• TSRデータインサイト

2025年度上半期「物価高」倒産 内需産業中心に369件 飲食店や運送業、建設業などを主体に3年連続増

2025年度上半期(4-9月)の 「物価高」倒産状況


 2025年度上半期(4-9月)の原材料高騰などに伴う「物価高」倒産は369件(前年同期比3.9%増)で、 3年連続で前年を上回った。2025年に入り増勢に転じ、2022年度以降の円安局面の月次では7月が2番目の77件(前年同月比10.0%増)、同9月が3番目の76件(同72.7%増)と急増した。
 負債総額は980億5,700万円(前年同期比7.6%減)で、年度上半期では3年ぶりに1,000億円を割り込んだ。
 円安で食品、エネルギーなど幅広い輸入材を中心に価格が上昇し、物価高が飲食店や道路貨物運送業、建設業など、内需産業への影響がより深刻となっている。

 「物価高」倒産の負債額別では、1億円以上が189件(前年同期比8.6%減)と減少する一方で、1億円未満が180件(同21.6%増)と小・零細企業が大幅に増加した。また、資本金別で、1千万円未満が218件(同14.1%増)と、約6割(構成比59.0%)を占めた。
 円安が長引き物価安定の好材料は乏しく、過剰債務を抱えて新たな資金調達が難しい中小企業も多い。物価高が小規模企業への影響を強める中、実情に合わせた支援策が求められる。

※本調査は、2025年度上半期(4-9月)の企業倒産(負債1,000万円以上)のうち、①仕入コストや資源・原材料の上昇、②価格上昇分を価格転嫁できなかった、等により倒産(法的・私的)した企業を集計、分析した。

「物価高」倒産月次推移

人気記事ランキング

  • TSRデータインサイト

「社長の出身大学」 日本大学が15年連続トップ 40歳未満の若手社長は、慶応義塾大学がトップ

2025年の社長の出身大学は、日本大学が1万9,587人で、15年連続トップを守った。しかし、2年連続で2万人を下回り、勢いに陰りが見え始めた。2位は慶応義塾大学、3位は早稲田大学と続き、上位15校まで前年と順位の変動はなかった。

2

  • TSRデータインサイト

内装工事業の倒産増加 ~ 小口の元請、規制強化で伸びる工期 ~

内装工事業の倒産が増加している。業界動向を東京商工リサーチの企業データ分析すると、コロナ禍で落ち込んだ業績(売上高、最終利益)は復調している。だが、好調な受注とは裏腹に、小・零細規模を中心に倒産が増加。今年は2013年以来の水準になる見込みだ。

3

  • TSRデータインサイト

文房具メーカー業績好調、止まらない進化と海外ファン増加 ~ デジタル時代でも高品質の文房具に熱視線 ~

東京商工リサーチ(TSR)の企業データベースによると、文房具メーカー150社の2024年度 の売上高は6,858億2,300万円、最終利益は640億7,000万円と増収増益だった。18年度以降で、売上高、利益とも最高を更新した。

4

  • TSRデータインサイト

ゴルフ練習場の倒産が過去最多 ~ 「屋外打ちっぱなし」と「インドア」の熾烈な競争 ~

東京商工リサーチは屋外、インドア含めたゴルフ練習場を主に運営する企業の倒産(負債1,000万円以上)を集計した。コロナ禍の2021年は1件、2022年はゼロで、2023年は1件、2024年は2件と落ち着いていた。 ところが、2025年に入り増勢に転じ、10月までの累計ですでに6件発生している。

5

  • TSRデータインサイト

解体工事業の倒産が最多ペース ~ 「人手と廃材処理先が足りない」、現場は疲弊~

各地で再開発が活発だが、解体工事を支える解体業者に深刻な問題が降りかかっている。 2025年1-10月の解体工事業の倒産は、同期間では過去20年間で最多の53件(前年同期比20.4%増)に達した。このペースで推移すると、20年間で年間最多だった2024年の59件を抜いて、過去最多を更新する勢いだ。

TOPへ