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2025年度上半期 不動産売却の上場企業は28社 建設コストや金利の上昇で小康状態が続く

~ 2025年度上半期「上場企業 不動産売却」調査 ~


 東京証券取引所に株式上場する3,783社(2025年9月末時点)のうち、2025年度上半期(4-9月)に国内不動産の売却契約を締結したのは28社(前年同期比12.5%減)で、前年同期の32社から4社減少した。地価上昇などを背景に、譲渡損益の総額は998億8,000万円と前年同期の389億8,400万円(同156.2%増) の2.5倍と大幅に増加。損益を開示した25社のうち、24社が譲渡益を計上した。

 2025年度上半期(4-9月)に国内不動産を売却した上場28社のうち、業種別では小売業が5社で4年連続で最多だった。直近の本決算で最終赤字だった企業は5社(構成比17.8%)だった。
 上場企業では、経営資源の効率的活用や財務体質の強化のためのアセットライト化などを理由に不動産売却を実施している。一方、拠点新設のため土地を取得したが、想定を上回る建設コスト上昇で計画を取りやめ、土地を売却する動きも複数見られた。
 主な売却事例は、シャープ(プライム)がKDDIと協議を続けてきた旧堺工場の土地・建物の一部の売却を決定し、2026年3月期に約95億円の譲渡益を計上した。また、サクサ(スタンダード)は、資本効率の向上を図るため、5月に三菱地所と相模原市の土地5万3,720平方メートルの売買契約を締結し、2027年3月期に譲渡益230億円を計上する予定を公表した。
 コロナ禍以降、働き方改革に伴う業務スペースの見直しなどで不動産売却は2022年に114社とピークに達し、その後は減少をたどっている。財務リストラの進展や建設コスト、金利などの上昇で投資判断のハードルが上がっており、企業の不動産売却はしばらく鈍化する可能性がある。

※本調査は、東証プライム、スタンダード、グロース上場企業(不動産投資法人等を除く)を対象に、2025年度上半期(4-9月)に国内不動産(固定資産)の売却を開示した企業を集計、分析した(契約日基準、各譲渡価額・譲渡損益は見込み額を含む)。
※東証の上場企業に固定資産売却の適時開示が義務付けられているのは、原則として譲渡する固定資産の帳簿価額が純資産額の30%に相当する額以上、または譲渡による損益見込み額が経常利益、または当期純利益の30%に相当する額以上のいずれかに該当する場合とされている。
※東証の市場再編により集計基準を変更したため、2021年度以前(東証1部・2部企業を対象)のデータはすべて参考値。


譲渡損益を公表した企業の9割超が譲渡益計上

 不動産の売却を公表した上場企業28社のうち、譲渡損益の公表は25社(前年同期30社)だった。このうち、譲渡益計上は24社(同27社)で、総額1,000億3,900万円(同461億4,500万円)と前年同期から大幅に増加した。譲渡益100億円以上を計上したのは5社(同1社)。譲渡益の最大はサクサで相模原市の土地売却で約230億円を計上する予定。
 譲渡損の公表は1社(同3社)だった。ダイドーリミテッド(スタンダード)の中核子会社であるダイドーフォワードが本郷TKビル(東京都文京区)の売却で1億5,900万円の譲渡損を計上する。
 1社あたりの平均譲渡益は39億9,500万円(同17億900万円)で、小口取引が中心だった前年同期の2.3倍に増加した。

年度別 上場企業 不動産売却企業数の推移

【公表売却土地総面積】公表23社の合計は48万4,862平方メートル

 2025年度上半期の売却面積の公表は23社で、総面積は48万4,862平方メートル(前年同期25社、59万2,748平方メートル)だった。合計1万平方メートル以上を売却した企業は、9社(同10社)で1社減少した。
 売却した土地面積トップは、アクサスホールディングス(スタンダード)の12万6,039平方メートル。アクティビティ施設開発や酒類事業への寄与を期待して保有してきた香川県小豆郡など2物件の譲渡を決定し、譲渡益8億200万円を計上する見込み。
 2位はダントーホールディングス(スタンダード)の8万4,702平方メートルで、栃木県宇都宮市の賃貸用不動産を売却した。3位はリケンテクノス(プライム)の5万7,000平方メートル。

【譲渡価額総額】譲渡価額10億円以上は8社

 譲渡価額を公表したのは14社(前年同期11社)で、総額629億100万円(同250億6,400万円)。
 最高は、月島ホールディングス(プライム)の223億円。総資産回転率の向上のため、千葉県市川市の物流施設(信託受益権)を三井不動産へ売却した。2位は、シャープ(プライム)の112億円で、財務改善を図り、ブランド事業を中心とした事業構造を確立するための譲渡としている。
 3位は、ニプロ(プライム)の100億円で、経営資源の有効活用による資産の効率化と財務体質の強化を図るため。譲渡価額10億円以上は8社(前年同期7社)だった。

【業種別】小売業が最多の5社

 業種別では、最多がアクサスホールディングスなど小売業の5社。経営資源の有効活用や財務体質の強化、キャピタルゲインを含めた譲渡価額が将来キャッシュ・フローを上回ることなどを目的に不動産を売却している。5社のうち、最新期の最終利益が赤字の企業は1社だった。
 2位は、電気機器、化学、機械、不動産業が各3社で並ぶ。経営資源の有効活用やアセットライト化などを理由にあげている。

左:不動産売却企業 譲渡差益合計推移 右:業種別 売却社数・売却土地面積(社数降順)



 国土交通省によると、2025年の都道府県地価調査(全国平均)は、全用途平均と商業地ともに4年連続で上昇、上昇幅も拡大した。地価上昇を背景に、譲渡損を計上した上場企業は1社のみで、構成比は4.0%と前年同期(10.0%)から低下した。
 地区別の譲渡物件(件数ベース)は、東京都の12件を含む関東が23件(構成比58.9%)、近畿が8件(同20.5%)と続き、不動産価格の高止まりが続く都市圏が中心だった。
 2025年度上半期の上場企業の不動産売却は28社(前年同期32社)に減少したが、業績の回復で赤字補填のための資産売却の動きが減った。また、H.U.グループホールディングスや日本色材工業研究所は、拠点新設のために取得した土地を建設コストの上昇などを理由に譲渡を発表した。
 物価高や金利上昇によるコストアップで、設備投資を諦め、二の足を踏む企業がじわりと増加している。この傾向が続く限り、上場企業の不動産売却は小康状態が続く可能性がある。

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