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M&Aが本格化、大企業の24.1%が「買収を検討」 仲介業者からのアプローチは、企業の8割超が経験

~ 2025年 企業の「M&A」に関するアンケート調査 ~


 M&A市場が活発になるなか、大企業の24.1%が他社の買収を検討していることがわかった。一方で、自社の売却を検討している中小企業も5.2%だった。経営者の高齢化、事業承継に加え、法令変更や技術開発などへの対応に要する時間とコストを考慮した買収も増えており、売り手と買い手のニーズが高まっている。
 だが、仲介業者を介したM&Aでトラブルも増えており、M&A業界で健全性を担保したルール確立が急務になっている。

 TSRは10月1~8日、企業を対象にインターネットで「M&A」アンケート調査を実施した。
 他社の買収を検討している企業は14.4%だった。規模別では、大企業24.1%、中小企業13.7%で、大企業が中小企業を10.4ポイント上回った。他社や事業部門の買収を検討している産業別は、運輸業が21.5%で最も多く、次いで、建設業21.2%、卸売業20.5%の順で、人手不足や2024年問題、後継者問題が影響しているようだ。
 一方、自社売却を検討している企業は4.8%だった。規模別では、大企業が0.2%、中小企業が5.2%だった。自社や事業部門の売却を検討している理由では、「経営や事業部門の後継者がいない」が63.7%で最も多く、深刻な人手不足が事業継続に大きな警鐘を鳴らしている。
 また、これまでにM&A仲介業者から何らかのアプローチを受けたことのある企業は82.6%と8割を超えた。規模別では大企業77.7%、中小企業83.0%で、中小企業が5.3ポイント上回った。

 中小企業庁は、M&Aのトラブル防止と市場の活性化を促すため、2026年度にもM&Aのアドバイザー資格制度を創設する予定だ。M&Aでは、売り手と買い手の持つ情報量の非対称性もトラブルの原因のひとつになっているほか、利益相反も指摘されている。
 M&Aは、事業基盤や従業員の雇用などが確保される場合、地域経済の活性化につながる。だが、M&A仲介業者のなかには、売り手と買い手の双方から手数料を受け取る利益相反問題、不透明な手数料、買収後の経営者保証の解除、資金流出への対応など、明示すべき課題も山積している。
 急激に拡大するマーケットに多くの業者が参入し、一部の「悪意ある買い手」が社会問題にもなっている。こうした業者の排除が、M&A市場の健全化と成長には不可欠だ。

※2025年10月1~8日、企業を対象にインターネットによるアンケート調査を実施し、有効回答6,347社を集計、分析した。
※資本金1億円以上を大企業、1億円未満(個人企業等を含む)を中小企業と定義。   


Q1.事業承継や事業規模の拡大でM&Aへの注目が高まっています。貴社は、M&Aを検討していますか?(単一回答)

◇大企業の24.1%が「買収を検討」、「売却を検討」は中小企業が圧倒的多数
 全企業では、「売却も買収も検討していない」が76.0%(5,498社中、4,180社)で最多だった。次いで、「他社の買収を検討」が14.4%(795社)、「自社の売却を検討」が4.8%(267社)と続く。
 「他社の買収を検討」は、大企業が24.1%(390社中、94社)に対し、中小企業は13.7%(5,108社中、701社)だった。なお、「自社の売却を検討」は大企業が1社のみで、266社が中小企業と圧倒的に多かった。

Q1.事業承継や事業規模の拡大でM&Aへの注目が高まっています。貴社は、M&Aを検討していますか?(単一回答)

産業別 「売却を検討」は農・林・漁・鉱業が最多、「買収を検討」は運輸業が最多

 Q1で「売却を検討」と回答した企業の産業別は、最多が「農・林・漁・鉱業」の10.4%(48社中、5社)だった。次いで、「金融・保険業」の9.0%(55社中、5社)、「情報通信業」の8.4%(333社中、28社)と続く。
 一方、「買収を検討」は、最多が「運輸業」の21.5%(232社中、50社)だった。次いで、「建設業」の21.2%(789社中、168社)、「卸売業」の20.5%(992社中、204社)と続く。

産業別 「売却を検討」は農・林・漁・鉱業が最多、「買収を検討」は運輸業が最多
 

Q2.「自社の売却を検討している」「自社の事業部門の売却を検討している」と回答された方に伺います。理由は何ですか?(複数回答)

 「自社の売却を検討している」「自社の事業部門の売却を検討している」と回答した全企業では、「経営や事業部門の後継者がいない」が63.7%(342社中、218社)で最多だった。
 次いで、「不採算が続いている」が23.3%(80社)、「株主、経営者の個人的な理由から」が20.4%(70社)、「事業環境が変化した」が20.1%(69社)、「『選択と集中』の一環として」が11.6%(40社)で続く。
 「その他」の回答では、「債務超過のため(金融・保険業)」や「取引先の意向(サービス業他)」などがあった。

Q2.「自社の売却を検討している」「自社の事業部門の売却を検討している」と回答された方に伺います。理由は何ですか?(複数回答)

Q3.貴社は過去にM&A仲介業者(支援業者)から電話やダイレクトメール、面談など何らかの形でアプローチを受けたことはありますか?(単一回答)

 アプローチを受けたことは、「ある」が82.6%(6,347社中、5,246社)、「ない」が17.3%(1,101社)だった。
 「ある」と回答した企業の規模別は、大企業が77.7%(453社中、352社)、中小企業が83.0%(5,894社中、4,894社)で、中小企業が5.3ポイント高かった。仲介業者は中小企業に「売却」での営業アプローチをかけている状況が透けてみえる。

Q3.貴社は過去にM&A仲介業者(支援業者)から電話やダイレクトメール、面談など何らかの形でアプローチを受けたことはありますか?(単一回答) 

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