全国企業倒産状況

2012年(平成24年)8月度 全国企業倒産状況

倒産件数 967件
負債総額 2,166億3,400万円
前月比(件数) -5.7%(前月 1,026件)
前月比(負債) -70.0%(前月 7,241億円)
前年同月比(件数) -5.7%(前年同月 1,026件)
前年同月比(負債) -72.7%(前年同月 7,940億4,500万円)

(負債総額1,000万円以上の倒産を集計、%は小数点2位以下切捨)

件数が8月としては過去20年間で最少 地区別では東北が1年8カ月ぶりに増加


 2012年(平成24年)8月度の全国企業倒産件数(負債額1,000万円以上)は967件、負債総額が2,166億3,400万円となった。

 

 倒産件数は、前年同月比5.7%減。3カ月連続で前年同月を下回り、8月としては1993年以降の過去20年間で最少となった。地区別では全国9地区のうち5地区で前年同月を下回ったが、東北は2010年12月以来、1年8カ月ぶりに増加に転じた。倒産の減少が一巡し、宮城、秋田などで建設業倒産が件数を押し上げた。

 

 負債総額は、前年同月比72.7%減で大幅減となった。これは前年同月には、和牛オーナー制度運営の(株)安愚楽牧場(負債4,330億円)と、消費者金融業の(株)SFコーポレーション(同1,897億円)の大型倒産が2件発生したのに対して、当月は負債1億円未満の構成比が全体の70.2%(前年同月比0.3ポイント上昇)を占め、依然として小規模倒産が多かったことによる。

 

企業倒産月次推移


産業別


産業別倒産件数 卸売業と運輸業が5カ月連続で前年同月を上回る

 8月の産業別倒産件数は、10産業のうち6産業で前年同月を下回った。

 建設業は6カ月連続、不動産業が4カ月ぶりに前年同月を下回った。この一方で、卸売業と運輸業が5カ月連続、製造業は3カ月ぶりに前年同月を上回った。

 

 減少率は、農・林・漁・鉱業が50.0%減(12→6件)、小売業6.0%減(115→108件)、建設業4.7%減(293→279件)、不動産業4.0%減(25→24件)、サービス業他20.6%減(247→196件)の順。増加は、 卸売業16.5%増(115→134件)、運輸業9.0%増(33→36件)、製造業3.6%増(137→142件)だった。このほか、情報通信業が前年同月同数の42件、 金融・保険業がゼロ件(前年同月7件)だった。

 

 構成比では、建設業の28.8%を筆頭にして、サービス業他が20.2%、製造業が14.6%、卸売業が13.8%、小売業が11.1%と続く。


産業別分類 件数(件) 負債額(百万円)
農・林・漁・鉱業 6 37,334
建設業 279 36,281
製造業 142 33,734
卸売業 134 25,938
小売業 108 6,891
金融・保険業 0 0
不動産業 24 7,562
運輸業 36 2,796
情報通信業 42 6,526
サービス業他 196 59,572
合計 967 216,634


※業種分類のコード(日本標準産業分類に基づく)改訂に伴い、弊社データベースは2009年1月度より新業種分類に移行した。各数値は新業種コードに基づく。

主要産業倒産件数推移


地区別

地区別倒産件数 東北が1年8カ月ぶりに前年同月を上回る

 8月の地区別倒産件数では、9地区のうち4地区で前年同月を上回った。

 増加率は、中部29.2%増(99→128件)、北陸25.0%増(24→30件)、東北21.4%増(28→34件)、中国17.0%増(41→48件)の順。

 減少率は、四国41.9%減(31→18件)、関東13.1%減(402→349件)、近畿12.3%減(275→241件)、九州7.1%減(84→78件)、北海道2.3%減(42→41件)の5地区。

 

・北海道:件数が2カ月連続で前年同月を下回る。

・東北:全体の件数が、1年8カ月ぶりに前年同月を上回る。県別件数では、青森、宮城、秋田、山形で前年同月比増加。

・関東:全体の件数が、3カ月連続で前年同月を下回り今年最少。県別件数では、群馬、千葉、山梨で前年同月比増加。

・中部北陸:全体の件数が、中部は2カ月連続で前年同月比増加、北陸も2カ月連続で前年同月比増加。県別件数では、静岡、愛知、三重、石川、福井で前年同月比増加。

・近畿:全体の件数が、2か月ぶりに前年同月を下回り今年最少。県別件数では、京都、兵庫で前年同月比増加。

・中国:全体の件数が、2カ月連続で前年同月を上回る。県別件数では、島根、岡山、広島、山口で前年同月比増加。

・四国:全体の件数が、2カ月連続で前年同月を下回り今年最少。県別件数では、高知のみ前年同月比増加。

・九州:全体の件数が、3カ月連続で前年同月を下回る。県別件数では、大分、鹿児島で前年同月比増加。

 

都道府県 件数(件) 負債額(百万円)
北海道 41 5,052
東北 34 39,928
青森 6 37,514
岩手 1 45
宮城 7 742
秋田 8 949
山形 6 440
福島 6 238
関東 349 68,120
茨城 11 891
栃木 8 748
群馬 19 3,779
埼玉 36 4,870
千葉 33 1,782
東京 172 39,161
神奈川 58 15,341
新潟 8 1,308
山梨 4 240
中部 128 24,028
長野 6 2,113
岐阜 14 3,097
静岡 30 4,276
愛知 64 12,263
三重 14 2,279
北陸 30 27,329
富山 7 4,522
石川 15 22,287
福井 8 520
都道府県 件数(件) 負債額(百万円)
近畿 241 23,378
滋賀 8 265
京都 25 3,368
大阪 124 12,824
兵庫 61 4,140
奈良 14 572
和歌山 9 2,209
中国 48 6,231
鳥取 3 247
島根 6 515
岡山 10 1,200
広島 22 3,799
山口 7 470
四国 18 4,720
徳島 4 280
香川 2 238
愛媛 7 3,616
高知 5 586
九州 78 17,848
福岡 33 2,903
佐賀 4 447
長崎 5 2,832
熊本 8 438
大分 5 2,501
宮崎 7 6,510
鹿児島 11 1,812
沖縄 5 405
合計 967 216,634


※地区の範囲は以下に定義している。

関東(茨城、栃木、群馬、埼玉、千葉、東京、神奈川、新潟、山梨)

中部(長野、岐阜、静岡、愛知、三重)

北陸(富山、石川、福井)

近畿(滋賀、京都、大阪、兵庫、奈良、和歌山)


 

◎原因別:赤字累積などの「既往のシワ寄せ」が前年同月より4割増の113件

◎業種別件数:道路貨物運送業、宿泊業、スーパーで倒産増加

◎中小企業金融円滑化法に基づく貸付条件変更利用後の倒産が19件、「円高」関連倒産が2件

◎「東日本大震災」が影響した「震災関連」倒産が今年最少の30件

◎上場企業倒産:2カ月連続で1件発生(今年は8月末累計で5件)

◎第三セクター等の倒産が3件発生(今年は8月末累計で14件)

◎中小企業倒産(中小企業基本法に基づく):前年同月比5.8%減の964件

当月の主な倒産


(社)青い森農林振興公社/青森/分収造林事業/367億円/民事再生法

シコー(株)/神奈川/ファンモータ、振動モータ製造/85億900万円/民事再生法

(株)フーディーズ/東京/飲食店開業支援ほか/80億2800万円/破産

花巻管理(株)/東京/温泉旅館経営/56億3000万円/特別清算

五十嵐貿易(株)/神奈川/繊維製品輸入販売/31億8500万円/破産


禁・転載・複写

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