全国企業倒産状況

2025年上半期(1-6月)の全国企業倒産4,990件

Xアイコン
facebookアイコン

2025年上半期の倒産 4年連続で増加、負債1億円未満の構成比が30年間で最高


 2025年上半期(1-6月)の全国企業倒産(負債額1,000万円以上)は、件数が4,990件(前年同期比1.1%増)、負債総額は6,902億600万円(同4.2%減)だった。
 件数は4年連続で前年同期を上回り、上半期では2014年(5,073件)以来の水準となった。
 負債総額は、2023年から3年連続で1兆円を下回った。負債100億円以上は2件(前年同期4件)と減少したが、同10億円以上が98件(同96件)と増加した。一方で、同1億円未満は3,857件(前年同期比5.0%増)と、1996年以降で上半期では最高の77.2%(前年同期74.4%)を占め、小規模倒産を中心に推移した。

 2025年上半期の「物価高」倒産は343件(前年同期比8.5%減)で、2022年からの円安相場のなかで初めて前年同期を下回った。ただ、3年連続の300件台で高止まりに変わりはない。
 今年5月の現金給与の総額は41カ月連続でプラスだったが、物価上昇に賃金が追いつかず実質賃金は5カ月連続マイナスになり、所得税と住民税の定額減税の終了も微妙に個人消費への影響が懸念される。
 金融機関の貸出金利が上昇局面に入っている。金利は新規借入だけでなく、借換えなどのタイミングでも見直される。大手や優良企業だけでなく、業績が厳しい中小企業も対象になるため、経営体力や収益構造がぜい弱な中小・零細企業は今後、金利上昇がボディーブローのように収益に影響を受ける可能性が出てきた。
 企業倒産は一服状態だが、物価高や金利引き上げなどで企業を取り巻く環境は厳しさを増している。企業倒産は増減を繰り返しながら、秋口以降は緩やかに増勢をたどるとみられる。

企業倒産上半期推移


・「ゼロゼロ融資」利用後の倒産は210件(同328件)で、3年ぶりに300件を下回る
・「人手不足」関連倒産は、求人難68件(前年同期58件)、従業員退職54件(同41件)、人件費高騰50件(同47件)
・「物価高」倒産は343件(同375件)で、3年連続で300件超
・形態別:破産の構成比90.3%で過去最高
・都道府県別件数:前年同期より増加が23府県、減少は24都道府県
・負債額別件数:負債1億円未満の構成比77.2%、30年間の最高
・業種別件数:繊維工業、機械器具小売業などが増加
・中小企業倒産(中小企業基本法に基づく)は99.97%

◇倒産データ分析:https://www.tsr-net.co.jp/news/data_analysis/index.html

産業別 10産業のうち、7産業で前年同期を上回る

 2025年上半期の産業別件数は、7産業で前年同期を上回った。
 最多はサービス業他の1,697件(前年同期比4.8%増)で、上半期としては3年連続で前年同期を上回った。上半期倒産に占める構成比は34.0%(前年同期32.8%)だった。
 次いで、建築資材の高止まりや職人不足が続く建設業が969件(前年同期比2.3%増)で、4年連続で前年同期を上回った。
 また、引き続き円安基調で推移するなか、仕入コストや水道、光熱費などコストアップによる資金負担増の製造業が583件(同5.0%増)で、3年連続で前年同期を上回った。
 このほか、農・林・漁・鉱業60件(同7.1%増)と情報通信業218件(同15.3%増)が4年連続、小売業548件(同2.2%増)と不動産業160件(同11.8%増)が3年連続で、それぞれ前年同期を上回った。
 増加率が最も大きい情報通信業は、上半期では2014年以来、11年ぶりに200件以上に。

2025年上半期(1-6月) 産業別倒産状況

主要産業倒産件数 上半期推移

地区別 倒産件数、6地区で前年同期を上回る

 2025年上半期の地区別件数は、6地区で前年同期を上回った。
 東北312件(前年同期比6.1%増)と九州453件(同0.2%増)が、上半期としてはそれぞれ4年連続で前年同期を上回った。このほか、中部589件(同6.5%増)と北陸102件(同12.0%増)、近畿1,302件(同3.0%増)、四国110件(同18.2%増)が、それぞれ3年連続で前年同期を上回った。上半期では、東北が15年ぶりに300件台、近畿が12年ぶりに1,300件台に、それぞれ乗せた。一方、北海道129件(同7.8%減)で4年ぶり、関東1,782件(同1.4%減)と中国211件(同10.5%減)が3年ぶりに、それぞれ前年同期を下回った。

2025年上半期(1-6月) 都道府県別倒産状況


※地区の範囲は以下に定義している。

東北(青森、岩手、宮城、秋田、山形、福島)
関東(茨城、栃木、群馬、埼玉、千葉、東京、神奈川、新潟、山梨)
中部(長野、岐阜、静岡、愛知、三重)
北陸(富山、石川、福井)
近畿(滋賀、京都、大阪、兵庫、奈良、和歌山)
中国(広島、岡山、山口、鳥取、島根)
四国(香川、徳島、愛媛、高知)
九州(福岡、佐賀、長崎、熊本、大分、宮崎、鹿児島、沖縄)


上半期の主な倒産

[負債額上位5社]
1.丸住製紙(株)/愛媛県/洋紙製造ほか/590億円/民事再生法
2.FUNAI GROUP(株)/大阪府/持株会社/262億1,500万円/破産
3.(株)君津ロックウール/千葉県/ロックウール製造販売/87億5,000万円/特別清算
4.(株)ロイヤル/愛知県/スポーツ・カジュアル靴・雑貨類販売/83億3,000万円/民事再生法
5.日興電子(株)/東京都/水晶発振器・フィルター製造/75億8,000万円/破産

Xアイコン
facebookアイコン

人気記事ランキング

ランキング1位
  • TSRデータインサイト

「鳶工事業」が苦境、倒産が過去最多ペース ~ 16年ぶり100件超、職人不足とコスト対応がネック ~

「建設現場の花形」と言われる鳶職人の世界に逆風が吹く。足場から鉄骨、支柱工事など建設現場で欠かせないが、倒産が過去最多ペースだ。有効求人倍率は7.94倍と深刻な人材難の鳶業界にあって採用難と高い技能、経験が若者の育成に足かせになっている。鳶工事業の倒産を分析した

2

  • TSRデータインサイト

「渋谷区」が倒産最多、2年連続も視野 ~ 倒産企業の半数が業歴10年超、新設法人は伸び鈍化 ~

街の主役は若者から大人へ。再開発で変貌を遂げる「シブヤ」に異変が生じている。 渋谷区に本社を構える企業倒産(1-8月)は、全国の市区郡別で最多の123件に達した。昨年(2025年1-12月)は161件で2007年以来、18年ぶり全国ワーストだった

3

  • TSRデータインサイト

2025年度の書店の利益、前年度の4.6倍に拡大 黒字企業が7割も、「増収増益」は13.4%

「本離れ」が言われて久しいが、書店経営が回復に転じた。全国の主な書店304社の2025年度の売上高合計は、6,121億4,000万円(前年度比1.6%増)、利益合計は40億2,600万円(同365.4%増)で、売上高は微増だったが、利益は前年度の4.6倍に急回復した。

4

  • TSRデータインサイト

翻訳業が苦境、利益は3年で7割減 ~ AIと競合で破産したケースも ~

AIが翻訳業界にドラスティックな変化を迫っている。日進月歩で精度が向上するなか、言語間の壁が低くなっている。この余波が翻訳業界に広がり、業績は3期連続で減収減益に追い込まれた。

5

  • TSRデータインサイト

「畳製造業」 伝統産業に忍び寄る市場変化と後継問題 売上は3年連続で低迷、業歴100年超の老舗が2割超

9月24日は「畳の日」。全国畳産業振興会が4月29日と9月24日の年2回定めている。日本の住文化の伝統を引き継ぐ畳のすばらしさをアピールすることが目的だが、畳製造業が長期低迷に陥っている。 全国の主な「畳製造業」256社の2025年度の売上高合計は402億7,700万円(前年度比1.3%減)だった

TOPへ