• TSR速報

(株)スプレッド

※画像は実際の企業とは関係ありません

※画像は実際の企業とは関係ありません

 (株)スプレッド(京都市下京区)は8月26日、京都地裁に民事再生法の適用を申請した。
 申請代理人は河本茂行弁護士(河本総合法律事務所、同市中京区烏丸通三条下ル)。
 負債総額は39億9920万円(2022年9月期決算時点)。

 水耕栽培による無農薬野菜の生産を行い、主にフリルレタスやプリーツレタス、モコレタス、シルクレタスの4種類を生産していた。2007年7月には亀岡市にて、結球レタスの量産が可能な完全人工光型植物工場である「亀岡プラント」が完成し、翌年から本格稼働した。2010年3月期に1億4753万円だった売上高は、2012年3月期には5億円を突破するなど徐々に業容を拡大。しかし、生産工場に対する多額の設備投資が先行し、たびたび億単位の赤字を計上したことで、長らく債務超過が続いていた。

 2018年には2カ所目の工場となる、独自のIoTによる栽培管理システムを備えた「テクノファームけいはんな」を木津川市で開設。2018年3月期中に債務免除益を計上し、一時的に債務超過を脱した。

 2021年5月にはレタス生産のノウハウを活かし、農薬を使用せず人工光を用いた植物工場でのイチゴの量産化技術を確立。レタスの生産と並行して新たな柱を構築するため、国内外での営業を展開し、2022年3月期はピークとなる売上高約17億1100万円を計上した。さらに、2022年8月には事業会社およびエンジェル投資家から第三者割当増資の形で40億円の資金調達を実施した。

 ところが、2022年9月期(決算期変更)には24億247万円もの特別損失により32億9793万円の赤字を計上し、再び債務超過に転落。また、2024年6月の生産開始を予定し、神奈川県秦野市に次世代型カットレタス工場「テクノフレッシュ秦野」を建設する計画を立ち上げた一方で、2024年4月には完成から17年が経過し老朽化していた「亀岡プラント」での生産を一時停止する旨を発表していた。受注が縮小するなかで資金繰り逼迫の度合いも一気に強まり、限界に達したため、法的手続きによる再建を目指すこととなった。

 なお、スポンサー候補企業が複数社あがっているとされる。

※(株)スプレッド(TSR企業コード:642077363、法人番号:5130001026596、京都市下京区中堂寺粟田町93、設立2006(平成18)年1月、資本金4億7000万円)

人気記事ランキング

  • TSRデータインサイト

建材販売業の倒産 コロナ禍の2倍のハイペース コスト増や在庫の高値掴みで小規模企業に集中

木材や鉄鋼製品などの建材販売業の倒産が、ジワリと増えてきた。2025年1-7月の倒産は93件で、前年同期(75件)から2割(24.0%)増加した。2年連続の増加で、コロナ禍の資金繰り支援策で倒産が抑制された2021-2023年同期に比べると約2倍のハイペースをたどっている。

2

  • TSRデータインサイト

「転勤」で従業員退職、大企業の38.0%が経験 柔軟な転勤制度の導入 全企業の約1割止まり

異動や出向などに伴う「転勤」を理由にした退職を、直近3年で企業の30.1%が経験していることがわかった。大企業では38.0%と異動範囲が全国に及ぶほど高くなっている。

3

  • TSRデータインサイト

女性初の地銀頭取、高知銀行・河合祐子頭取インタビュー ~「外国人材の活用」、「海外販路開拓支援」でアジア諸国との連携を強化~

ことし6月、高知銀行(本店・高知市)の新しい頭取に河合祐子氏が就任した。全国の地方銀行で女性の頭取就任は初めてで、大きな話題となった。 異色のキャリアを経て、高知銀行頭取に就任した河合頭取にインタビューした。

4

  • TSRデータインサイト

ダイヤモンドグループ、複数先への債務不履行~蔑ろにされた「地域イベントの想い」 ~

ライブやフェスティバルなどの企画やチケット販売を手掛けるダイヤモンドグループ(株)(TSRコード:298291827、東京都、以下ダイヤモンドG)の周辺が騒がしい。

5

  • TSRデータインサイト

2025年1-8月の「人手不足」倒産が237件 8月は“賃上げ疲れ“で、「人件費高騰」が2.7倍増

2025年8月の「人手不足」が一因の倒産は22件(前年同月比37.5%増)で、8月では初めて20件台に乗せた。1-8月累計は237件(前年同期比21.5%増)に達し、2024年(1-12月)の292件を上回り、年間で初めて300件台に乗せる勢いで推移している。

TOPへ