• TSRデータインサイト

社名に「巳」「蛇」の「へび企業」は全国に891社 ~ 4社に1社が業歴50年以上、税理士事務所から寿司屋さんまで ~

 「巳年」を迎えた。金運や開運に縁起の良いことで知られる「巳」や「蛇(へび、ヘビ)」が社名に含まれる企業(以下、へび企業)は、全国に891社ある。 891社のうち、「巳」を社名に含む企業が778社、「蛇」が含まれる企業が113社だった。
 また、2026年の干支の「馬(午)」がつく企業は6,602社ある。「馬(午)」に比べると人気はいまひとつのようだが、4社に1社が業歴50年以上の業歴を誇る老舗企業だ。「脱皮して以て大蛇と成る」企業が多いのかもしれない。
 「へび」のように脱皮し、蛇行しながら成長する企業が新年の飛躍を呼び込みそうだ。
※東京商工リサーチ(TSR)の企業データベース(約420万社)から抽出した。


へび企業の業歴

 891社の業歴を調べた。創業年を基本に、不明の場合は法人の設立年を利用した。
 最多は10年以上50年未満の359社(構成比40.2%)だった。5年未満はわずか47社(同5.2%)しかない。一方で、50年以上100年未満は234社(同26.2%)あり、さらに100年超は13社(同1.4%)あった。業歴不明は193社だった。
 50年以上は247社で、4社に1社が業歴50年以上の老舗企業だ。へび企業は長寿の傾向がある・・・かもしれない。

「巳」のつく税理士・行政書士が目立つ

 891社を業種別で分析すると、個人名の「巳」の付く商号(屋号)が多いのが特徴だ。代表例は税理士事務所で64社あった。2位は行政書士事務所の38社。税理士や行政書士は「巳」の付く名前が多いのかもしれない。そして、3位は土木工事業の32社。4位はすし屋で29社あった。「蛇の目寿司」などの屋号が多い。戦国武将、加藤清正の家紋「蛇の目」にちなみ「蛇の目」を商号、屋号に付けるケースが多いようだ。
 また、「辰巳」の社名も目立った。

都道府県別

 891社のへび企業の本社地の所在地を調べた。最も多かったのは、東京都で194社あった。次いで、大阪府98社、愛知県49社、神奈川県44社、千葉県40社、埼玉県31社、福岡県30社、静岡県27社、兵庫県25社、奈良県24社と続く。
 一方、へび企業が少なかったのは、宮崎県と香川県の各2社、愛媛県と沖縄県、佐賀県の各3社で、九州と四国が目立つ。



 「藪蛇」や「蛇の道は蛇」など、へびは一筋縄ではいかない例えでも使われる。ただ、へびは再生の象徴といわれ、コロナ禍や物価高などで苦しんだ2024年から脱け出す力もありそうだ。
 へび企業が牽引し、2025年は全国すべての企業にとって良い1年になりますように。




人気記事ランキング

  • TSRデータインサイト

「社長の出身大学」 日本大学が15年連続トップ 40歳未満の若手社長は、慶応義塾大学がトップ

2025年の社長の出身大学は、日本大学が1万9,587人で、15年連続トップを守った。しかし、2年連続で2万人を下回り、勢いに陰りが見え始めた。2位は慶応義塾大学、3位は早稲田大学と続き、上位15校まで前年と順位の変動はなかった。

2

  • TSRデータインサイト

内装工事業の倒産増加 ~ 小口の元請、規制強化で伸びる工期 ~

内装工事業の倒産が増加している。業界動向を東京商工リサーチの企業データ分析すると、コロナ禍で落ち込んだ業績(売上高、最終利益)は復調している。だが、好調な受注とは裏腹に、小・零細規模を中心に倒産が増加。今年は2013年以来の水準になる見込みだ。

3

  • TSRデータインサイト

文房具メーカー業績好調、止まらない進化と海外ファン増加 ~ デジタル時代でも高品質の文房具に熱視線 ~

東京商工リサーチ(TSR)の企業データベースによると、文房具メーカー150社の2024年度 の売上高は6,858億2,300万円、最終利益は640億7,000万円と増収増益だった。18年度以降で、売上高、利益とも最高を更新した。

4

  • TSRデータインサイト

ゴルフ練習場の倒産が過去最多 ~ 「屋外打ちっぱなし」と「インドア」の熾烈な競争 ~

東京商工リサーチは屋外、インドア含めたゴルフ練習場を主に運営する企業の倒産(負債1,000万円以上)を集計した。コロナ禍の2021年は1件、2022年はゼロで、2023年は1件、2024年は2件と落ち着いていた。 ところが、2025年に入り増勢に転じ、10月までの累計ですでに6件発生している。

5

  • TSRデータインサイト

解体工事業の倒産が最多ペース ~ 「人手と廃材処理先が足りない」、現場は疲弊~

各地で再開発が活発だが、解体工事を支える解体業者に深刻な問題が降りかかっている。 2025年1-10月の解体工事業の倒産は、同期間では過去20年間で最多の53件(前年同期比20.4%増)に達した。このペースで推移すると、20年間で年間最多だった2024年の59件を抜いて、過去最多を更新する勢いだ。

TOPへ