こうして倒産した

2025年(令和7年)11月度こうして倒産した・・・
中央建設(株)
  • 東京
  • 総合建設業
負債総額
53億8100万円
 

 中央建設(株)(TSRコード:810031663、法人番号:5500001012377、港区芝2-1-30、設立1965(昭和40)年3月、資本金3800万円)は11月7日、東京地裁へ民事再生法の適用を申請し同日、監督命令を受けた。
 申請代理人は中村信雄弁護士(サン綜合法律事務所、港区愛宕2-5-1)ほか。
 監督委員には三枝知央弁護士(はぜのき法律事務所、中央区築地2-3-4)が選任された。
 負債総額は53億8100万円。

 1938年に愛媛県で創業した老舗企業。長らく愛媛県内を中心に公共事業の元請受注を主体に手掛けてきた。2008年8月に現代表への交代を契機に、積極的な受注開拓により官民工事を確保し、2011年に営業拠点を東京に移した。その後、関東・東北地区への民間元請工事、大手ゼネコンの下請工事の受注も積極的に開始し、総合建設業者に成長した。
 人材確保や全国展開を見据え、2018年7月に東京営業所を本社とし、旧本社地を四国支店としたほか、2021年8月には持株会社体制に移行。この間、建設業者や不動産会社などとの資本業務提携を進め、グループ規模を拡大した。
 2025年6月期は過去最高となる完工高97億9204万円を計上した一方で、業容拡大に伴う運転資金の増加などから資金繰りの悪化が指摘されていた。
 こうしたなか、2025年2月10日にAMGホールディングス(株)(東証スタンダード、TSRコード:400880326、法人番号:7180001049070、名古屋市中区)が当社を子会社化する基本合意書を締結したと発表。しかし、同年6月16日、AMGホールディングスが「株式取得の前提条件としていた経理部門の人材確保による中央建設のガバナンス強化への取り組みを、当初予定していた時期までに完了することが難しい」ことなどを理由に基本合意書を解除すると発表し、見送りとなっていた。
 動向に注目が集まるなか、ここにきて資金繰り悪化から支払手形の決済資金を用意できないことが明らかとなったため、今回の措置となった。

(株)エステーホーム
  • 東京
  • 戸建住宅施工ほか
負債総額
42億4800万円
 

 (株)エステーホーム(TSRコード:295669098、法人番号:3010001012098、中央区日本橋富沢町9-10、設立1990(平成2)年1月、資本金3750万円)は10月30日、東京地裁より特別清算開始決定を受けた。
 負債総額は42億4800万円。

 新築戸建住宅や注文住宅の施工、設計を中心に手掛けていた。自由設計や多様な工法、アフターサービスなどに強みを有し、主に首都圏を営業エリアとして展開。大手不動産関連会社などに受注先を確保し、ピークの2008年3月期は完工高81億2235万円をあげていた。
 しかし、リーマン・ショック後の市況低迷により完工高が減少。また、利幅は薄く内部留保は進んでいなかった。その後、年間完工高60億円台で推移していたが、借入金の負担も重荷となるなかで赤字計上などに伴い債務超過に転落していた。
 こうしたなか、2024年6月に一部事業を他社へ譲渡し、当社は残務整理を進め2025年7月31日に株主総会の決議により解散していた。

(株)シーズ
  • 茨城
  • スーパーマーケット経営
負債総額
40億9700万円
 

 (株)シーズ(TSRコード:280035748、法人番号:9050001001439、水戸市住吉町284-1、設立1959(昭和34)年6月、資本金5000万円)は10月24日、水戸地裁より特別清算開始決定を受けた。
 負債総額は40億9700万円。

 西部ストアー(株)の商号で設立され、1960年6月に水戸市で初となる本格的なスーパーマーケットを開店した。以降、茨城県央・県北地区を地盤とするスーパーマーケットチェーンとして展開。各店舗の大型化を図りながら、2002年2月には(株)カスミ(TSRコード:280002971、法人番号:8050001016297、つくば市)との資本・業務提携も果たし、事業を拡大してきた。
 しかし、大手スーパーの出店攻勢、同業間競争の激化で業績は伸び悩み、不採算店の閉鎖や既存店の業態転換を進めてきたものの、近年の年間売上高は100億円を下回り、採算面も低調に推移していた。
 こうしたなか、2025年6月にカスミの全額出資で(株)セイブ(TSRコード:042404860、法人番号:2050001056753、水戸市)が新たに設立され、事業を移管。同時期に当社は(株)セイブから現商号へ変更。9月3日、存続期間の満了により解散していた。

(株)Jericho
  • 兵庫
  • 中古自動車小売
負債総額
21億円
 

 (株)Jericho(TSRコード:380152720、法人番号:7140001121460、加古川市加古川町友沢398-1、設立2021(令和3)年5月、資本金100万円)は11月17日、神戸地裁姫路支部より破産開始決定を受けた。
 破産管財人には門脇史尚弁護士(弁護士法人藤田・川崎法律事務所、姫路市安田3-103-2)が選任された。
 負債総額は21億円。

 中古自動車の販売会社。スーパーカーやクラシックカーなど高級輸入中古車を主体に扱い、代表者の人脈を活かした独自の営業展開で実績を伸ばし、2025年4月期には売上高約35億円を計上していた。一方で採算面は厳しく、債務超過に陥り、余裕のない資金繰りが続いていた。
 新たな資金調達のめどが立たず、事業継続は困難と判断し2025年8月4日、事業を停止していた。

TM(株)(旧:(株)スポーツ館ミツハシ)
  • 京都
  • スポーツ用品販売
負債総額
15億円
 

 TM(株)(TSRコード:620078421、法人番号:4150001001078、京都市中京区両替町通三条上ル柿本町387-1、登記上:奈良市餅飯殿町30、設立1934(昭和9)年3月、資本金3000万円)は11月13日、奈良地裁より特別清算開始決定を受けた。
 負債総額は15億円。

 1911年、奈良市で文房具・運動具販売を目的に創業した老舗企業。当初は文房具や運動具の卸売、小売を手掛けていたが、1963年には法人向けの卸販売から撤退し、小売業に特化。陸上、サッカー、テニス用品のほか、ウィンタースポーツやマリンスポーツ用品なども取り揃える総合スポーツショップとして、一定の認知度を確立していた。
 一時期は京都市内を中心に滋賀県・大阪府・奈良県など近隣府県に15店舗を出店し、2003年6月期にはピークとなる売上高約67億5000万円を計上した。
 しかし、その後は少子高齢化の影響や同業他社やインターネット通販の台頭などを背景に、徐々に店舗数が減少したことで業容は縮小し、2019年6月期には売上高が34億709万円にまで縮小していた。
 「新型コロナウイルス」感染拡大以降は来店客数が大きく減少し、2022年6月期は売上高が約20億1800万円まで低下。徐々に業績が悪化するなか、金融機関からの支援も得て資本性ローンや新型コロナ関連融資も活用していたが、一部元本の返済猶予で凌いでいた。
 2022年6月期以降は、百貨店への出店などで巻き返しを図っていたが、債務返済のめどが立たないと判断。2023年10月、新たに設立した(株)スポーツ館ミツハシ(TSRコード:698511387、法人番号:7130001074742、京都市下京区)に全事業を移管。同時に当社は(株)スポーツ館ミツハシから現商号に変更した。2024年10月31日、株主総会の決議により解散していた。

(株)フーディアム・インターナショナル
  • 静岡
  • 飲食店経営
負債総額
14億8000万円
 

 (株)フーディアム・インターナショナル(TSRコード:440166446、法人番号:8080101001312、沼津市寿町23-1、設立1990(平成2)年9月、資本金5000万円)は11月6日、東京地裁より破産開始決定を受けた。
 破産管財人には黒河元次弁護士(東京丸の内法律事務所、東京都千代田区丸の内3-3-1)が選任された。
 負債総額は14億8000万円。

 静岡県内を中心に居酒屋「串特急」の直営店9店舗を展開するほか、FC事業も手掛け、地元では相応の知名度を有していた。また、沼津港深海水族館近くでハンバーガーショップ「沼津バーガー」を経営していた。「沼津バーガー」は、深海魚を使ったバーガーメニューが人気で、アニメ「ラブライブ!サンシャイン!!」の舞台としても知られていた。
 2020年3月期は売上高約13億円をあげていたが、「新型コロナウイルス」の影響で休業や時短営業を強いられた。雇用調整助成金などを活用し営業を継続していたが、2022年3月期は売上高約3億4300万円にとどまった。不採算店舗の撤退なども進めていたが回復が遅れ、今回の措置となった。

クリエイトファーマ(株)
  • 東京
  • 医薬品原料販売
負債総額
13億円
 

 クリエイトファーマ(株)(TSRコード:295335211、法人番号:9010001076105千代田区鍛冶町1-10-8、設立2001(平成13)年10月、資本金3500万円)は10月29日、東京地裁より破産開始決定を受けた。
 破産管財人には望月克也弁護士(京橋法律事務所、中央区銀座1-16-7)が選任された。
 負債総額は約13億円。

 医薬品原料などの卸売を手掛けていた。中国や韓国からの仕入にも対応し、マスクや消毒液の販売なども展開。ピーク時の2016年6月期には売上高約27億6000万円をあげた。しかし、2022年にはトリアゾラム(睡眠導入剤)の製造時に使う韓国製の原薬を埼玉県の製造会社の製品と偽り、国内の製薬会社に販売した疑いで、元副社長が逮捕されるなど経営が混乱。さらに主力顧客の移管なども重なり、売上高は大幅に減少。直近の年間売上高は約5000万円にとどまっていた。資金不足が深刻化するなか、今回の措置となった。

戦後歴代の大型倒産

日本の戦後歴代の大型倒産を
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