• TSR速報

茨木高槻交通(株)ほか8社

~大阪で初めて「55割」を導入、「新型コロナ」関連~

 茨木高槻交通(株)(茨木市)ほか8社は3月11日、大阪地裁に民事再生法の適用を申請した。申請代理人は宮本圭子弁護士(弁護士法人第一法律事務所、大阪市北区中之島2-2-7)。
 負債は現在調査中。

 大阪の有力タクシー会社である「関西中央グループ」の一翼を形成し、北摂エリアを中心に、タクシーおよびバス事業を手掛けていた。地元密着の営業展開で、一時はタクシー220台、従業員650名を擁し、ピークとなる1996年9月期の売上高は約91億7000万円を計上。また、2002年からは5000円を超えた分の運賃を5割引きにする「55割」を大阪で初めて導入し、終電後の遠距離客などを獲得していた。

 しかし、景気低迷を反映した個人消費の伸び悩みを受け、営業所を集約。2012年7月期(決算期変更)の売上高は約9億8700万円と10億円を割り込んだ。また、人件費を中心とした経費負担の増加もあり、辛うじて採算を維持するにとどまり、2013年には本社地のみでの運営とし、タクシー73台、従業員260名まで規模を縮小させていた。

 「新型コロナウイルス」感染拡大以降は利用客がさらに減少し、無線配車センターを時短営業としたほか、2020年9月には地域の足として35年以上続けていたバス事業を終了。2023年7月期には売上高が約5億600万円まで落ち込み、スマートフォンアプリでの配車に対応するなどして集客に努めていたものの、自力での再建が困難となった。

民事再生法の適用を申請した企業は、以下の通り。
※茨木高槻交通(株)(TSR企業コード:570342066、法人番号:9120901000235、茨木市中河原町4-1、設立1941(昭和16)年10月、資本金2000万円)
※関西中央交通(株)(TSR企業コード:570392268、法人番号:7120001001689、大阪市城東区今福南3-2-11、設立1959(昭和34)年3月、資本金2000万円)
※関西中央第一(株)(TSR企業コード:575856572、法人番号:7120001131957、同所、設立2008(平成20)年6月、資本金500万円)
※ユタカ中央交通(株)(TSR企業コード:575227141、法人番号:5120101024765、堺市西区鳳東町6-626-1、設立2004(平成16)年6月、資本金1000万円)
※大商交通(株)(TSR企業コード:570789877、法人番号:2120001156125、守口市金田町3-47-15、設立1960(昭和35)年12月、資本金1200万円)
※関西中央旅客守口(株)(TSR企業コード:575852232、法人番号:8120001160039、同所、設立2008(平成20)年6月、資本金500万円)
※東大阪中央タクシー(株)(TSR企業コード:576061115、法人番号:7122001012831、東大阪市高井田中2-6-18、設立2006(平成18)年7月、資本金800万円)
※東大阪オーケー(株)(TSR企業コード:576091030、法人番号:6122001014713、同所、設立2009(平成21)年3月、資本金500万円)
※高槻交通(株)(TSR企業コード:575841630、法人番号:8120901016348、高槻市川西町2-22-2、設立2008(平成20)年4月、資本金800万円)
 なお、高槻交通のみ、申請代理人は尾島史賢弁護士(尾島法律事務所、大阪市中央区高麗橋2-3-15)。

人気記事ランキング

  • TSRデータインサイト

「人手不足」企業、69.3%で前年よりも悪化 建設業は8割超が「正社員不足」で対策急務

コロナ禍からの経済活動の再活性化で人手不足が深刻さを増し、「正社員不足」を訴える企業が増加している。特に、2024年問題や少子高齢化による生産年齢人口の減少などが、人手不足に拍車をかけている。

2

  • TSRデータインサイト

「食品業」倒産 2年連続増加の653件 原材料やエネルギー価格、人件費上昇が負担

歴史的な円安が続くなか、歯止めが掛からない食材の価格上昇、人件費などのコストアップが食品業界の経営を圧迫している。2023年度(4-3月)の「食品業」の倒産(負債1,000万円以上)は653件(前年度比16.3%増)で、2年連続で前年度を上回った。

3

  • TSRデータインサイト

【破綻の構図】テックコーポレーションと不自然な割引手形

環境関連機器を開発していた(株)テックコーポレーションが3月18日、広島地裁から破産開始決定を受けた。 直近の決算書(2023年7月期)では負債総額は32億8,741万円だが、破産申立書では約6倍の191億円に膨らむ。 突然の破産の真相を東京商工リサーチが追った。

4

  • TSRデータインサイト

2024年の「中堅企業」は9,229社 企業支援の枠組み新設で、成長を促進し未来志向へ

東京商工リサーチの企業データベースでは、2024年3月時点で「中堅企業」は9,229社(前年比1.2%増、構成比0.7%)あることがわかった。うち2023年の中小企業が、2024年に「中堅企業」に規模を拡大した企業は399社だった。一方、「中堅企業」から「中小企業」へ規模が縮小した企業も311社みられた。

5

  • TSRデータインサイト

「経営者保証」 75%の企業が「外したい」 保証料率の上昇、金融機関との関係悪化を懸念する声も

資金調達時の経営者(個人)保証について、「外したい」と回答した企業が75.5%にのぼり、経営者保証に拠らない融資へのニーズが大きいことがわかった。ただ、保証料率の上乗せや金融機関との関係悪化を懸念して経営者保証を外すことに慎重な企業も多い。

記事カテゴリを表示
記事カテゴリを閉じる

プリントアウト

RSS

CLOSE
TOPへ