全国企業倒産状況

2013年6月の全国企業倒産897件

倒産件数 897件
負債総額 3,837億400万円
前月比(件数) -14.1%(前月 1,045件)
前月比(負債) +121.3%(前月 1,733億3,000万円)
前年同月比(件数) -8.0%(前年同月 975件)
前年同月比(負債) +111.2%(前年同月 1,816億100万円)

(負債総額1,000万円以上の倒産を集計、%は小数点2位以下切捨)

6月の倒産件数は今年最少の897件 8カ月連続で前年同月を下回る

2013年(平成25年)6月度の全国企業倒産件数(負債額1,000万円以上)は897件、負債総額が3,837億400万円だった。

倒産件数は、前年同月比8.0%減で8カ月連続で前年同月を下回った。また、4月の899件を下回り今年最少を記録し、6月度では過去20年間で最も少ない低水準だった。

負債総額は、前年同月比111.2%増と急増した。6月度では、5年ぶりに前年同月を上回った。前年同月は負債100億円以上が1件にとどまった反動に加え、年金資金の巨額詐欺事件に関わったAIJ投資顧問の傘下で、証券販売のアイティーエム証券(株)(東京・負債1,416億円・破産)の大型倒産が押し上げた。

企業倒産月次推移


  • 金融円滑化法に基づく貸付条件変更利用後の倒産が倍増の44件(前年同月22件)
  • 法的倒産の構成比が過去最高の86.0%
  • 原因別件数:既往シワ寄せ(赤字累積)が123件、12カ月連続で前年同月を上回る
  • 大型倒産:証券販売のアイティーエム証券(株)(負債1,416億円)が破産
  • 上場企業倒産は、ジャスダック上場の(株)インデックス(民事再生法)が1件発生
  • 業種別件数:道路貨物運送業、広告関連業などで倒産増加
  • 中小企業倒産(中小企業基本法に基づく)が895件、8カ月連続のマイナス

産業別

産業別倒産件数 建設業が21年5カ月ぶりに200件を下回る

6月の産業別倒産件数は、10産業のうち6産業で前年同月を下回った。

建設業は、184件(前年同月比20.6%減)で16カ月連続の減少。月次で200件を下回ったのは1992年1月(196件)以来、21年5カ月ぶり。

情報報通信業が39件(同2.5%減)、不動産業が21件(同41.6%減)で、ともに5カ月連続で前年同月を下回り、小売業は117件(同7.1%減)で4カ月連続減少、製造業は143件(2.0%減)で2カ月連続で減少した。一方、燃料価格などのコストアップが収益を圧迫している運輸業は49件(同28.9%増)で3カ月連続で前年同月を上回った。サービス業他は200件(同4.1%増)で2カ月ぶりに増加した。

産業別倒産状況

主要産業倒産件数推移

地区別

地区別倒産件数 9地区のうち4地区で前年同月を上回る

  • 北海道:件数が8カ月連続で前年同月を下回る。
  • 東北:全体の件数が、4カ月ぶりに前年同月を上回る。県別件数では、宮城、秋田、山形、福島で前年同月比増加。
  • 関東:全体の件数が、8カ月連続で前年同月を下回る。県別件数では、茨城、千葉、山梨で前年同月比増加。
  • 中部北陸:全体の件数が、中部は2カ月連続でマイナス。北陸は5カ月ぶりに前年同月を上回る。県別件数では、岐阜、静岡、三重、富山、石川、福井で前年同月比増加。
  • 近畿:全体の件数が、11カ月連続で前年同月を下回る。県別件数では、京都のみ前年同月比増加。
  • 中国:全体の件数が、2カ月ぶりに前年同月を上回る。県別件数では、島根、岡山、広島、山口で前年同月比増加。
  • 四国:全体の件数が、2カ月連続で前年同月を下回る。県別件数では、愛媛と高知が前年同月同数。
  • 九州:全体の件数が、8カ月ぶりに前年同月を上回る。県別件数では、福岡、鹿児島、沖縄で前年同月比増加。

都道府県別倒産状況

  • 地区の範囲は以下に定義している。
    東北(青森、岩手、宮城、秋田、山形、福島)
    関東(茨城、栃木、群馬、埼玉、千葉、東京、神奈川、新潟、山梨)
    中部(長野、岐阜、静岡、愛知、三重)
    北陸(富山、石川、福井)
    近畿(滋賀、京都、大阪、兵庫、奈良、和歌山)
    中国(広島、岡山、山口、鳥取、島根)
    四国(香川、徳島、愛媛、高知)
    九州(福岡、佐賀、長崎、熊本、大分、宮崎、鹿児島、沖縄)

当月の主な倒産

[負債額上位5社]

  1. アイティーエム証券(株) / 東京都 / 証券販売 / 1,416億円 / 破産
  2. 一般財団法人広島県農林振興センター / 広島県 / 植林業 / 468億2800万円 / 民事再生法
  3. (株)ウエストワンズ / 兵庫県 / ゴルフ場経営 / 264億円 / 民事再生法
  4. (株)インデックス / 東京都 / 携帯端末向けコンテンツ・ゲーム制作 / 246億200万円 / 民事再生法
  5. (株)K&A / 愛知県 / 投資コンサルティング業ほか / 90億円 / 破産

人気記事ランキング

  • TSRデータインサイト

【TSRの眼】「トランプ関税」の影響を読む ~ 必要な支援と対応策 ~

4月2日、トランプ米国大統領は貿易赤字が大きい国・地域を対象にした「相互関税」を打ち出し、9日に発動した。だが、翌10日には一部について、90日間の一時停止を表明。先行きが読めない状況が続いている。

2

  • TSRデータインサイト

中小企業の賃上げ率「6%以上」は9.1% 2025年度の「賃上げ」 は企業の85%が予定

2025年度に賃上げを予定する企業は85.2%だった。東京商工リサーチが「賃上げ」に関する企業アンケート調査を開始した2016年度以降の最高を更新する見込みだ。全体で「5%以上」の賃上げを見込む企業は36.4%、中小企業で「6%以上」の賃上げを見込む企業は9.1%にとどまることがわかった。

3

  • TSRデータインサイト

ホテル業界 インバウンド需要と旅行客で絶好調 稼働率が高水準、客室単価は過去最高が続出

コロナ明けのインバウンド急回復と旅行需要の高まりで、ホテル需要が高水準を持続している。ホテル運営の上場13社(15ブランド)の2024年10-12月期の客室単価と稼働率は、インバウンド需要の高い都心や地方都市を中心に、前年同期を上回った。

4

  • TSRデータインサイト

2024年度の「後継者難」倒産 過去2番目の454件 代表者の健康リスクが鮮明、消滅型倒産が96.6%に 

2024年度の後継者不在が一因の「後継者難」倒産(負債1,000万円以上)は、過去2番目の454件(前年度比0.8%減)と高止まりした。

5

  • TSRデータインサイト

2025年「ゾンビ企業って言うな!」 ~ 調達金利の上昇は致命的、企業支援の「真の受益者」の見極めを ~

ゾンビ企業は「倒産村」のホットイシューです、現状と今後をどうみていますか。 先月、事業再生や倒産を手掛ける弁護士、会計士、コンサルタントが集まる勉強会でこんな質問を受けた。

TOPへ