メインバンク調査で全国5位の北洋銀行 ~圧倒する道内シェアで地域経済を牽引~
「2025年全国メインバンク調査」で、北洋銀行(札幌市、2万8,462社)が3メガ、りそな銀行に次ぎ、調査開始の2013年から13年連続で全国5位を維持した。北海道に169店舗、都内1店舗を構え、北海道内シェアは約4割(37.9%)に達する。
地方銀行を上回る第2地銀トップの北洋銀行がメインバンクの取引企業を分析した。
北洋銀行の沿革
北洋銀行は1917年8月に北海道無尽として設立。道内の地域金融機関との合併を重ね、1951年10月に北洋相互銀行、1989年2月に現在の北洋銀行に変更した。
当時、北海道トップは都市銀行の北海道拓殖銀行(拓銀)だった。だが、拓銀はバブル期の不良債権で1997年11月に経営破綻した。その拓銀の道内資産などを北洋銀行が引き継ぎ、事業規模が拡大した。
北洋銀行がメインバンクの2万8,462社の本社地は、北海道2万8,308社(構成比99.4%)と99%を占める。支店を置く東京都は97社(同0.34%)にとどまる。
産業別
北洋銀行がメインバンクの2万8,462社の産業別は、最多が飲食店、観光業などを含むサービス業他の8,604社(同30.2%)で、観光業が主要産業の一つになっている地域性を映しだしている。次いで、建設業の7,217社(同25.3%)、小売業の3,527社(同12.3%)と続く。
だが、細分化した業種中分類別でみると、工事業が上位を独占する。最多は、一般管工事業740社(同2.6%)で、土木工事業698社(同2.4%)、木造建築工事業636社(同2.2%)と続く。
売上高別
売上高別(判明分)で分析すると、1億円未満が1万5,747社(構成比58.6%)と約6割を占める。次いで、1億円以上5億円未満が7,493社(同27.9%)と続き、売上高5億円未満の中小企業が取引先の86.5%にのぼる。
一方、100億円以上は182社、50億円以上100億円未満は211社あり、北海道を代表する企業との取引も多いことがわかる。
業歴別
業歴別では、最も構成比が高かったのは30年以上の1万3,113社(構成比46.0%)で半数近くを占める。次いで、10年以上30年未満が9,956社(同34.9%)で、地域の中核企業の老舗が大半を占めるのも大きな特徴だ。
一方、3年未満は649社(同2.2%)、3年以上5年未満799社(同2.8%)にとどまる。
ネット銀行やメガバンクが注力する新設法人向け口座開設は競争激しいが、道内の新設法人は大きな伸びにつながる可能性を秘めている。
支店別 本店営業部がトップ
支店別のメインバンク取引社数ランキングでは、本店営業部の1,627社(構成比5.7%)が圧倒的なトップだった。2位は札幌西の511社、3位に苫小牧中央の481社、4位に豊平の468社、5位は千歳中央の457社だった。
札幌市内の支店が計1万5,086社(構成比53.0%)で、半数以上のメインバンク取引先を獲得し、主戦場となっている。
札幌市以外は、1万650社(同37.4%)、支店名非公開は2,726社(同9.5%)だった。
直近1年で新たに2,062社のメインに
北洋銀行がメインの取引先数は、2024年3月末は2万7,450社だったが、2025年3月末は2万8,462社に1,012社増えた。
2025年3月末までにメイン取引先から外れたのは1,050社。内訳は、休廃業・解散などが789社、倒産が63社で、メインバンク変更は198社にとどまる。
一方、2025年3月までに新たに2,062社が北洋銀行をメインバンクとした。2,062社を調査すると、北海道内の企業が2,052社と99.5%を占める。産業別では、サービス業他が897社(構成比43.5%)で、他の産業を圧倒した。インバウンド需要で盛り上がる北海道を背景に、観光業などの企業を多く取り込んだようだ。
北海道で圧倒的な存在感を示す北洋銀行は、地域の中核や老舗企業のメインバンクとして支援している。同時に、業種や規模を問わず北海道経済を支えている。
2026年3月期第1四半期は、預金は16期連続で増加し、預金平残は2023年6月の10兆8,103億円から2025年6月は10兆9,791億円に1.5%増加した。法人、個人向けの貸出が増加し、破産更正債権など開示債権額の比率は0.90%にとどまる。
北海道は、半導体メーカーのRapidus(ラピダス)社が進出し、2027年の量産開始に向け急ピッチで建設が進んでいる。北洋銀行でも半導体関連融資が2030年度までに累計3,000億円を見込み、半導体関連産業への支援を拡大している。
北海道の企業や経済、生活を支える北洋銀行の勢いは、そのまま北海道経済の強さでもある。