• TSRデータインサイト

2024年の「円安」関連倒産 前年比1.6倍の83件 物価高、仕入コスト上昇が収益を圧迫

2024年 「円安」関連倒産(12月31日現在)


 2024年の「円安」関連倒産は83件で、前年(52件)の約1.6倍(前年比59.6%増)に急増した。
 2023年末は1ドル=141円40銭だったが、2024年は6月に1ドル=160円台に急落した。9月には1ドル=140円台まで円高が進んだが、その後再び円安が強まり、12月には1ドル=157円台と、前年より16円の円安に張り付いている。
 負債総額は344億1,900万円(前年比83.3%減)で、大幅に減少した。

 2024年の「円安」関連倒産83件の産業別は、卸売業が37件(前年24件)と全体の44.5%占めた。次いで、小売業20件(同8件)、製造業11件(同11件)の順で、円安に伴う輸入商品・製品や原材料などの価格上昇が収益を圧迫し、資金繰りに支障を来たしたことを示している。
 このほか、運輸業7件(同ゼロ)、農・林・漁・鉱業(同3件)と建設業(同2件)が各3件、情報通信業とサービス業他が各1件で、円安が物価高を招き、幅広い産業に影響を及ぼしている。
 経営体力がぜい弱な中小企業は価格転嫁が難しく、長引く円安で体力を疲弊した中小・零細企業が倒産を押し上げる可能性は高まっている。


円安関連倒産月次推移

人気記事ランキング

  • TSRデータインサイト

2025年1-9月の「人手不足」倒産が過去最多 「従業員退職」が前年の1.6倍増、初の年間300件超へ

2025年9月に「人手不足」が一因となった倒産は、調査を開始した2013年以降では月間最多の46件(前年同月比109.0%増)を記録した。また、2025年1-9月累計も、過去最多の285件(前年同期比31.3%増)に達し、人手不足はより深刻さを増していることがわかった。

2

  • TSRデータインサイト

ケーキや和菓子は「高値の花」に、スイーツ店が苦境 倒産は過去20年で最多ペース、競合商品も台頭

街のスイーツ店が苦境に陥っている。材料コストの上昇、酷暑、人手不足が重なり、商品値上げによる高級化も購入機会の減少につながったようだ。2025年1-9月の菓子製造小売の倒産は、過去20年で最多の37件に達した。

3

  • TSRデータインサイト

2025年1-9月「後継者難」倒産が過去2番目 332件 高齢化が加速、事業承継の支援が急務

代表の高齢化が進み、後継者が不在のため事業に行き詰まる企業が高止まりしている。2025年1-9月の「後継者難」倒産(負債1,000万円以上)は332件(前年同期比4.5%減)で、2年ぶりに前年同期を下回った。だが、2025年は過去最多だった前年同期の348件に次ぐ、過去2番目の高水準だった。

4

  • TSRデータインサイト

2025年 全国160万5,166社の“メインバンク“調査

全国160万5,166社の“メインバンク”は、三菱UFJ銀行(12万7,264社)が13年連続トップだった。2位は三井住友銀行(10万1,697社)、3位はみずほ銀行(8万840社)で、メガバンク3行が上位を占めた。

5

  • TSRデータインサイト

2025年度上半期の「円安」倒産30件 仕入コスト上昇が卸売業を直撃

2025年度上半期(4-9月)の「円安」関連倒産は、30件(前年同期比31.8%減)だった。上半期では、2022年度以降の円安では前年度の44件に次いで、2番目の高水準になった。

TOPへ