• TSR速報

(株)寿食品

寿食品の本社

寿食品の本社

給食用豚肉の産地偽装が発覚していた

 (株)寿食品(相模原市中央区)は6月14日、横浜地裁より破産開始決定を受けた。
 破産管財人には佐伯昭彦弁護士(横浜綜合法律事務所、横浜市中区日本大通11)が選任された。
 負債総額は約14億8000万円。

 1960年6月に創業。主に神奈川県内に所在する事業所の社員食堂や公立小中学校、病院、介護施設、自治体運営施設での調理受託業務等を手掛けていた。2020年1月期には、商圏内でのライバル企業の撤退により工場をはじめとした事業所関連の受注が伸長し、売上高約19億1700万円をあげた。
 しかし、以降は「新型コロナウイルス」感染拡大の影響を大きく受け、学校関連を中心に受注が大幅に減少したほか、大手先からの受注も減少傾向となり、2023年1月期の売上高は約13億円まで縮小。また、原価高騰から採算性も悪化し、債務超過に転落していた。

 2023年2月には関連会社を吸収合併し、当社で食肉加工品の製造販売も手掛けるなど、グループの合理化を推進していたが、同年9月に実施された教育委員会事務局による産地判別検査によって、外国産の豚肉を国内産と偽り、川崎市立小中学校の給食向けとして提供していたことが発覚。これにより、神奈川県警は不正競争防止法違反容疑で本社や関係先への捜索に入り、信用が急速に低下した。
 さらに、その後も横浜市および相模原市の市立学校へ産地偽装した豚肉を納入していたことが確認されたことで、同年11月15日には食肉事業を廃業。事業継続が困難となり、2024年1月10日までに事業を停止していた。

※(株)寿食品(TSR企業コード:360085431、法人番号:7021001012075、相模原市中央区星が丘3-8-16、設立1962(昭和37)年6月、資本金3300万円)

人気記事ランキング

  • TSRデータインサイト

中小企業の賃上げ率「6%以上」は9.1% 2025年度の「賃上げ」 は企業の85%が予定

2025年度に賃上げを予定する企業は85.2%だった。東京商工リサーチが「賃上げ」に関する企業アンケート調査を開始した2016年度以降の最高を更新する見込みだ。全体で「5%以上」の賃上げを見込む企業は36.4%、中小企業で「6%以上」の賃上げを見込む企業は9.1%にとどまることがわかった。

2

  • TSRデータインサイト

次世代電池のAPB、経営騒動の舞台裏 ~ APB・大島麿礼社長 単独インタビュー ~

次世代リチウムイオン電池「全樹脂電池」の開発や製造を手がける技術系ベンチャーのAPB(株)が注目を集めている。大島麿礼社長が東京商工リサーチの単独取材に応じた(取材日は4月10日)。

3

  • TSRデータインサイト

コロナ禍で急拡大の「マッチングアプリ」市場 新規参入のテンポ鈍化、“安全“投資で差別化

20代、30代の若者を中心に、恋活や婚活、恋愛の真面目な出会いを求めるマッチングアプリの利用が広がっている。マッチングアプリの運営会社はコロナ禍を境に急増し、社数は6年間で5.6倍になった。2019年3月末の5社から、2025年3月末は28社と6年間で大幅に増えた。

4

  • TSRデータインサイト

丸住製紙(株)~ 倒産した地元の“名門”製紙会社の微妙な立ち位置 ~

2月28日に新聞用紙の国内4位の丸住製紙(株)(四国中央市)と関連2社が東京地裁に民事再生法の適用を申請してから2週間が経過した。負債総額は約590億円、債権者数は1,000名以上に及ぶ。愛媛県では過去2番目の大型倒産で、地元の取引先や雇用への影響が懸念されている。

5

  • TSRデータインサイト

介護離職者 休業や休暇制度の未利用54.7% 規模で格差、「改正育児・介護休業法」の周知と理解が重要

団塊世代が75歳以上になり、介護離職問題が深刻さが増している。ことし4月、改正育児・介護休業法が施行されたが、事業規模で意識の違いが大きいことがわかった。

TOPへ