• TSR速報

(株)ケヒコほか2社

「業務スーパー」旭神店の張り紙(7月30日撮影)

「業務スーパー」旭神店の張り紙(7月30日撮影)

~経営する「業務スーパー」でストライキ~

 (株)ケヒコ(横浜市中区)と、関連の(株)エス・インターナショナル(同所)、(株)広(同所)は7月30日、横浜地裁より破産開始決定を受けた。
 破産管財人には増田尚弁護士(多摩川法律事務所、川崎市幸区堀川町580)が選任された。
 負債は、ケヒコが債権者37名に対して7億9900万円、エス・インターナショナルが債権者29名に対して2億5850万円、広が債権者3名に対して8200万円。3社合計11億3950万円。

 ケヒコは、エス・インターナショナルの子会社として、「業務スーパー」のフランチャイズに加盟。北海道内に複数店舗を展開し、2019年8月期には売上高13億2264万円をあげた。2021年6月には2社の代表取締役が交代したが、以降もケヒコの業績は順調に推移していた。
 しかし、エス・インターナショナルは2021年12月期に1億8836万円の最終赤字を計上し、債務超過に転落。このため、ケヒコが多額の配当により、エス・インターナショナルを支える構図となっていた。

 こうしたなか、「代表者による会社資金の私的流用や不採算事業への投資などが原因で両社の経営が悪化したうえ、破産を検討している」として、労働組合が代表交代などを求めて2024年6月29日に時限ストライキ、7月18日からは無期限ストライキを実施し、「業務スーパー」7店舗の営業が一時休止する事態に発展。
 一方で、会社側は、労働組合が無償で経営権の譲渡を要求しておりフランチャイザー(FC本部)との関係性も含めて事業継続の観点から受け入れられないと判断するなど、労使の対立が深まるなか、今回の措置となった。

 なお、2社の労働者に対する給与の支払原資は全額確保され、破産管財人に引き継がれている。

 広は、ケヒコとエス・インターナショナルの持株会社の位置付けにあったが、2社に連鎖した。

※(株)ケヒコ(TSR企業コード:352478845、法人番号:7020001022951、横浜市中区桜木町1-1-7、設立1990(平成2)年9月、資本金3000万円)
※(株)エス・インターナショナル(TSR企業コード:350655936、法人番号:7020001022506、同所、設立1959(昭和34)年2月、資本金3000万円)
※(株)広(TSR企業コード:694769517、法人番号:4020001145656、同所、設立2022(令和4)年3月、資本金100万円)

人気記事ランキング

  • TSRデータインサイト

2025年度の業績見通しに大ブレーキ 「増収増益」見込みが16.6%に急減

トランプ関税、物価高、「価格転嫁」負担で、国内企業の業績見通しが大幅に悪化したことがわかった。2025年度に「増収増益」を見込む企業は16.6%にとどまり、前回調査(2024年6月)の23.3%から6.7ポイント下落した。

2

  • TSRデータインサイト

2025年3月期決算(6月20日時点) 役員報酬1億円以上の開示は117社・344人

2025年3月期決算の上場企業の株主総会開催が本番を迎えた。6月20日までに2025年3月期の有価証券報告書を510社が提出し、このうち、役員報酬1億円以上の開示は117社で、約5社に1社だった。

3

  • TSRデータインサイト

チャプター11をめぐる冒険 ~ なぜマレリはアメリカ倒産法を利用したのか ~

ずっと日本にいるのに時差ボケが続いている。  「マレリのチャプター11が近いから関連サイトをチェックし続けろ」と6月6日に先輩に言われて以降、私の生活はアメリカ時間だ。

4

  • TSRデータインサイト

代金トラブル相次ぐ、中古車販売店の倒産が急増

マイカーを売却したのに入金前に売却先の業者が破たん――。こうしたトラブルが後を絶たない。背景には、中古車価格の上昇や“玉不足”で経営不振に陥った中古車販売店の増加がある。倒産も2025年1-5月までに48件に達し、上半期では過去10年間で最多ペースをたどっている。

5

  • TSRデータインサイト

定量×定性分析 危ない会社は増えたのか?

2024年度の全国倒産が1万144件(前年度比12.0%増)と11年ぶりに1万件を超えたが、企業の倒産リスクはどの水準にあるのか。東京商工リサーチが企業を評価する「評点」と「リスクスコア」のマトリクスからみてみた。

TOPへ