(株)キッチンファクトリー(TSR企業コード:822024527、松山市本町6-4-6、設立平成18年4月、資本金1億円、宇都宮貞史社長)は9月2日、松山地裁から破産開始決定を受けた。破産管財人には越智顕洋弁護士(一番町法律事務所、同市一番町2-5-20、電話089-961-1447)が選任された。負債総額は約50億円(延滞損害金含む)。
平成18年6月、松山市内でレストラン「MERCER」(後に閉店)をオープンして以降、同市内にレストランを順次オープンした。また、20年1月にはエステティックサロン経営にも乗り出すなど多角経営を進めた。ピークとなる22年3月期には、飲食店8店舗、エステティックサロン2店舗を運営し、売上高は19億2857万円を計上した。
しかし、その後は長引く景況低迷や競合激化から客数が減少し、相次ぐ店舗開設への投資負担に加え事業外への資金流出もあって、借入金の返済が滞り、家賃滞納等が恒常化するなど資金繰りは多忙化していた。このため不採算店の閉鎖や他社への店舗譲渡等で再建を図っていたが、多額の金融債務が重荷となっていた。また、26年5月以降、トラブルが発生し事業継続が困難となり7月1日、(株)ハッピーダイニングから現商号に変更し、今回の措置になった。
加藤組土建(株)(TSR企業コード:060005840、函館市千歳町3-2、設立昭和28年3月、資本金1億円、加藤健太郎社長、従業員44名)は9月30日、函館地裁へ破産を申請した。
破産管財人には山﨑英二弁護士(山﨑総合法律事務所、同市時任町2-8、電話0138-51-1100)が選任された。負債総額は41億2100万円(平成26年3月期決算時点)。
大正2年1月創業の土木・建築工事業者。創業当初は北海道黒松内町で主に山林の管理を手掛け、昭和25年に函館市に本社を移転し、土木建築工事業に本格的に進出した。旧国鉄の防雪柵の設置工事を主力とし、トンネルなどの土木工事も請け負うようになった。
ピークとなる平成4年3月期には完工高96億9854万円をあげたが、その後は、公共工事の減少に伴い完工高は大幅に後退し、24年3月期には21億5583万円に落ち込んだ。減収が進む一方で、金融機関からの借入金への依存度も高まり、金融機関から債務免除や利息の軽減、中小企業金融円滑化法による返済猶予を受けることで資金繰りを維持した。
しかし26年4月以降、不適切な取引が判明したため、取引先を集め事業継続のため協力を要請したが信用回復には至らなかった。9月に入りスポンサー企業を見つけ再建への道を模索していたが不調に終わり、先行きの見通しが立たず今回の措置となった。
江越(株)(TSR企業コード:570069572、東大阪市長田中3-4-31、設立昭和24年10月、資本金4623万円、清水浩社長、従業員41名)は9月4日、大阪地裁へ破産を申請した。
破産管財人には豊浦伸隆弁護士(協和綜合法律事務所、大阪市北区角田町8-1、電話06-6311-8800)が選任された。負債総額は債権者420名に対して32億3800万円。
昭和20年創業の紙卸業者。創業当初は襖や壁紙などの建築資材を主体としていたが、その後、家庭紙を中心に一般洋紙も扱うようになった。スーパーやホームセンターのほか、印刷業者など約400社を顧客として、ピーク時の平成16年4月期には売上高78億6582万円を計上した。しかし、ここ数年は洋紙類の受注不振もあり減収で推移し、26年4月期の売上高は約56億円にまで低下。以前より借入金に依存した資金運営が続いたことで金利負担も重く、余裕のない資金繰りが続いていた。
金融機関に返済猶予を要請するなどして立て直しを図っていたが、今期に入っても販売状況が改善しないなかで、先行き見通しも難しいことから今回の措置となった。
(医)財団エム・アイ・ユー(TSR企業コード:800001150、丸亀市津森町162-9、設立昭和53年8月、麻田ヒデミ理事長)は8月27日、東京地裁から破産開始決定を受けた。破産管財人には赤尾太郎弁護士(赤尾・花﨑法律事務所、港区北青山2-7-20、電話03-5414-1851)が選任された。負債総額は30億円。
昭和21年3月に麻田医院(内科)として開院し、58年3月に特定医療法人承認を受けた。「麻田総合病院」として、内科、呼吸器科、消化器科、外科、整形外科、脳神経外科、麻酔科、放射線科などを診療科目とし、平成10年3月期の売上高は約37億8000万円を計上した。しかし、労使間におけるトラブルや多額の設備投資負担が重くのしかかり低調な収益となっていた。13年3月に現理事長が就任し積極的にリストラを実施したことで、15年3月期以降の収益は改善され、黒字転換を果たした。
その後は、18年8月に通所介護施設、10月にレディース病棟を開設するなど相次いで設備投資を実施したため、多額の借入金を抱えることとなり再び窮屈な資金繰りとなった。
25年12月には診療報酬不正受給が発覚し、26年4月1日付で厚生労働省四国厚生支局より保険医療機関の指定が取り消されることとなった。このため、26年4月1日付で(医)社団重仁(TSR企業コード:590215019、富山市)へ麻田総合病院ほかの事業を譲渡し、以降は休眠状態となっていた。
(株)マデラ(TSR企業コード:292567790、武蔵野市境2-14-1、設立平成3年2月、資本金1億円、足立雅一社長)は9月18日、東京地裁に民事再生法の適用を申請した。申請代理人は佐藤公亮弁護士(フェアネス法律事務所、千代田区霞ヶ関1-4-1、電話03-3500-5330)ほか3名。監督委員には北原潤一弁護士(阿部・井窪・片山法律事務所、中央区八重洲2-8-7、電話03-3273-2600)が選任された。負債総額は29億500万円。
昭和6年に建材卸を目的に創業し、当社は平成3年に関連会社の事業を引き継ぐかたちで設立された。住宅設備機器や木質建材、合板等を扱い、建材卸販売会社や大手ハウスメーカーやパワービルダー向けに販売、ピークとなる平成6年4月期には売上高83億1783万円をあげていた。
しかし以降は、建築市況悪化による建材需要の縮小などから受注は減少し、収益も低調に推移した。25年4月期には主力先からの受注落ち込みも重なり、売上高は31億3408万円に落ち込んでいた。26年4月期は消費税増税前の駆け込み需要が発生し、住宅着工件数が増加したことなどから売上高は33億9987万円と増収になっていたが、27年4月期に入り反動減で需要が冷え込み、受注低迷とともに資金繰りが悪化し、今回の措置となった。
関連サービス
人気記事ランキング
債権譲渡・動産譲渡登記の設定は「危ない会社」か?
東京商工リサーチ(TSR)には、「取引先に債権譲渡(または動産譲渡)登記が設定された。どう判断すればいいか」という問合せが増えている。債権譲渡・動産譲渡が設定された企業の業績はどう変わったか。国内最大級のTSRデータベースを活用して分析、検証した。
2
代表者が高齢の企業ほど財務内容が悪化 黒字企業率は40代78.7%、70代72.7%
代表者が高齢になるほど業績は悪化する傾向が強いことがわかった。黒字企業率は40歳未満が78.2%、40歳代は78.7%に対し、70歳代は72.7%、80歳以上は68.8%と下がってくる。代表者が高齢になるほど業績が伸び悩む傾向が表れ、早期の事業承継への取り組みが重要になる。
3
企業のカスハラ対策に遅れ、未対策が7割超 「カスハラ被害」で従業員の「休職・退職」 13.5%の企業で発生
近年、不当な要求など迷惑行為のカスタマーハラスメント(カスハラ)が社会問題化している。東京商工リサーチが8月上旬に実施した企業向けアンケート調査で、「カスハラ」を受けたことがある企業が約2割(19.1%)あることがわかった。「宿泊業」、「飲食店」が上位に並んだ。
4
「想定為替レート」 平均は1ドル=143.5円 3期連続で最安値を更新
株式上場する主要メーカー109社の2024年度決算(2025年3月期)の期首の対ドル想定為替レートは、1ドル=145円が54社(構成比49.5%)と約半数にのぼることがわかった。 平均値は1ドル=143.5円で、前期から14.5円の円安設定だった。期首レートでは2023年3月期決算から3期連続で最安値を更新した。
5
もしトランプ氏就任なら、業績予想は「マイナス」? 米国大統領選は、「為替」と「地政学リスク」に注目
2024年11月、米国大統領選挙が行われる。 東京商工リサーチは2024年8月、もしトランプ氏が米国大統領になったらどのような影響があるか企業向けアンケート調査を実施した。