」の出資者への分配金が遅延している問題で、投資商品を扱う企業に対して5名の出資者が1億円の返還を求め、東京地裁に訴訟を提起する。出資者側の代理人事務所は、リンク総合法律事務所。

5

  • TSRデータインサイト

銀行員の年収、過去最高の653万3,000円 3メガ超えるトップはあおぞら銀行の906万円

国内銀行63行の2024年度の平均年間給与(以下、年収)は、653万3,000円(中央値639万1,000円)で、過去最高となった。前年度の633万1,000円(同627万5,000円)から、20万2,000円(3.1%増)増え、増加額は3年連続で最高を更新した。

TOPへ