• TSR速報

昌一金属(株)

昌一金属の本社

昌一金属の本社

 昌一金属(株)(大阪市港区)は12月26日、大阪地裁に民事再生法の適用を申請し同日、監督命令を受けた。
 申請代理人は髙木大地弁護士(弁護士法人関西法律特許事務所、同市中央区北浜2-5-23)ほか7名。
 監督委員には宮本圭子弁護士(弁護士法人第一法律事務所、同市北区中之島2-2-7)が選任された。
 負債総額は39億1605万円。

 1947年5月に創業した架線金物および同付属物の製造業者。電力会社向けの指定製品の製造に強みを持ち、大手電力会社などに販路を築いていた。1984年1月には大阪市港区に福崎工場を開設したほか、1992年には子会社の九州昌一金属(株)(福岡県大刀洗町)を設立するなど業容を拡大し、1994年9月期にはピークとなる売上高49億1981万円を計上した。
 その後は電柱関連のインフラ整備の一巡とともに売上規模が縮小したため、2009年9月期には分散していた生産拠点を堺市に新設した工場に集約。競争力を高めるため、各工程における出戻・配送経費負担を圧縮するとともに、実質的な内製率の向上を図っていた。

 しかし、2011年9月期中に発生した東日本大震災による東京電力福島第一原子力発電所の事故以降、電力会社の設備投資が失速し、業況が悪化。減収基調での推移が続き、採算面も苦戦を強いられてきた。
 近時の原材料価格高騰などもあり、資金繰りが逼迫するなか、2023年12月には金融機関に借入金返済のリスケジュールを要請したが、2023年9月期決算において約43億4000万円の前期損益修正損を計上し、約1億円の債務超過に転落するなど粉飾決算が露呈。こうした状況下で一部金融機関が支援に応じず、今回の措置となった。

 今後は、回収予定の売掛金や生命保険の解約等で当座の運転資金を確保したうえ、早急にスポンサー候補を選定し、スポンサー支援により資金繰りの維持に努める方針としている。

※昌一金属(株)(TSR企業コード:570087724、法人番号:1120001029810、大阪市港区市岡4-1-5、設立1955(昭和30)年10月、資本金2700万円)
※九州昌一金属(株)(TSR企業コード:872271854、法人番号:7290001050570、福岡県大刀洗町)

人気記事ランキング

  • TSRデータインサイト

M&A総研の関わりに注目集まる資金流出トラブル ~ アドバイザリー契約と直前の解約 ~

東京商工リサーチは、M&Aトラブルの当事者であるトミス建設、マイスHD、両者の株式譲渡契約前にアドバイザリー契約を解約したM&A総合研究所(TSRコード: 697709230、千代田区)を取材した。

2

  • TSRデータインサイト

中小企業、中高年の活用に活路 「早期・希望退職」は大企業の2.8%が実施

 「早期希望・退職」をこの3年間実施せず、この先1年以内の実施も検討していない企業は98.5%だった。人手不足が深刻化するなか、上場企業の「早期・希望退職」募集が増えているが、中小企業では社員活用の方法を探っているようだ。

3

  • TSRデータインサイト

【解説】秀和システムの法的整理、異変察知は「船井電機より前」

(株)秀和システム(TSRコード:292007680、東京都)への問い合せは、船井電機(株)(TSRコード:697425274、大阪府)の破産の前後から急増した。ところが、あるベテラン審査マンは「ERIが弾けた時からマークしていた」と耳打ちする。

4

  • TSRデータインサイト

1-6月の「訪問介護」倒産 2年連続で最多 ヘルパー不足と報酬改定で苦境が鮮明に

参議院選挙の争点の一つでもある介護業界の倒産が加速している。2025年上半期(1-6月)の「訪問介護」の倒産が45件(前年同期比12.5%増)に達し、2年連続で過去最多を更新した。

5

  • TSRデータインサイト

2023年度「赤字法人率」 過去最小の64.7% 最小は佐賀県が60.9%、四国はワースト5位に3県入る

国税庁が4月に公表した「国税庁統計法人税表」によると、2023年度の赤字法人(欠損法人)は193万650社だった。普通法人(298万2,191社)の赤字法人率は64.73%で、年度集計に変更された2007年度以降では、2022年度の64.84%を下回り、最小を更新した。

TOPへ