2024年11月「ゼロゼロ融資」利用後の倒産36件 6カ月連続で前年同月を下回る、件数・負債と今年最少
2024年11月度「ゼロゼロ融資」利用後の倒産状況
2024年11月のゼロゼロ融資(実質無利子・無担保融資)を利用した企業倒産は、36件(前年同月比14.2%減)だった。8月の37件を下回り、今年最少となった。
1‐11月累計は537件(前年同期比8.9%減)で、前年同期(590件)を53件下回った。夏場の8月から小康状態が続いており、2024年は前年(635件)を下回りそうな状況になっている。
コロナ禍のゼロゼロ融資などの金融支援策は、倒産抑制に劇的な効果を発揮した。だが、売上が落ち込む中での借入金は、過剰債務をもたらした。さらに、コロナ禍が落ち着くと同時に、円安が加速し原材料高や燃料高騰などの物価高、人手不足と人件費上昇が大きな負担になってきた。そのため、収益改善が遅れた企業は、融資返済も新たな負担になっている。
政府はゼロゼロ融資の返済開始に伴う中小企業の破たんを防ぐため、「コロナ借換保証」などの各種資金繰り支援を2024年6月まで実施した。7月以降は経営改善・再生支援に軸足を置いた支援に移行し、民間金融機関による「経営改善サポート保証(コロナ対応)」や日本公庫等の「コロナ資本性劣後ローン」を12月まで延長、信用保証協会は「経営力強化保証制度」を設けて保証料を減免した制度融資を始めた。
こうした施策の効果は一定程度あったものの、価格転嫁もできずに人手不足や物価高で苦しむ中小・零細企業が支援の網から漏れるケースも少なくない。なかでも、11月の「ゼロゼロ融資」利用後の倒産は、「負債額1千万円以上5千万円未満」が15件(前年同月比36.3%増)、従業員数5人未満が23件(同35.2%増)と、小・零細規模の倒産が目立った。
リスケジュール(返済条件変更)で、倒産を先送りしている企業の存在も指摘されている。年末から年度末にかけ資金需要が高まるが、新たな資金調達が難しい企業の動向が注目される。
※本調査は、企業倒産(負債1,000万円以上)のうち、「実質無利子・無担保融資(ゼロゼロ融資)」を受けていたことが判明した倒産(法的・私的)を集計、分析した。