全国企業倒産状況

2010年(平成22年)上半期(1-6月) 全国企業倒産状況

倒産件数 6,790件
負債総額 4兆2,381億円3,500万円
前年比(件数) -16.8%(前年同期 8,169件)
前年比(負債) -9.5%(前年同期 4兆6,853億3,600万円)

(負債総額1,000万円以上の倒産を集計、%は小数点2位以下切捨)

倒産件数が前年同期比16.8%減の6,790件、負債額は上半期戦後9番目の規模

 2010(平成22)年上半期(1月~6月)の全国企業倒産件数(負債額1,000万円以上)は6,790件、負債総額が4兆2,381億3,500万円となった。

倒産件数は、前年同期比1,379件減(16.8%減)で上半期として5年ぶりに前年同期比減少となった。また2006年(6,629件)以来4年ぶりに7,000件を下回り、上半期では戦後27番目となった。

 また都道府県別では、42都道府県で前年同期を下回り全国的に倒産が減少した


負債総額は、前年同期比4,472億100万円減(9.5%減)ながら、上半期としては戦後9番目の規模となった。これは1月の(株)日本航空と関連2社の会社更生法申請が影響した。ただし全体としては、負債100億円以上の大型倒産が前年同期比65.7%減の24件(前年同期70件)と大幅に減少した。
上場企業倒産は、大手企業の景況感改善もあって前年同期比77.7%減の4件(前年同期18件)にとどまった。

企業倒産 上半期推移


産業別

倒産件数、10産業のうち8産業で前年同期比減少

 減少率は、金融・保険業35.1%減(54→35件)、不動産業31.7%減(346→236件) 、卸売業27.9%減(1,211→873件)、製造業25.7%減(1,454→1,079件)、運輸業17.5%減(307→253件)、建設業16.7%減(2,100→1,748件)、小売業8.3%減(858→786件)、サービス業他5.7%減(1,524→1,437件)の順。

これに対して増加は、農・林・漁・鉱業31.2%増(32→42件)と情報通信業6.3%増(283→301件)の2産業だった。

産業別分類 件数(件) 負債額(百万円)
農・林・漁・鉱業 42 13,911
建設業 1,748 278,825
製造業 1,079 276,914
卸売業 873 293,608
小売業 786 99,085
金融・保険業 35 54,712
不動産業 236 222,469
運輸業 253 1,564,159
情報通信業 301 257,756
サービス業他 1,437 1,176,696
合計 6,790 4,238,135

※業種分類のコード(日本標準産業分類に基づく)改訂に伴い、弊社データベースは2009年1月度より新業種分類に移行した。各数値は新業種コードに基づく。

主要産業倒産件数 上半期推移


地区別

倒産件数、9地区すべてで前年同期比減少

 減少率は、北海道32.9%減(331→222件)を筆頭にして、九州29.5%減(595→419件)、北陸29.5%減(220→155件)、中国29.5%減(325→229件)、四国25.4%減(224→167件)、東北23.8%減(394→300件)、近畿13.9%減(2,185→1,881件)、関東12.4%減(3,030→2,652件)、中部11.5%減(865→765件)の順だった。

また都道府県別倒産件数では、前年同期を下回ったのが42都道府県、増加が5県(宮城、栃木、愛知、島根、徳島)となった。

  • 北海道:件数が前年同期比32.9%減、上半期としては1990年以来20年ぶりに250件を下回る。
  • 東北:件数が前年同期比23.8%減、負債は同52.9%減。県別件数では、宮城のみ前年同期比増加。
  • 関東:件数が前年同期比12.4%減、これに対して負債は22.7%増。県別件数では、栃木のみ前年同期比増加。
  • 中部北陸:中部の件数は前年同期比11.5%減、北陸は件数が同29.5%減。県別件数では、愛知のみ前年同期比増加。
  • 近畿:件数が前年同期比13.9%減、負債は同41.7%減。全府県で前年同期比減少。
  • 中国:件数が前年同期比29.5%減、負債が同63.9%減。県別件数では、島根のみ前年同期比増加。
  • 四国:件数が前年同期比25.4%減、負債が同57.6%減。県別件数では、徳島のみ前年同期比増加。
  • 九州:件数が前年同期比29.5%減、1990年以来20年ぶりに500件を下回る。負債が同68.7%減。
地区別分類 件数(件) 負債額(百万円)
北海道 222 67,893
東北 300 61,873
青森 34 9,148
岩手 38 10,053
宮城 84 17,368
秋田 36 4,111
山形 42 4,028
福島 66 17,165
関東 2,652 3,380,730
茨城 95 16,275
栃木 91 28,570
群馬 90 29,338
埼玉 289 63,381
千葉 205 70,717
東京 1,430 3,054,649
神奈川 355 93,768
新潟 64 19,340
山梨 33 4,692
中部 765 147,408
長野 75 31,552
岐阜 90 25,466
静岡 153 27,381
愛知 378 53,579
三重 69 9,430
北陸 155 43,376
富山 49 10,228
石川 69 24,405
福井 37 8,743
近畿 1,881 368,632
滋賀 78 15,890
京都 258 20,092
大阪 1,042 233,064
兵庫 366 71,177
奈良 62 9,117
和歌山 75 19,292
中国 229 61,139
鳥取 16 5,330
島根 27 12,708
岡山 52 8,589
広島 86 25,004
山口 48 9,508
四国 167 35,308
徳島 32 6,752
香川 33 11,475
愛媛 74 13,038
高知 28 4,043
九州 419 71,776
福岡 173 30,832
佐賀 24 4,880
長崎 39 2,781
熊本 57 8,794
大分 34 4,926
宮崎 37 12,826
鹿児島 33 3,314
沖縄 22 3,423
合計 6,790 4,238,135
  • ※地区の範囲は以下に定義している。
    関東(茨城、栃木、群馬、埼玉、千葉、東京、神奈川、新潟、山梨)
    中部(長野、岐阜、静岡、愛知、三重)
    北陸(富山、石川、福井)
    近畿(滋賀、京都、大阪、兵庫、奈良、和歌山)
  • 原因別:「不況型」倒産構成比、上半期としては過去最高の82.9%
  • 形態別:法的倒産の構成比、上半期としては過去最高の78.1%
  • 上場企業倒産が(株)日本航空など4件(前年同期18件)にとどまった
  • 従業員被害者数が6万2,097人、上半期としては4年ぶりの減少
  • 負債10億円以上が284件、上半期としては20年ぶりに300件を下回る
  • 業種別倒産:情報関連サービス業が前年同期比6.5%増、飲食業が同6.3%増
  • 中小企業倒産(中小企業基本法に基づく)は、前年同期比16.9%減の6,747件

当期の主な倒産

  • (株)日本航空インターナショナル/東京都/旅客運送事業、貨物事業/1兆5,279億1,900万円/会社更生法
  • (株)日本航空/東京都/持株会社/6,715億7,800万円/会社更生法
  • (株)ウィルコム/東京都/PHSデータ通信業/2,060億円/会社更生法
  • (株)ジャルキャピタル/東京都/総合リース、金融業/1,226億8,400万円/会社更生法
  • (株)プロパスト/東京都/マンション分譲/554億4,700万円/民事再生法

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