全国企業倒産状況

2012年(平成24年)11月度 全国企業倒産状況

倒産件数 964件
負債総額 2,638億3,600万円
前月比(件数) -6.8%(前月 1,035件)
前月比(負債) +10.2%(前月 2,393億5,400万円)
前年同月比(件数) -11.9%(前年同月 1,095件)
前年同月比(負債) +40.5%(前年同月 1,876億7,500万円)

(負債総額1,000万円以上の倒産を集計、%は小数点2位以下切捨)

倒産件数 11月では22年ぶりの1,000件割れ 「金融円滑化法」関連倒産が24件


 2012年(平成24年)11月度の全国企業倒産件数(負債額1,000万円以上)は964件、負債総額が2,638億3,600万円だった。

 

 倒産件数は、前年同月比11.9%減で2カ月ぶりに前年同月を下回った。11月としては過去20年間で最少を記録し、1990年(633件)以来、22年ぶりの1,000件割れとなった。依然、「中小企業金融円滑化法」などの金融支援策で倒産が抑制されている。

 

 負債総額は、前年同月比40.5%増と大幅に増加し、2カ月連続で前年同月を上回った。軽合金鍛造等のワシ興産(株)(福井・負債404億円)、テレビショッピング「日本直販」運営の(株)総通(大阪・同174億円)など、負債100億円以上の大型倒産が5件(前年同月2件)発生し、負債が膨らんだ。

 また、「中小企業金融円滑化法」に基づく貸付条件変更後の倒産は、今年2番目に多い24件(1-11月累計217件)発生した。

企業倒産月次推移


産業別


産業別倒産件数 10産業のうち7産業で前年同月を下回る

 

 運輸業が今年最多の50件(前年同月比85.1%増、前年同月27件)発生し、2010年10月(51件)以来、2年1カ月ぶりに50件台に増加した。燃料価格の高止まりや輸出停滞による物流量低迷の影響などが押し上げたとみられる。

 一方、建設業は229件(前年同月比18.2%減)と9カ月連続で減少した。建設業の地区別では北陸と東北を除く7地区で前年同月を下回った。

 小売業は123件(同10.2%減)で2カ月連続で減少した。また、サービス業他が212件(同22.9%減)と製造業が141件(同4.7%減)で、ともに2カ月ぶりに前年同月を下回った。このほか卸売業が前年同月同数の137件だった。


産業別分類 件数(件) 負債額(百万円)
農・林・漁・鉱業 6 499
建設業 229 36,940
製造業 141 94,450
卸売業 137 19,585
小売業 123 27,846
金融・保険業 3 637
不動産業 21 5,505
運輸業 50 18,567
情報通信業 42 3,884
サービス業他 212 55,923
合計 964 263,836


※業種分類のコード(日本標準産業分類に基づく)改訂に伴い、弊社データベースは2009年1月度より新業種分類に移行した。各数値は新業種コードに基づく。

主要産業倒産件数推移


地区別

地区別倒産件数 9地区のうち8地区で前年同月を下回る

 

 唯一増加した北陸は34件(前年同月比41.6%増)で、全県で前年同月を上回った。北陸の産業別では、建設業(7→10件)と製造業(4→7件)が件数を押し上げた。

 これに対し、東北は19件(同20.8%減)で今年最少を記録した。今年8月以降は、前年同月比で増減を繰り返しているが、月次で20件を下回ったのは、1967年9月(19件)以来の低水準だった。

 

・北海道:件数が3カ月ぶりに前年同月を下回る。

・東北:全体の件数が、2カ月ぶりに前年同月を下回り今年最少。県別件数では、秋田のみ前年同月比増加。

・関東:全体の件数が、3カ月ぶりに前年同月を下回る。県別件数では、栃木、群馬で前年同月比増加。

・中部北陸:全体の件数が、中部は2カ月連続で前年同月比減少、北陸は2カ月連続で前年同月を上回る。県別件数では、岐阜、静岡、富山、石川、福井で前年同月比増加。

・近畿:全体の件数が、4カ月連続で前年同月を下回る。県別件数では、京都のみ前年同月比増加。

・中国:全体の件数が、2カ月ぶりに前年同月を下回る。県別件数では、島根のみ前年同月比増加。

・四国:全体の件数が、3カ月ぶりに前年同月を下回る。県別件数では、香川(前年同月同数)を除く3県で前年同月比減少。

・九州:全体の件数が、2カ月ぶりに前年同月を下回る。県別件数では、佐賀、宮崎で前年同月比増加。

都道府県 件数(件) 負債額(百万円)
北海道 31 5,187
東北 19 4,493
青森 3 1,395
岩手 1 41
宮城 3 104
秋田 8 681
山形 3 117
福島 1 2,155
関東 363 73,897
茨城 9 481
栃木 10 657
群馬 12 837
埼玉 38 7,144
千葉 26 8,055
東京 206 47,151
神奈川 50 7,371
新潟 9 1,893
山梨 3 308
中部 129 21,272
長野 16 3,732
岐阜 18 2,500
静岡 32 5,348
愛知 51 7,692
三重 12 2,000
北陸 34 87,059
富山 8 17,566
石川 15 3,395
福井 11 66,098
都道府県 件数(件) 負債額(百万円)
近畿 267 42,948
滋賀 8 2,435
京都 47 3,959
大阪 144 29,763
兵庫 46 4,779
奈良 10 1,552
和歌山 12 460
中国 34 7,676
鳥取 1 40
島根 8 810
岡山 8 3,963
広島 14 2,753
山口 3 110
四国 16 1,241
徳島 4 252
香川 7 832
愛媛 3 99
高知 2 58
九州 71 20,063
福岡 29 5,877
佐賀 6 407
長崎 10 10,570
熊本 9 1,849
大分 3 179
宮崎 4 191
鹿児島 5 746
沖縄 5 244
合計 964 263,836


※地区の範囲は以下に定義している。

関東(茨城、栃木、群馬、埼玉、千葉、東京、神奈川、新潟、山梨)

中部(長野、岐阜、静岡、愛知、三重)

北陸(富山、石川、福井)

近畿(滋賀、京都、大阪、兵庫、奈良、和歌山)


 

◎形態別:法的倒産の構成比が過去最高の84.0%

◎「東日本大震災」が影響した「震災関連」倒産が41件発生

◎上場企業倒産:東証1部上場で橋梁工事の(株)サクラダが破産申請、今年は累計6件

◎原因別:赤字累積などの「既往のシワ寄せ」が5カ月連続で100件を上回る

◎従業員数別:50人以上300人未満が今年最多の23件

◎業種別件数:スーパーが2月と並び今年最多の9件

◎産業別件数:卸売業が前年同月同数の137件、年間では11月時点で4年ぶり前年を上回る

◎中小企業倒産(中小企業基本法に基づく)が963件

当月の主な倒産


ワシ興産(株)/福井/軽合金鍛造、不動産賃貸・売買/404億3,300万円/会社更生法

ワシマイヤー(株)/福井/自動車用アルミホイール製造販売/200億9,700万円/会社更生法

(株)総通/大阪/通信販売ほか/174億9,300万円/民事再生法

(株)プロセス・ラボ・ミクロン/埼玉/電子部品実装用メタルマスク製造/47億円/民事再生法

(株)サクラダ/千葉/橋梁工事/46億7,300万円/破産

 



禁・転載・複写

人気記事ランキング

  • TSRデータインサイト

建材販売業の倒産 コロナ禍の2倍のハイペース コスト増や在庫の高値掴みで小規模企業に集中

木材や鉄鋼製品などの建材販売業の倒産が、ジワリと増えてきた。2025年1-7月の倒産は93件で、前年同期(75件)から2割(24.0%)増加した。2年連続の増加で、コロナ禍の資金繰り支援策で倒産が抑制された2021-2023年同期に比べると約2倍のハイペースをたどっている。

2

  • TSRデータインサイト

「転勤」で従業員退職、大企業の38.0%が経験 柔軟な転勤制度の導入 全企業の約1割止まり

異動や出向などに伴う「転勤」を理由にした退職を、直近3年で企業の30.1%が経験していることがわかった。大企業では38.0%と異動範囲が全国に及ぶほど高くなっている。

3

  • TSRデータインサイト

女性初の地銀頭取、高知銀行・河合祐子頭取インタビュー ~「外国人材の活用」、「海外販路開拓支援」でアジア諸国との連携を強化~

ことし6月、高知銀行(本店・高知市)の新しい頭取に河合祐子氏が就任した。全国の地方銀行で女性の頭取就任は初めてで、大きな話題となった。 異色のキャリアを経て、高知銀行頭取に就任した河合頭取にインタビューした。

4

  • TSRデータインサイト

ダイヤモンドグループ、複数先への債務不履行~蔑ろにされた「地域イベントの想い」 ~

ライブやフェスティバルなどの企画やチケット販売を手掛けるダイヤモンドグループ(株)(TSRコード:298291827、東京都、以下ダイヤモンドG)の周辺が騒がしい。

5

  • TSRデータインサイト

2025年1-8月の「人手不足」倒産が237件 8月は“賃上げ疲れ“で、「人件費高騰」が2.7倍増

2025年8月の「人手不足」が一因の倒産は22件(前年同月比37.5%増)で、8月では初めて20件台に乗せた。1-8月累計は237件(前年同期比21.5%増)に達し、2024年(1-12月)の292件を上回り、年間で初めて300件台に乗せる勢いで推移している。

TOPへ