全国企業倒産状況

2022年(令和4年)の全国企業倒産6,428件

2022年1-12月の倒産

2022年の倒産件数は3年ぶりに前年を上回る、負債総額は2兆円超

 2022年(1-12月)の全国企業倒産(負債総額1,000万円以上)は、件数が6,428件(前年比6.6%増)、負債総額は前年比2倍増の2兆3,314億4,300万円(同102.6%増)だった。
件数は、2019年(8,383件)以来、3年ぶりに前年を上回った。ただ、2年連続の6,000件台にとどまった。
負債総額は、5年ぶりに前年を上回り、2017年(3兆1,676億3,700万円)以来の2兆円超えとなった。これは事業再生ADRで再生を目指したが、全金融機関から同意を得られず簡易再生手続(民事再生法)を申請したマレリホールディングス(株)(6月、埼玉県、負債1兆1,330億円)が押し上げ、負債のほぼ半分(48.5%)を占めた。また、負債100億円以上1,000億円未満が13件(前年9件)のほか、同5億円以上10億円未満が229件(同189件)、同1億円以上5億円未満が1,368件(同1,167件)と、中堅規模の倒産が増加したことも影響した。ただ、負債1億円未満が4,661件(構成比72.5%)で、依然として7割を占め、小規模倒産を主体とした状況に大きな変わりはない。
2022年の「新型コロナウイルス」関連倒産は、2,290件(前年比36.7%増)で、前年(1,674件)の1.3倍に増加した。
産業別では、燃料費の高止まりが続く運輸業が324件(前年比35.5%増)と2年連続で前年を上回った。このうち、道路貨物運送業が248件(同46.7%増)と急増した。

企業倒産1-12月推移


  • 「人手不足」関連倒産のうち、「後継者難」が422件(前年381件)発生
  • 負債額別件数:負債1億円未満の構成比72.5%。2年連続で1,000億円以上が発生
  • 業種別件数:飲食料品製造・販売、道路貨物運送業、老人・福祉介護事業などが増加
  • 形態別件数:法的倒産の構成比が97.1%。6年連続で90%台
  • 従業員数別件数:10人未満の構成比87.7%、300人以上は2年ぶりに発生
  • 上場企業倒産:東証スタンダードのテラ(株)1件で、2年ぶりに発生
  • 中小企業倒産件数(中小企業基本法に基づく)の構成比は99.9%。4年連続で100.0%ではなかった

産業別 10産業のうち、7産業で前年を上回る

 2022年の産業別件数は、10産業のうち、小売業、金融・保険業、不動産業を除く7産業で前年を上回った。
産業別の最多は、サービス業他の2,075件(前年比3.3%増)で、2年ぶりに前年を上回った。ただ、コロナ禍で注目された飲食業(648→522件)、宿泊業(86→76件)は減少。
このほか、建設業1,194件(前年比12.1%増)と製造業722件(同8.7%増)、情報通信業238件(同15.5%増)が3年ぶり、卸売業834件(同3.4%増)が10年ぶりに、それぞれ前年を上回った。また、燃料価格の高止まりや人手不足などの影響が大きい運輸業は324件(同35.5%増)で、2年連続で前年を上回り、7年ぶりに300件台に乗せた。
一方、小売業718件(同1.6%減)が3年連続、金融・保険業17件(同26.0%減)と不動産業216件(同8.0%減)が2年連続で、それぞれ前年を下回った。また、減少した3産業は、1993年以降の30年間で最少となった。

2022年1-12月の産業別倒産

産業別倒産1-12月推移

地区別倒産件数 9地区のうち6地区で前年を上回る

 2022年の地区別件数は、9地区のうち、中部、北陸、四国を除く6地区で前年を上回った。
北海道198件(前年比42.4%増)は5年ぶり、東北341件(同42.0%増)と関東2,447件(同6.3%増)、近畿1,630件(同3.4%増)、九州538件(同14.9%増)は3年ぶり、中国249件(同0.8%増)は2年ぶりに、それぞれ前年を上回った。
増加率が最も大きい北海道は、サービス業他(48→62件)、製造業(16→28件)、運輸業(8→22件)など8産業が前年を上回った。また、東北はサービス業他(63→96件)、建設業(46→77件)、卸売業(32→44件)など7産業、九州はサービス業他(163→164件)、建設業(71→111件)、小売業(72→74件)など8産業、関東はサービス業他(715→759件)、建設業(392→410件)、卸売業(336→388件)など7産業で、前年を上回った。
一方、中部771件(前年比1.6%減)は4年連続、四国109件(同15.5%減)は3年連続、北陸145件(同2.0%減)は2年連続で、前年を下回った。

2022年1-12月の都道府県別倒産

地区の範囲は以下に定義している。

  • 東北(青森、岩手、宮城、秋田、山形、福島)
  • 関東(茨城、栃木、群馬、埼玉、千葉、東京、神奈川、新潟、山梨)
  • 中部(長野、岐阜、静岡、愛知、三重)
  • 北陸(富山、石川、福井)
  • 近畿(滋賀、京都、大阪、兵庫、奈良、和歌山)
  • 中国(広島、岡山、山口、鳥取、島根)
  • 四国(香川、徳島、愛媛、高知)
  • 九州(福岡、佐賀、長崎、熊本、大分、宮崎、鹿児島、沖縄)

主な倒産

[負債額上位5社]

  1. マレリホールディングス(株)/埼玉県/純粋持株会社/11,330億円/民事再生法
  2. (株)ホープエナジー/福岡県/電力小売/300億円/破産
  3. 神明畜産(株)/東京都/畜産業/294億5,600万円/民事再生法
  4. イセ食品(株)/東京都/鶏卵販売ほか/278億4,700万円/会社更生法
  5. (株)肉の神明/東京都/食肉卸、小売/208億400万円/民事再生法

人気記事ランキング

  • TSRデータインサイト

約束手形の決済期限を60日以内に短縮へ 支払いはマイナス影響 約4割、回収では 5割超がプラス影響

これまで120日だった約束手形の決済期限を、60日に短縮する方向で下請法の指導基準が見直される。約60年続く商慣習の変更は、中小企業の資金繰りに大きな転換を迫る。 4月1~8日に企業アンケートを実施し、手形・電子記録債権(でんさい)のサイト短縮の影響を調査した。

2

  • TSRデータインサイト

「早期・希望退職者」募集は年間1万人超ペース 空前の賃上げの裏側で加速する構造改革

4月23日現在、「早期・希望退職者」の募集が判明した国内の上場企業は21社で、前年同期の16社を5社上回った。対象人数(国内)は3,724人(前年同期1,236人)で、前年同期の3倍に達した。すでに2023年(3,161人)の年間実績を563人上回り、構造改革の促進で年間1万人超のペースで推移している。

3

  • TSRデータインサイト

今年の“大型連休” 6割の企業が5連休 大企業の2%が10連休超、中小企業は2割が4連休以下

2023年春のゴールデンウィーク(GW)は何連休? 東京商工リサーチ(TSR)が4月3日から11日に実施したアンケート調査で、最多はカレンダー通りの5連休で全体の6割を占めた。

4

  • TSRデータインサイト

2024年の「中堅企業」は9,229社 企業支援の枠組み新設で、成長を促進し未来志向へ

東京商工リサーチの企業データベースでは、2024年3月時点で「中堅企業」は9,229社(前年比1.2%増、構成比0.7%)あることがわかった。うち2023年の中小企業が、2024年に「中堅企業」に規模を拡大した企業は399社だった。一方、「中堅企業」から「中小企業」へ規模が縮小した企業も311社みられた。

5

  • TSRデータインサイト

【破綻の構図】テックコーポレーションと不自然な割引手形

環境関連機器を開発していた(株)テックコーポレーションが3月18日、広島地裁から破産開始決定を受けた。 直近の決算書(2023年7月期)では負債総額は32億8,741万円だが、破産申立書では約6倍の191億円に膨らむ。 突然の破産の真相を東京商工リサーチが追った。

記事カテゴリを表示
記事カテゴリを閉じる

プリントアウト

RSS

CLOSE
TOPへ