木村産業(株)(大阪市北区中津1-18-9、設立昭和55年5月、資本金2000万円、木村昌二代表清算人)は、10月28日大阪地裁から特別清算手続開始決定を受けた。負債は350億円。
同社は、昭和46年11月木村工務店として創業。同55年5月に法人化後、不動産賃貸業に進出。同年11月に北ロイヤルビル(1号ビル)を建設したのをはじめとして、時流に乗った事業展開によりバブル期に積極的な事業拡大を進め、平成2年4月には第80号ビルを取得、同年5月期には年商113億5187万円を計上するまでになっていた。
しかし、バブル崩壊により事業環境は急速に悪化、保有物件の売却等により平成7年5月期の年商は53億3937万円にまで低下。以降、パチンコ店を出店し事業を再拡大、同9年5月期には年商136億1713万円にまで回復していた。ただ、その後パチンコ店は他社に移管し業容は縮小、その一方で保有不動産の処分などを進め有利子負債の圧縮を図っていた。
この間、平成10年11月には、住宅金融債権管理機構(現:整理回収機構)の債権回収を逃れるために資産隠しを行ったとして、役員ほか5名が大阪府警に逮捕。同12年3月には強制執行妨害で代表者も逮捕されるなど曲折を経たほか、近年ではいわゆる「追い出し屋」(家賃を滞納した借主に対して、鍵を付け替えて強引に退去を迫る行為)訴訟で同21年5月に大阪簡裁から賠償命令も受けていた。近時、取り巻く環境は改善せず、9月6日開催の株主総会で解散を決議し法的手続を進めることになった。
(株)森脇工務店(守口市竜田通1-4-11、設立昭和50年5月、資本金2000万円、森脇泰光清算人)は、9月30日大阪地裁へ破産を申請し、11月12日破産手続開始決定を受けた。破産管財人は堀井昭暢弁護士(大阪国際綜合法律事務所、大阪市西区靭本町1-6-10本町西井ビル5階、電話06-6446-1123)。負債総額は74億円。
同社は、戸建分譲業者として大阪府下で事業を展開、ピークとなる平成9年4月期には年商18億7333万円を計上していた。ところが、バブル期に購入した土地の開発に伴い多額の負債を抱え、金利負担の増加から赤字計上も続き債務超過に陥っていた。その後、年商は7億円台で推移していたものの、債務返済が困難となるなか、同17年11月30日には株主総会の決議により解散していた。
TLC(株)(港区赤坂5-2-39、設立平成19年8月、資本金1万円、宮本敏之社長)は、10月27日東京地裁に破産を申請した。破産管財人は楯香津美弁護士(ホープ法律事務所、千代田区平河町1-9-3TLC株式会社破産管財人室、電話03-3263-2461)。負債総額は63億7200万円。
同社は、(株)エーエスエーKK17として設立、平成19年11月TLC(株)に商号変更し、同20年1月9日中堅消費者金融の(株)レタスカード(京都市中京区、同年12月26日破産手続開始決定)からカードローン債権約4500件を譲り受け、同年2月大手債権回収会社にローン債権の回収を委託していた。
しかし、レタスカードを巡ってはその後、元財務担当役員が架空債権をもとに36億円の融資を騙し取ったとする有罪判決が言い渡され、債権の大半が架空であったことが判明。過払い金の返還請求が相次ぎ、資金繰りが悪化して破産した背景があった。この債権を譲り受けたTLCも、債務者に「不当利得(過払い金)返還請求をご検討の皆様へ」とする書類を送付し、レタスカードから移管された債務者の相当数が、利息制限法による引き直し計算後に残債が残っていない過払いの債務者となっている恐れがあるとし、債権者との間に混乱があり債権回収がうまくいっていなかった。
エーアイエス(株)(青森県上北郡六ヶ所村尾駮弥栄平115-4、設立平成12年9月、資本金2億5665万円、花田俊郎社長、従業員209名)は、11月29日青森地裁に破産を申請した。申請代理人は綾克己弁護士ほか3名(ときわ法律事務所、東京都千代田区内幸町1-2-2 日比谷ダイビル12階、電話03-3596-0260)。負債総額は債権者130名に対し57億7300万円。
同社は、平成12年9月25日大手パネルメーカー6社の出資により設立。青森県が進める産業拠点「クリスタルバレイ」構想の一環として、県が貸し付けるオーダーメイド型モデル工場の第1号として同13年4月に工場を新設、携帯電話ディスプレイ用を主力に、デジカメ、特殊モニターなどのカラーフィルターの生産を開始し、同16年9月には環境マネジメントシステムの国際規格ISO14001を認証取得した。設立当初は設備投資負担から赤字を強いられ、累積赤字が拡大したものの、量産体制が整った同16年3月期には114億1,176億円の売上で16億2,629万円の期間利益を計上、同17年3月期は125億6999万円と更に増収、期間利益16億4,215万円を確保、同18年3月期には累積赤字を解消するなど積極的な営業を展開した。
しかし、世界同時不況の煽りを受けて平成20年11月以降の受注が大幅に悪化、生産ラインの一部停止やワークシェアリングなどで採算ライン確保に努めていたが、同21年3月期は51億9,898万円までダウン、8億7,108万円の赤字を計上した。同22年3月期は32億2404万円と更なる減収を強いられ、期間損失は13億9,839万円まで拡大した。財務内容が悪化するなか、取引金融機関への約定条件変更などで凌いできたが、限界に達し今回の事態に至った。
松飛台(株)(旧商号:セノー(株)、松戸市松飛台250、登記上:東京都品川区南品川2-2-13、設立昭和21年1月、資本金1億5600万円、田中健一代表清算人)は、11月17日東京地裁から特別清算手続開始決定を受けた。負債総額は48億円。
同社は、明治41年4月に体育製品の製造販売業者として創業、昭和39年東京オリンピックにて同社の製品が国際認定を得たことを機に成長を遂げた。平成2年頃から新事業としてトレーニング関連機器の製造販売事業へ進出し、年商も100億円を大きく上回っていたが、同時期に進出した建装事業で多額の損失が発生していた。
その後、国内経済成長の鈍化と少子化の進展により主力事業も苦戦、売上が減少する一方、コスト構造を改善できずに収益状況が悪化。平成21年9月末時点で実態債務超過額は65億円に上っていた。
こうした状況の中、昨今の景気低迷により更に収益環境が悪化し、借入に依存した財務体質もあって不安定な資金繰りに陥っていた。
事態を打開するため主力金融機関と協議の上、平成22年3月26日に(株)企業再生支援機構の支援が決定し、事業価値の毀損を最少減に抑えつつ、透明かつ公正な手続きにより抜本的な事業再構築に取り組んでいた。同年6月には、企業再生支援機構から買取決定および出資決定を受け、各金融機関との間で金融債務の調整に関する協議が行われ、金融債務の減免などを受けるとともに、事業再生計画に従って事業を展開していた。
9月27日には中小企業承継事業再生計画に関する認定(産活法)を受け、同日資産と負債の一部と事業の全部を4月16日に新設していた新セノー準備(株)(現:セノー(株))に分割承継した。また、9月27日に同社はセノー(株)から松飛台(株)に商号変更し、今回の措置をとった。なお、現在の新会社であるセノー(株)は事業再生計画に沿って営業中である。
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