全国企業倒産状況

2011年(平成23年)上半期(1-6月) 全国企業倒産状況

倒産件数 6,523件
負債総額 1兆6,654億2,300万円
前年比(件数) -3.9%(前年同期 6,790件)
前年比(負債) -60.7%(前年同期 4兆2,381億3,500万円)

(負債総額1,000万円以上の倒産を集計、%は小数点2位以下切捨)

倒産件数が前年同期比3.9%減の6,523件 上半期の「震災関連」倒産が173件

 2011年(平成23年)上半期(1月-6月)の全国企業倒産件数(負債額1,000万円以上)は6,523件、負債総額が1兆6,654億2,300万円となった。

倒産件数は、前年同期比267件減(3.9%減)で、上半期としては2年連続で前年同期を 下回り、1992年以降のこの20年間では2005年(6,401件)に次いで2番目に少なかった。
この減少は、主に「景気対応緊急保証制度」(今年3月で取扱終了)や「中小企業金融円滑化法」などの政策効果が大きい。ただし四半期ベースでは、1月-3月が前年同期比7.3%減(3,467→3,211件)だったのに対して、4月-6月が同0.3%減(3,323→3,312件)と減少幅が小した。

負債総額は、前年同期比2兆5,727億1,200万円減(60.7%減)で、この20年間で最少金額となった。負債100億円以上の大型倒産が同41.6%減の14件(前年同期24件)と大幅に減少、さらに負債1億円未満が4,386件(構成比67.2%)を占めるなど小・零細規模の構成比が高まった。

企業倒産 上半期推移


産業別

産業別倒産件数、10産業のうち9産業で前年同期を下回る

  前年同期比減少率は、金融・保険業17.1%減(35→29件)、運輸業16.2%減(253→212件)、情報通信業14.6%減(301→257件)、製造業7.6%減(1,079→996件)、不動産業5.5%減(236→223件) 、建設業2.9%減(1,748→1,696件)、卸売業2.7%減(873→849件)、小売業0.8%減(786→779件)、サービス業他0.2%減(1,437→1,433件)の順。

これに対して増加は、農・林・漁・鉱業16.6%増(42→49件)だけだった。

上半期としては、建設業が17年ぶりに1,700件を下回る低水準、製造業も5年ぶりに1,000件を割り込み、小売業が4年連続で前年同期を下回った。

産業別分類 件数(件) 負債額(百万円)
農・林・漁・鉱業 49 40,908
建設業 1,696 216,895
製造業 996 436,687
卸売業 849 235,258
小売業 779 122,722
金融・保険業 29 77,010
不動産業 223 134,117
運輸業 212 29,901
情報通信業 257 49,088
サービス業他 1,433 322,837
合計 6,523 1,665,423

※業種分類のコード(日本標準産業分類に基づく)改訂に伴い、弊社データベースは2009年1月度より新業種分類に移行した。各数値は新業種コードに基づく。

主要産業倒産件数 上半期推移


地区別

地区別倒産件数 9地区のうち5地区で前年同期を上回る

 減少率は、中部19.4%増(765→914件)、北陸19.3%増(155→185件)、北海道11.7%増(222→248件)、中国6.1%増(229→243件)、九州1.6%増(419→426件)の順だった。
これに対して、減少は四国23.9%減(167→127件)、東北14.0%減(300→258件)、関東10.8%減(2,652→2,363件)、近畿6.4%減(1,881→1,759件)の順となった。

  • 北海道:件数が前年同期比11.7%増、上半期としては3年ぶりに前年同期を上回る。
  • 東北:件数が前年同期比14.0%減、上半期としては3年連続の減少。県別件数では、青森と秋田で前年同期を上回る。
  • 関東:件数が前年同期比10.8%減、上半期としては4年ぶりに2,500件を下回る。県別件数では、茨城のみ前年同期を上回る。
  • 中部北陸:中部の件数は前年同期比19.4%増、上半期としては2003年以来8年ぶりに900件を上回る。北陸は件数が同19.3%増。県別件数では、長野、岐阜、静岡、愛知、富山、福井で前年同期を上回る。
  • 近畿:件数が前年同期比6.4%減、上半期としては2年連続で2,000件を下回る。県別件数では、奈良、和歌山で前年同期を上回る。
  • 中国:件数が前年同期比6.1%増、上半期としては3年ぶりに前年同期を上回る。県別件数では、鳥取、岡山、広島で前年同期を上回る。
  • 四国:件数が前年同期比23.9%減、上半期としてはこの10年間で最少件数。県別件数では、徳島のみ前年同期を上回る。
  • 九州:件数が前年同期比1.6%増、上半期としては3年ぶりに前年同期を上回る。県別件数では、福岡、鹿児島、沖縄で前年同期を上回る。
地区別分類 件数(件) 負債額(百万円)
北海道 248 64,663
東北 258 76,171
青森 35 20,271
岩手 29 8,570
宮城 60 14,521
秋田 49 9,014
山形 24 2,708
福島 61 21,087
関東 2,363 528,601
茨城 101 20,782
栃木 58 24,386
群馬 86 48,219
埼玉 276 38,336
千葉 158 27,767
東京 1,298 305,403
神奈川 302 39,490
新潟 55 16,078
山梨 29 8,140
中部 914 211,661
長野 80 17,543
岐阜 105 20,505
静岡 161 72,549
愛知 517 93,507
三重 51 7,557
北陸 185 39,561
富山 58 10,287
石川 67 18,778
福井 60 10,496
近畿 1,759 247,204
滋賀 61 10,741
京都 207 24,826
大阪 1,025 141,709
兵庫 313 58,104
奈良 67 5,967
和歌山 86 5,857
中国 243 335,961
鳥取 18 11,330
島根 24 2,728
岡山 76 296,756
広島 97 15,580
山口 28 9,567
四国 127 28,291
徳島 22 3,794
香川 40 11,497
愛媛 41 9,524
高知 24 3,476
九州 426 133,310
福岡 186 71,961
佐賀 21 11,344
長崎 38 10,366
熊本 45 9,680
大分 31 4,868
宮崎 26 11,978
鹿児島 34 7,957
沖縄 45 5,156
合計 6,523 1,665,423
  • ※地区の範囲は以下に定義している。
    関東(茨城、栃木、群馬、埼玉、千葉、東京、神奈川、新潟、山梨)
    中部(長野、岐阜、静岡、愛知、三重)
    北陸(富山、石川、福井)
    近畿(滋賀、京都、大阪、兵庫、奈良、和歌山)
  • 原因別:販売不振を中心とする「不況型」倒産の構成比が上半期2番目に高率の82.2%
  • 形態別:法的倒産の構成比が上半期として過去最高の81.3%
  • 負債額別:10億円以上の大型倒産240件、上半期としてはこの20年間で最少件数
  • 従業員被害状況が4万1,825人、上半期としては5年ぶりの5万人割れ
  • 業種別件数:宿泊業、スーパー、飲食業など消費自粛が影響した業種で増加
  • 上場企業倒産が前年同期比2件減の2件
  • 中小企業の倒産(中小企業基本法に基づく):前年同期比3.6%減の6,499件

当期の主な倒産

  • (株)林原/岡山県/食品原料、医薬・試薬品製造/1,322億7,100万円/会社更生法
  • (株)林原生物化学研究所/岡山県/食品・医薬品・化粧品原料等研究開発、製造/636億6,500万円/会社更生法
  • 太陽殖産(株)/岡山県/不動産業ほか/417億5,800万円/会社更生法
  • (株)林原商事/岡山県/食品原料、医薬品原料等販売/368億6,700万円/会社更生法
  • (株)福岡センチユリーゴルフクラブ/福岡県/ゴルフ場経営/343億円/民事再生法

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