• TSRデータインサイト

銀行「総資金利ざや」、前年と同水準の0.18% 預金金利引き上げが先行、「逆ざや」は10行に

2025年3月期 国内銀行104行「総資金利ざや」調査


 2025年3月期の国内104銀行の貸出や運用による利息などの収益を示す「総資金利ざや(中央値)」は、前年と同水準の0.18%で堅調に推移した。
 「資金運用利回り(中央値)」は0.93%(前年0.85%)に上昇したが、「資金調達原価率(中央値)」が0.76%(同0.69%)に上昇し、コスト増との微妙な綱渡りが続いている。
 2024年3月、日本銀行がマイナス金利を解除し、銀行は貸出金利の引き上げに動いている。しかし、同時に預金金利も上昇しており、総資金利ざやの好転までには至らなかった。

 「総資金利ざや」は、資金運用利回りと資金調達原価率の差を示す。2025年3月期に資金運用利回りが資金調達原価率を下回った「逆ざや」は、10行(前年7行)と3行増えた。

 3月期の「資金運用利回り」は2021年から1.00%を下回り、0.8%台で推移していた。だが、2025年3月期は0.93%と2年ぶりに上昇し、比較可能な102行(青森みちのく銀行、あいち銀行を除く)のうち、92行(構成比90.1%、前年62行)で好転した。
 一方、「資金調達原価率(中央値)」は2年連続で上昇した。前年を下回ったのは4行(前年25行)で、預金金利の引き上げによる調達コストの上昇が先行した形になっている。

※ 本調査は国内104銀行の2025年3月期決算で、「総資金利ざや」(国内業務部門)を調査、分析した。
※ 「総資金利ざや」は、「資金運用利回り」-「資金調達原価率」で算出され、収益を示す一つの指標。貸出金や有価証券の利息などを指す「資金運用利回り」が、人件費や資金調達に要したコストの「資金調達原価率」を下回ると、貸出や運用で利益が出ていない「逆ざや」となる。
※ 銀行業態は、1.埼玉りそなを含む大手行7行、2.地方銀行は全国地銀協加盟行、3.第二地銀は第二地銀協加盟行。

3月期 総資金利ざや「逆ざや」行数


「総資金利ざや」の中央値は前年と同水準の0.18%

 国内104銀行の2025年3月期の「総資金利ざや(中央値)」は、前年と同水準の0.18%だった。最近では、2023年の0.19%に次ぐ水準で、長期低迷に歯止めをかけた。
 合併した青森みちのく銀行、あいち銀行の2行を除く102行では、資金運用利回りが前年を上回ったのは92行(前年62行)で、9割(構成比90.1%)の銀行で好転した。日本銀行のマイナス金利解除で、貸出金利の上昇が一因とみられる。
 ただ、「資金調達原価率(中央値)」も0.76%で、前年の0.69%から0.07ポイント上昇した。102行のうち、97行(構成比95.0%、前年68行)で資金調達原価率が上昇するなど、マイナス金利解除の余波で、預金金利の上昇が資金調達原価率を押し上げた。

3月期 資金運用利回り・総資金利ざや 中央値推移




 2024年3月の日本銀行のマイナス金利解除で、銀行の貸出金利は上昇している。日銀がまとめた利率別貸出金残高では、2024年3月の貸出金利0.5%未満が33.1%、0.5%以上1.0%未満は38.1%だったが、2025年7月には同0.5%未満が9.6%、同0.5%以上1.0%未満は34.6%まで縮小し、1.0%未満の低金利は半数を下回った。
 ただ、マイナス金利解除や政策金利引き上げを見越し、多くの銀行が預金金利の引き上げに動き出した。
 貸出金利と預金金利の上昇バランスが整わず、2025年3月期「総資金利ざや」は前年と同水準にとどまった。だが、政策金利の引き上げが予想される時期にきており、「総資金利ざや」は底打ちして好転の兆しも見えてきた。

人気記事ランキング

  • TSRデータインサイト

破産の秀和グループ、9億円の債務超過

6月17日に東京地裁から破産開始決定を受けた(株)秀和グループ(TSRコード:027747050、江東区)の財務内容が一部判明した。

2

  • TSRデータインサイト

止まらない建設業の倒産、職別工事が総合工事を抜く ~ 施工力が「希少資源」、動き始めた内製化 ~

2025年の建設業の倒産は、2,014件(前年比4.6%増)で、4年連続で前年を上回り、2013年(2,421件)以来、12年ぶりに2,000件を超えた。 コロナ禍の2021年に1,065件と2000年以降では最少を記録。その後は増勢に転じ、わずか4年で約2倍に増加した。

3

  • TSRデータインサイト

倒産データからみる「倒産が多い住所」 ~ 一等地のイメージと与信リスク ~

「倒産が多発する住所」は、現代のビジネスモデルの結果だ。ネット全盛期のいま、企業の実体が見えにくいのは普通なのかも知れない。だが、そんな風潮のなか、登記上住所の一等地に惑わされず経営実体をいかに見極めるか。ここでもまた、外形に惑わされない“目利き力”が問われている

4

  • TSRデータインサイト

【2026年3月期決算】役員報酬額1億円以上の開示 過去最多の934人に 社数も387社で最多を更新 上位5人中、外国人4人

2026年3月期決算の上場企業2,198社のうち6月26日12時までに有価証券報告書の提出を確認できたのは9割(90.7%)の1,995社だった。例年と異なり株主総会前に有価証券報告書を提出する上場企業が増えた。報酬額1億円以上の役員を開示した企業は387社、人数は934人で前年の364社・887人を上回った

5

  • TSRデータインサイト

環境経営総合研究所の「粉飾の手口」

(株)環境経営総合研究所(TSRコード: 294046615、渋谷区、以下ERI)が3月26日、東京地裁から破産開始決定を受けた。東京商工リサーチ(TSR)が独自入手した資料や関係者が「実際の売上は100分の1程度」と語る粉飾の実態がみえてきた。

TOPへ