全国企業倒産状況
2015年4月の全国企業倒産748件
倒産件数が4月としては過去20年間で最少748件、上場企業倒産が1件発生
2015年(平成27年)4月度の全国企業倒産(負債額1,000万円以上)は、件数が748件、負債総額は1,927億7,900万円だった。
倒産件数は、前年同月比18.1%減(166件減)で2カ月ぶりに前年同月を下回った。4月度としては、1996年以降の過去20年間では最少件数にとどまった。金融機関が中小企業のリスケ要請に柔軟に応じていることや、景気対策として実施された公共事業の前倒し発注の影響、さらに中小企業向け貸出金の増加も経営を下支えしている。
一方、負債総額は、前年同月比36.6%増(516億9,200万円増)で、3カ月連続で前年同月を上回った。これは、東証1部上場で持株会社の江守グループホールディングス(株)(福井・負債711億円・民事再生法)の大型倒産が影響した。この1件だけで月次負債の約4割(構成比36.8%)を占めた。負債1億円未満の構成比は72.0%(539件)と全体の7割を占め、依然として小規模企業の倒産が大半であることに変わりがない。
- 上場企業倒産:東証1部上場の江守グループホールディングスが民事再生法を申請
- 形態別:特別清算が32件、3カ月ぶりの30件台
- 従業員数別:5人未満の構成比が72.5%、3カ月ぶりに70%を上回る
- 原因別:「他社倒産の余波」が2カ月連続で前年同月を上回る
- 「円安」関連倒産が17件、2カ月ぶりに前年同月を下回る
- 「中小企業金融円滑化法」に基づく貸付条件変更利用後の倒産が13件、15カ月連続で前年同月を下回る
- 「東日本大震災」関連倒産が8件、4カ月ぶりに10件を下回る
- 業種別:食料品製造(16→25件)や酒小売(5→13件)で増加目立つ
- 中小企業倒産(中小企業基本法に基づく)が2カ月ぶりにすべて(構成比100%)を占める
産業別 10産業のうち9産業で倒産件数が前年同月を下回る
4月の産業別倒産件数は、10産業のうち不動産業を除く9産業で前年同月を下回った。
唯一、前年同月を上回った不動産業は33件(前年同月28件)で、4カ月ぶりに前年同月を上回った。内訳では、不動産代理業・仲介業が14件(同4件)と大幅に増加した。
一方、製造業は109件(前年同月比9.9%減)で21カ月連続で減少し、建設業が134件(同21.6%減)で10カ月連続で前年同月を下回った。こうしたなか、製造業では食料品製造業(16→25件)が、建設業では木造建築工事(11→14件)が増加をみせた。
また、卸売業が128件(同3.7%減)で、3カ月ぶりに前年同月を下回り、小売業は105件(同16.6%減)で2カ月ぶりに減少に転じた。ただし、小売業では小規模企業を中心に酒小売(5→13件)の増加が目立った。このほか、飲食業、広告業などを含むサービス業他が177件(前年同月比22.7%減)、運輸業が25件(同50.9%減)で減少に転じた。
地区別 1年8カ月ぶりに9地区すべてで倒産件数が前年同月を下回る
4月の地区別倒産件数は、9地区すべてで前年同月を下回った。すべての地区で減少になったのは、2013年8月以来1年8カ月ぶり。
北陸が22件(前年同月比38.8%減)、5カ月ぶりの20件台だが8カ月連続の減少。また、関東が288件(同14.0%減)、中部99件(同13.1%減)で、ともに7カ月連続で前年同月を下回った。また、中国が4カ月ぶりの30件割れとなる29件(同29.2%減)、北海道が24件(同25.0%減)で、ともに2カ月連続で前年同月を下回った。
さらに、四国が最近1年間では最少の11件(前年同月比47.6%減)にとどまり4カ月ぶりに減少し、東北が22件(同33.3%減)、近畿が189件(同19.5%減)、九州が64件(同4.4%減)で、それぞれ2カ月ぶりに減少した。産業別では、減少が目立つ建設業が、中部と九州を除く7地区で前年同月を下回った。
※地区の範囲は以下に定義している。
- 東北(青森、岩手、宮城、秋田、山形、福島)
- 関東(茨城、栃木、群馬、埼玉、千葉、東京、神奈川、新潟、山梨)
- 中部(長野、岐阜、静岡、愛知、三重)
- 北陸(富山、石川、福井)
- 近畿(滋賀、京都、大阪、兵庫、奈良、和歌山)
- 中国(広島、岡山、山口、鳥取、島根)
- 四国(香川、徳島、愛媛、高知)
- 九州(福岡、佐賀、長崎、熊本、大分、宮崎、鹿児島、沖縄)
当月の主な倒産
[負債額上位5社]
- 江守グループホールディングス(株)/福井県/持株会社/711億円/民事再生法
- エフエルワイ(株)/東京都/持株会社/69億6,000万円/特別清算
- (株)ディーケイシー/東京都/インターネット家電販売/65億4,000万円/破産
- 奥村遊機(株)/愛知県/遊技機器製造/50億8,500万円/破産
- (株)エス・エフ・シー/神奈川県/システム開発/48億8,100万円/民事再生法